2011年12月20日火曜日

ロッキー・ホラー・ショー

ロッキー・ホラー・ショー
脚本・作詞・作曲:リチャード・オブライエン
演出:いのうえひでのり

出演:古田新太/岡本健一、笹本玲奈/中村倫也、グリフィス・ちか、
右近健一/辛源、ニーコ/飯野めぐみ、生尾佳子、JuNGLE、皆本麻帆/
ROLLY/藤木 孝

今回のRHSで感動したのが「日本的アレンジ」の一つの正解について。
今回のRHSは新感線的なボケ・ツッコミがふんだんに入っている。
おなじみの「ガスッ、ゲシッ」というSEの入るツッコミね。
これが素晴らしい効果を生んでいた!

台詞もあらすじもほぼ固まっているRHSという舞台はいじるのが
難しい・・・と思う。
ファンは新しい素敵なサムシングを期待しつつ、同時に「変わらずに
いてほしい」という気持ちを強烈に持っているから。
オリジナルを尊重しすぎてそのまんま使えばこれならDVD見てりゃいいと
言われ、アレンジ入れすぎて屋台骨を崩してしまうとこんなのRHSじゃねえと言われ。

そんな貴方に今回のRHSツッコミバージョン!
このツッコミという装置の優秀さよ。まず時間をくわない。
オリジナルの台詞と台詞の間にドカッ!ガスッ!と入れるだけで、一瞬で
"笑いを増幅する演出”になる。
そして後を引かない。これは新感線ツッコミのプロフェッショナルな古田さん
だから特に切り替えが上手いのだけれど、相手の体が吹っ飛ぶくらいの
パンチ入れても次の瞬間舞台の流れが元に戻る。

さらに予測不能なバイオレンスってそれだけで面白い。いや、予測できても
バイオレンス面白くて気持ちいい(笑)
いのうえさん、三池監督好きだもんなあ。
事前のインタビューやラジオでRHSに近い映画として「キックアス」が
入っていて、ん~そうかな?と思ったのだけれど、今回の舞台を見て
ちょっと納得したよ(笑)映画版でも私、フランクがジャネットにビンタ
かますシーン大好きなんだわ。

このSE付きボケ・ツッコミの演出で、海外のミュージカルを「日本的に」
アレンジしたということが素晴らしい。
私は、日本独自の質の高いオリジナル作品が生み出されて初めて、
”日本が成熟した文化としてミュージカルを持つ”ということになるのだと思ってる。
もっと欲を言えば、その作品が海外に輸出されるくらいになることが理想で、
残念ながら今はその状態じゃない。

オリジナルを作るにしても海外ものを輸入して演出するにしても、どうも
「ミュージカルは本来西洋のものだから…」というコンプレックスが邪魔をする。
そして「和を取り入れてみました!」ってことで、衣装に着物を使ってみたり
見栄を切らせたり、演奏に和太鼓や雅楽を使ってみて・・・スベる(笑)

でも、今回のRHSで「和を取り入れるって歌舞伎や芸者やフジヤマだけじゃ
ないよ。漫才、ボケ・ツッコミの笑いセンスだって他の国にはない日本的なもので、
きっとまだまだ他にもあるよ」という可能性を教えてもらったような気がして。
客席で勝手に感動してました。一観客なのに。

ロッキーホラーショー番外編

・オープニングの20世紀FOX(空飛ぶパルコアラw)からラストの
アレまでPARCOの提供が全開。PARCOプレゼンツ!
うん、HedwigといいRHSといいキワモノやゲイプレイ優しいパルコは偉い。
足を向けて寝られません

・今回のファントムにオカマは混じっていません(笑)
4人とも美人女性です

・ブラッドは誰がやってもあまり変わらないような…。
玲奈ちゃんのジャネットは前回の池田さんがかなりデフォルメの強い
マンガちっくな役作りをしていたのに対し、等身大なお嬢さんを演じている
感覚でした。

・KAATは新しくて綺麗な劇場なのだけれど、1階に広いメインロビー
がないのがさみしい。早く着くと居場所がなくて落ち着かない。
芸術監督の宮本亜門さんが客席にいて目立ってました

・ペンライトつけてる人多くて嬉しい
私が初日チケットを取ったのは、初日にペンライトの明かりが沢
山つくと俳優さん達が喜んでくれるんじゃないかな、と思ったからで。
おこがましいかもしれないけれど。
明かりを通じて「待ちわびているファンがこれだけ来てるよ!
上演してくれてありがとう!」と伝えたかった。

・タイムワープにアレンジが加わったのですが、狭い座席で踊るには
ちょっと難しかったのでオリジナルバージョンで踊ってしまいました
一階席中央ど真ん中で、高橋ヨシキさんが誰より先に立って踊っていたYO
ありがたい。毎回観に来てタイムワープの先導してください(無茶言うな)

・休憩中に流れる音楽がRHSゆかりの選曲らしいのですが、ジーザス
クライストスーパースターのゲッセマネがやたらと流れる。
ちょっ、重っ(笑) なぜゲッセマネ?!

・もちろんパンフレットをがっつり読むよ。
新感線のパンフは一時期高額の美麗写真集のようになっていて
読むべき記事があまりなかったので買わなくなっていたのですが
今回は読みどころだらけです。買うべし。

・藤木さん所蔵の初演フランク写真が想像とたいぶ違っていて
驚く。えっ、こういう髪型だったの?

・古田さんの挙げているお気に入り。
劇団リストにかわいがっている鹿殺しが入っているのは予想通り
だけど、好きな音楽に面影ラッキーホールが!
確かに古田さんと面ホは似合いそうだ(笑)。

・辛源くんの好きな人リストにLin-Manuel Miranda。
ごめん、RENTのオリジナルエンジェルって書いちゃったけど
「イン・ザ・ハイツ」のクリエイターだった(恥)

・今回のROLLYの訳詞。
残念ながら私はあまり好きになれなかったなあ。
特に今回日本で初CD化になって、今後RHSの歌を歌う場合に
この歌詞がスタンダードになることでしょう!みたいに書かれて
いると、うーん。。。

だって映画や海外公演を見て、かっこいい!この歌を日本語で
唄いたい!とCDを買ってあの歌詞をみたらとまどわないかなあ。
チョメチョメして・・・。
パロディならいいと思うんだよ。もしくは、もっとスタンダードに
訳されたCDが1枚あって、2枚目として出されているならば
このバージョンも面白いね、と思えるのだけれど。

いやしかし、ロックやロックミュージカルが好きな人にとっては
この「歌いやすさ&空耳英語っぽさ最優先」は正解なのかもしれないね。
私はどちらかというと正統派(?)ミュージカル好きなので、
歌詞には美しさを求めてしまうのかも。

2011年11月5日土曜日

志ら乃さん 真打決定の前後会

トライアルには行けませんでしたがファンとして前後の会は
押さえておきました(笑)

・不動院寄席
寝床     らく次
悋気の火の玉 志ら乃 
死神     こしら
トークバトル

お客さんもトライアルに向けて増える…かと思いきや
不動院寄席は通常運行でした。
やっぱりもう少しメリハリが欲しいなあと思うらく次さんの寝床。

志ら乃さんは明らかに顔色が悪い。
本人はトライアルが原因じゃないと言っていましたが、前二回の
真打昇進トライアルの時も同じような顔色してたよ。
(もっとクマが濃かったけれど)
自動改札でキセルを見ちゃったら通報するべきか否か、みたいな
ことを本気で高座で悩み始めてお客さんが引く、というか心配する。

逆に客席の空気読みならまかせろ!なこしらさんが、そんな志ら乃さんを
茶化して客席一安心。
落語の方は相変わらず、自分の見せたいシーンをこれでもかと細かく描き
重要とされているシーンも興味がなければさっくりカット。
一番印象に残っているのが「冒頭のうっかり自殺しそうになるシーン」だ
なんて、妙な死神だなあ(笑)

男子校の部室的トークバトルでは、緊張で明らかに口数が少なくなって
いる神経の細い 志ら乃さんを
「肩の力抜けよ~。当日楽しめばいいじゃん~」
と、こしらさんが終始あっけらかんと励ましていました。


・立川志ら乃独演会

さすがに今日は満席かと思ったけれどいつもと変わらない入り。
志ら乃さんに今一番必要なのは・・・人気?
お客さんにもう少し心を開いてマクラでも歩み寄ってくれれば
随分違うと思うんだけどなあ。

反対俥
悋気の独楽
うどん屋

贔屓のお客様に心から感謝する…という風情はほとんどなく(笑)
真打昇進報告をあっさりすませてマンションのグチを。
反対俥は最近見ていなかったと思ったら、そうかトラウマ的な話だったのか。
悋気の独楽は「ふーん」なおかみさんがかわいい。
うどん屋はどうも苦手な話で。寝ちゃうんだよね・・・。


昨日のこしら独演会には志ら乃さんとらく次さんが乱入したらしい。
それ不動院寄席じゃないか!(笑)仲がいいなあ。

真打昇進記念の落語会があれば必ず行きますよ。
不動院の3人は思い入れのある落語家さんですから♪
志ら乃さんは随分悩んでいる姿を見続けたし、こしらさんは
「面白いのに普通の落語会出ないから知られないよねえ」と地下アイドル
みたいな存在だったのに、まさかこんなにブレイクするとは。
わかんないものだよ、世の中は。

2011年10月25日火曜日

オペラ座の怪人 25周年記念コンサート in ロンドン

ロンドンのロイヤルアルバートホールで上演された
「オペラ座の怪人25周年記念コンサート」が映画館で上映
されているのでさっそく見てきました。
レミゼコンサートといい、こういう企画が増えて嬉しいですね。

内容は・・・いやもう素晴らしい!みんな行けばいいよ!
ミュージカルファンじゃなくても演劇好きなら行くがよい!
(なぜ尊大に)

膨大な数のカメラが、それこそ舐めるように舞台の細部を映す。
アンサンブルの表情から、上へ下へと動くオケピの中までガッツリ
映されるので気が抜けないでしょう。
観客は普段見られない場所まで見学できるわけで、この時点で
wktkです。

コンサートと銘打っているけれど、衣装もきっちり着て演じるので
ほぼ舞台を見ているのと変わらないですね。

通常の舞台では経費削減でマネキンが混じっている「マスカレード」
も人の嵐。
「イルムート」場面のバレエダンサーはジャンプの高さが尋常じゃなく、
軸のぶれなさがいかにもただの役者じゃない。
さてはロイヤルバレエあたりから借りてたな!と思ったらビンゴでした。
(英国ロイヤルバレエのプリンシパル)
劇中劇のリハーサルだけに1000円払ってもいいと思った(笑)

ヒロインは日本のいかにも細いクリスティーヌと違い、骨太で意志が
強そう(でもちゃんと美人)
ラウルもファントムも喉が強いので恋愛模様が正しく三角形です。
しかもこの3人が「震えるぞハート!燃えるほどヒート!」と
ばかりに気持ちを歌でぶつけ合う。心を動かされずにいられようか。
そして、このクリスティーヌは随分ファントムに心を寄せて別れ際も
思いを残しているように見えました。

またみんな演技も細かくてねえ。
ミュージカルは「芝居」なのだと、当然なことを思い出させてくれます。
悲しいけれど日本でミュージカルを見ると、この当然なことを妥協
しなければいけない作品が多くて・・・。もちろん全部ではありませんが。

スペシャルカーテンコールにはアンドリュー・ロイド・ウェバーが登場し、有名な歴代ファントムが
4人登場。
ん?こ・このスキンヘッドに超絶いい声のおじさんは!
オーストラリアの至宝 アンソニー・ワーローではないか!
きゃーいいもん観た。

ちなみにウェーバー卿は「私のエンジェル・オブ・ミュージック」と
サラ・ブライトマンを呼び込んだのですが、彼女があからさまに
元・旦那に近寄りたくなさそうだったのが笑えたよ。
ジョークだったのかしら、あれ・・・

そして、残念ながら鬼籍に入ったオリジナルキャストの紹介の中に
スティーブ・バートン(ラウル役)の名前があってシンミリ。
私の大好きなウィーンミュージカル「Tanz der Vampire」の
オリジナルKrolock伯爵です。
ご存命であればこの場に姿があったんだよなあ。

2011年10月24日月曜日

花組芝居「聖ひばり御殿」

うわあ、想像通り「南北オペラ」の悲劇再び。
舞台で歌えるくらい上手い人が多いわけじゃないのに
歌いまくるのは何故なんだ。

歌詞がストーリーに関係しているのに、その歌詞が聞き取れない!
いや、昔に比べて皆さんだいぶ歌唱力は上がっているけれど。
歌詞を聞き取るのに集中しなきゃならないからグッタリ疲れちゃたよ・・・。

観終わって振り返ってみても「下手でも役者が歌うことによって
生まれる素敵なサムシング」は私には伝わらなかったです。

さらに、狙っている客層が謎。
劇中で使われている美空ひばり&周辺の昭和芸能界話が
きっちりわかるのは50代以上じゃないかな?

せっかく若い人向けにグッと安いチケットを設定したのに、
劇団の魅力が伝わらないのはもったいない!
そして美空ひばりネタがわかるであろうお年を召したお客さんは
音の大きさ、騒がしさ(あと、多分歌の下手さ…)に眉をひそめて
帰っちゃってました。。。

もちろん私は劇団のファンなので、好きな役者さん達が出てきて
歌えば何であれ嬉しいけれど。けれど。ううむ。

ジャックの拳を見て谷山君が本当はハンサムなことを思い出したり。
八代さんの歌にキャッキャしたり。
桂さんの輝きっぷり半端ない!と心躍ったり。

楽しい場面も多かったんだけれどねー。うーん。

2011年9月16日金曜日

シティボーイズ「動かない蟻」

作・演出=天久聖一
キャスト:大竹まこと きたろう 斉木しげる(シティボーイズ) 
     中村有志 荒川良々 辺見えみり

まずは還暦を過ぎて尚、前進を続けるシティボーイズに拍手
ごめん、私はジイさん達を侮ってたよ!

去年の「10月突然、大豆のごとく」がとても良いフォーマットだったから
それを踏襲するのかと思っていたんだ
センスの良い若手芸人2組を入れることによって、舞台が新鮮になるし
シティボーイズの出番を減らして体力を保つこともできる
この方式で毎年若手を入れ替えればいい舞台を作ることができるわ、
しばらくはシティボーイズライブも安泰だな~って

しかしジジイ達は安泰も安定も望んでいなかった
前と同じことをやったって意味がない、と中身をガラリと変えてきた
かっこいいとはこういう事だねえ


さて、舞台の中身は原発事故と下ネタの融合がメイン?
原発の事故による放射能汚染が色濃く出た1本の大きなストーリーがあり
いくつかのコントが最後に収束するのは懐かしいですね
私としては下ネタ大爆発の例のコントは正直苦手かな
もちろんバカバカしさのオブラートに包んでいて、感動すら与える
場面なのですが、もう少しうまいやり方があるんじゃないかなーと思うので

それより、全体に漂う不気味で歪んだ世界観がたまらなかった!
大竹さんのツッコミで笑いに変えていたけれど、ピカソに憧れて
切り落とした片耳の処理法で

きたろう「俺ならオルゴールにしまっておくな。
中に入っている俺の耳だけがオルゴールの音色を聴くんだ。
ロマンチックだろ?」

という台詞はなんとも悪趣味でとても甘美だし、舞台のラストで
未亡人がオルゴールを開く所で思わずドキッとさせるのも巧い

放射能の降り注ぐ雨の街を1本脚のこたつを傘にしてゆっくりと歩く男
オラウータンに育てられた少年と、人間に育てられたオラウータンの悲しい邂逅
自分の中身を全て詰めた冷蔵庫の傍らに立つ穏やかな男
物悲しいオルゴールの音色

汚染された未来世界を舞台にしたSF漫画みたい、と思ったところで
天久さんが漫画を描く人であったことを思い出す
なるほどなあ、うん・・・


キャストの感想としては良々サイコー超サイコー
網戸を持つ少年で1週間は笑える自信がある
えみりちゃんも上手だったよ!

そして、今回はきたろうさんが役者でした
大竹さんはどの役をやっても比較的大竹さん自身だし、斉木さんはアレだし(笑)
きたろうさんはキャラごとにちゃんと演技を変えていて、芝居の巧さが
際だっておりました

今年の音楽担当はシティボーイズファンには懐かしい坂口修さんですよ~
暗転中に凝った映像がなくても全く気になることがない、素敵な音楽
ばかりでした

2011年9月14日水曜日

PARCO劇場を称える

ロッキーホラーショーのチケット先行が始まり、ソワソワ
してきました。
初日・楽日はもちろんですが、やはり土日が集中して売れて
いるようです。
神奈川で平日19時開演は辛いよ。19時半でも辛い。
今回、企画はPARCOなのになぜ劇場が神奈川なんだろう。
新感線のお客さんを対象にするとPARCOじゃキャパが狭すぎる
のかしら?

PARCO劇場は素敵だ。
エレベーター使わなきゃ昇れなくて不便とか、混んでる渋谷を
突っ切るのが疲れるとか。
そんなことを差し引いても素敵だ。

昔からゲイを代表とするマイノリティを扱った演劇を数多く手がけている。
小屋を貸すだけでなくPARCOの企画であることが多い。
BENT、トーチングトリロジー、真夜中のパーティ、ロッキーホラー
ショー、Hedwig etc。

でもサブカルには寄らず、先鋭的でありながら劇場はあくまで
優雅な佇まい。
ゴージャスではないがいつもさりげなくブランドの服を身につけている
知的で洒落のわかるマダム、みたいな印象。

いつまでも小屋としての特色を持つ劇場でいて欲しいな。

2011年9月2日金曜日

アンチSWAで三題噺

扇辰 麻のれん
昇太 マサコ
三題噺 白鳥、彦いち、喬太郎

アンチなんてついてるから
「SWAがなんぼのもんじゃーーい!!」
みたいなテンションの会かと思ったら。

SWAのように共作じゃない=アンチSWA

なのね。

遅れて到着すると三題噺のお題は「どじょう、カザフスタン、ハンマー投げ」
という、実に世相を反映している3つに。
正楽師匠ならばどじょうをハンマー投げのように振り回す男を切るのかしら?

見ているとビールで枝豆が食べたくなる「麻のれん」が聞けて嬉しい!
時期的に今年は最初で最後かも。

責任感のない高座はこんなに楽なのか!と、ゴロゴロ転がりながら
楽しそうなマサコの昇太さん。

そしてメインの三題噺。
白鳥さんは貧乏な男が変な料理屋に入っているし、
彦いちさんはムアンチャイみたいなカザフスタン人が活躍
そして喬太郎さんは人情話。
3者ともとても「らしい」噺を作っていました。

私はあまり見る機会がないので、どういった噺が三題噺で
イイ!とされるものかわからないのだけれど。
お題から積極的にストーリーを展開していくタイプと、自分の得意な
世界観にお題を落としこもうとするタイプがあるとすると、
今回は後者だったのだろうな、と。

全員が「優劣をつけるもんじゃない!」としつこい程注意していたので
どれが好みかとかは書かないでおこうかなw

2011年8月29日月曜日

深夜寄席

菊六 たがや
小権太 天狗裁き
朝也 片棒
風車 船徳

今は昭和何年だ?という風情でご通家の方にはご案内でしょうが、と語り
「三木のり平は桃屋です」と年代物のギャグを言う。そんな二つ目・菊六さん。
三三さん、丞さまなど若年寄りにも色々タイプがありますが、彼は
なんだかお坊さん系。
たがやは立ち回りの場面をもっとテンポよく語って欲しいな。

小権太さんは今まで意識したことがなかったのだけれど、今回はマクラが
とっても良かった。その流れで、あんなに苦手な天狗裁きがスルスルを
聴けたのだから驚き。

朝也さんの片棒はイケイケドンドンで楽しかったねえ!
テンポも口三味線もいい感じ♪大笑いしちゃったよ。
帰りの時間があるので風車さんは見られなくてごめんなさい

さて、明日はアンチSWAだ

2011年8月25日木曜日

志らく一門会特別編

こしら 青菜
志らら 宮戸川
らく朝 猫の災難
志ら乃 崇徳院

時間が空いちゃいましたが。
唯一取れた一門会特別編のチケットです。
早々にチケットが売れていたし、気に行った落語家に投票するという
方式なので、それぞれのファンが怖い雰囲気で集まっているかと思いきや。
会場はえらく和やかな雰囲気でした。
しかし投票される側は緊張感半端ない。それもそうですね・・・。

順位的には志ら乃さんがダブルスコアくらいで1位でしたが、
志らくさんも言っていた通り全編押しすぎなので、聞いていて
グッタリしてしまいます。
「ララ・フランス」のギャグが滑っているところを初めて見た(笑)

以前、広小路亭の一門会で最後に必ず志らくさんの講評が入りましたが
この会も同じスタイル。
一人ひとりへの駄目出しが溜息が出るほど的を射ているなところは
変わりません。
真打、ちゃんと出るかな~。心配だな~。

2011年8月24日水曜日

らくだ亭

最初の頃は大ネタ連発過ぎてちょっと引いてしまったらくだ亭も
気がつけば37回目。
渋い顔付けで、なかなかお目にかかれない噺や趣向を見せてくれる
素敵な落語会になっておりました。
今回の植木のお化けや、小満ん師匠の「金魚の芸者」とか
次回は九州吹き戻しが出るそうです。

鈴々舎馬るこ「親子酒」
春風亭一朝「植木のお化け」
五街道雲助「お初徳兵衛浮名桟橋」
古今亭志ん輔「船徳」

親子酒はおばあさんがカワイイ。
そして馬るこさんは、馬風師匠に似てきたような気がする。
全体的なシルエットも含めて(笑)

きゃーー一朝師匠が唄いまくりよーーー
お囃子はえりさんよーーー
見ている間、胸の中で「素敵・・・ああ、素敵・・・」と連呼して
おりましたとも。
芝居の場面が真骨頂ですが、吉原の唄もいいっ。
歌舞伎に詳しければもっと笑えるんだろうなあ。悔しいな。

お初徳兵衛を初めて聞きました。
ラストシーンのお初の口説きと徳さんの台詞にニヨニヨしながら悶える。
「女に恥をかかせないで」「情けをかけて」
うっはあ、これは堪りませんなあ~
「姐さん・・・」
雲助師匠がどんどん男前に見えてきてどうしましょう。
この場面を思い出して2日間幸せでした。ありがとうございます。

この噺、馬石さんもかけるんですって?!なんてこと!
そんなの聞いたら恋しちゃうに決まってるじゃない!
今年はもう無理だと思うので、来年狙って見てみたいです

2011年8月15日月曜日

おおのの「東京モダンガールズ」

おおのの「東京モダンガールズ」

演出家・大野裕明さんの演劇ユニット。
今回は脚本を女優でもある吉田麻起子さんに依頼したとのことで
素敵な化学反応を期待していました。

三村さんはいつ見ても素敵でメロメロしちゃうし。
最初に出てきた眼鏡&おさげ姿は、たんぽぽ(お笑い)の人か!と
思うほどダサダサな感じなのに、「青踏」を立ち上げた途端
キリリとスーツの似合う女性になった仲坪さん。
背も高いし宝塚の男役みたいにかっこいいな~。
江戸川卍丸さん、こんな落ち着いて色気のある役もできたのね!

・・・と、いいところも沢山あるのですが。
「女のどろっとした部分」が出ていて、いつもより楽しめなかったんですよ。
でもこれは私にも原因があって。カラフルなちらしとおおののの雰囲気から
勝手に、女性が世の男たちを蹴散らしてヒャッホーと雄たけびをあげるような
快活なお芝居を期待しちゃったんですね。

場面数&暗転が多くて集中力がとぎれてしまったのも難点かな。
おおののシリーズの特徴ではあると思うのですが、そろそろ大野さんが
場面数も少なく大きな流れのある物語を演出するのを見てみたい。

それにしても伊藤野枝の実際の人生が波乱万丈すぎる。
貧しい漁村の生まれながら猛勉強して女学校に飛び級で入り、
英語教師と恋に落ち、親の決めた結婚の夫を捨てて同棲&結婚。
平塚らいてうの「青踏」に入ってめきめき頭角をあらわし、20歳で
リーダーになったと思ったらアナーキスト大杉栄と恋愛して、でも
妻・愛人と四角関係・・・で、大杉がもう愛人に刺されて色々あり~の
内縁の妻の座をゲット。

その間にも女性運動関係の出版やら批評やらバリバリやって、子供も
前の旦那との間に生まれた子を入れると7人くらい産んで。
最後は大杉&6歳の甥と共に憲兵に虐殺されて死亡。
これで享年が28歳って(絶句)

灼熱の夏コミ終了!

大手狙いではないのでお昼からでしたが、2日目と3日目に
行ってきました。
あの込み具合で去年より人数少なかったの?!
気温と湿度が高かったのかなあ。とにかく息苦しかった…
2日目は西オンリー、3日目は東オンリー。

2日目、タイバニ旋風吹き荒れる。
巨大なポスターを出している壁サークルはともかく
島サークルもくまなく見つけ出して買う皆さん。
マジ千里眼千里眼。きっと探索系のネクスト。
私はミステリー小説&観劇本をちゃんとGETできてホクホク。

3日目、マドマギ狂想曲は午前中で終了のお知らせが出たらしいですね。
世の中の役にたたない叡智の集合・評論スペース(誉めてます)が
大好きだー!
買わないまでも気になったサークル色々

・アタック25 数年分の全問題集

・東京大学イスラム金融研究会

・都内ステーキ食べ歩き Mr.デンジャー特集

・狭いスペースに実物のタイヤを置いていた、車のタイヤ研究本

ああ、コミケは果てしない

私は文房具本、台湾本、見合い本、図書館本、着物生活本などを
手に入れました。

今回初参加のネットラジオ「トリカゴ放送」さんのサークルは、
ルールがよくわからないまま許可なしでコスプレをしてしまい
事務局に連行されたらしいw
どんなお説教を受けたのか、是非ラジオでしゃべって欲しいな~

2011年8月14日日曜日

劇団鹿殺し「岸家の夏」

劇団鹿殺し「岸家の夏」


客演の千葉さん、峯村さんの魅力を十分に生かした女優芝居だった!
(もちろんチョビさんも)
千葉さんがパチンコで勝っていくシーンの謎のスピード感が好きだったなあ。
レディガガ「Pokerface」のアコースティック版は、ドラマ「glee」を見て
いなければ知らないままだったよ。

お目当ての谷山君は峯村さんの夫(トルコ人)。
謎のしゃべり方と濃い顔なもので、素でトルコ人に見える(笑)
今回も劇団員と同じくらいたくさんの役をやってましたね。
ダンスナンバーでセンターとるのは山岸&谷山コンビがほとんどでした。

円形劇場の使い方はもうちょっと頑張って~。
正面以外のブロックはうまく見えない場面が結構あったので。

鈴本演芸場 昼席

夜席のさん喬・権太楼当日券を求める列がもう13時に!
昼席は、夏休みなので寄席に初めて来ました的な客層で
皆さん清々しい程の定番プログラムです。
こういうのもいいですね~

歌奴 転失気
ホームラン 漫才
白酒 子ほめ
歌武蔵 支度部屋外伝
小円歌 三味線漫談
正蔵 読書の時間
猫八&子猫 ものまね
菊之丞 幇間腹
ゆめじうたじ 漫才
琴調 徂徠豆腐
市馬 親子酒
夢葉 奇術
圓歌 中沢家の人々

猫八・子猫親子で出てきた動物ものまね。
猫八さんが子猫さんを褒めまくるというほのぼのコンビなのねw
絽の黒紋付きで涼やかな丞様、歌が心地よい市馬さん。
そして中沢家の人々はますますパワフルだったのでありました。

2011年7月26日火曜日

立川志ら乃独演会

立川志ら乃独演会
らく兵 まぬけ泥
志ら乃 真田小僧
志ら乃 大工調べ
志ら乃 盃の殿様

マクラで喜々として魔乳秘剣帖の話をふり、客席のご老人を全力で
置いて行くという凄い光景を目にしましたよ。

魔乳秘剣帖は「柳生一族のパロディで魔乳一族って面白くね?」という
新作派の二つ目が思いつき、プークか東洋舘で上演しそうなアイディアを
本気でアニメにしちゃった作品です。
あらすじはおっぱいで、見どころもおっぱいです。
公式HPも清々しいまでのおっぱいぶりです(URLまで・・・)
http://oppaidaisuki.jp/

そんな真田小僧、相変わらずスピードが出てくると子供のはずの
金坊がどんどん青年になっていきます。
女性もおじさん化しちゃうし、仕草も雑になっちゃうんだよね。
このクセは真打になる前に直した方がいいと思うんだけれど。
途中で出てくる「気持ちいい気持ちいいおじさん」という素敵フレーズは
みんな大好き♪左談次師匠がオリジナルとのこと。

3年くらいやっていなかった、と言って驚いた大工調べ。
私の中では志ら乃さんといえば火焔太鼓と大工調べ、というくらい
代表的なネタだと思っていたのに。

聞いてみてさらにビックリした!啖呵が速くない!
当時、落語界で最速を誇ったであろうウルトラスピーディー啖呵 by棟梁が
2倍、いや3倍くらい遅くなってます(何しろ中手が入らないんだから)
速さに頼るのを止めてみたのかな?
私はあのチョッ速な方が好きだなあ。盛り上がるから。
「長えなあ、マカロニ」は健在です。

珍しくネタ卸しの盃の殿様が一番良かったですよ。
後半の部分、朗らかに演じてそれを見る観客もなんだか幸せという
良い相乗効果が。そうそう、志ら乃さんの独演会に足りないのはこの
幸せなあたたかさ(爆)
面白いギャグを連発して俺が笑わせてやる!、じゃなくて・・・ね。
「北風と太陽」の太陽みたいな笑わせ方ができれば、グッと良くなる
と思うんだけどなあ。

2011年7月16日土曜日

こしら一之輔 ほぼ月刊ニッポンの話芸

こしら一之輔 ほぼ月刊ニッポンの話芸

この会の欠点は会場選びだと思う。
成城ホールじゃないでしょ~、このメンツは。
19:30開演でも平日はキツいし客層もどことなく志の輔・談春の香りが。

立川こしら たがや~だくだく
春風亭一之輔 らくだ
トークコーナー

おなじみのマクラで“自分sage、一之輔age”をしつつ会場を
温めるこしらさん。マクラのまま終わっちゃうかと思うところで
「たがや」に入った!そして1分くらいで終わった!
超短縮バージョンながらも、たがやの首が飛ぶ談志バージョンである
ところに立川流を感じるかも(笑)

だくだく、八五郎のウザい繰り返しをご隠居さんが後から真似して
「ムカつくだろう、これがさっきお前がやったことだよ」
「そうか、うわー気がつかなかった。確かにこれはやられると嫌ですね」
と小さな復讐をするところが逸品。

絵の中で川を書いてもらうことが仕込みになっていたり、下げが
「友達のつもり」なんて可愛いフレーズだったり。
一席の中で自分が面白いと思う所をふくらませ、他は大胆に編集しちゃう
あたり上手いなぁと思う。

対する一之輔さんはなんとらくだです。
50分あげるから好きに使って、と言われて2席にするか1席にするか
ギリギリまで悩んだのでしょうね。

このらくだがまた素晴らしい。二つ目クオリティじゃないよ。
実は私の三大苦手落語に入っている「らくだ」なのですが、
聞いていて辛くなる終盤の陰惨な部分も、壊さない程度のギリギリ
笑いを入れつつ語ってくれるので、案外すんなり聴けてしまいました。
一之輔、やはり恐ろしい子!

トークコーナーもあったのですが、そこは割愛してちょっとこしらさん話。
不動院寄席になんだかんだで5年くらい通っているので、こしらさんは
結構見ている方だと思うのですが、最初の頃は
「うーん、面白い。
でも、この“こしらくご”が落語界でブレイクすることはないだろうなー」
と思っていたんですよね。

基本的な落語知識とかよりもっと根本的な、言うならば
「本人に落語界で落語家としてやっていく意欲」みたいなものが
まるで感じられなかったので。
他の仕事をやる時に役にたつから落語家という肩書はキープしておきたいけど、
真っ当な落語家に囲まれると粗が見えちゃうから目立ちたくないなぁ、みたいな(笑)

実際かわら版に掲載されるような目立つ落語会にはほとんど出なく、
落語家という肩書でうっかり呼ばれた営業仕事の話を愉快に語っていた。
そして、一番弟子をどうにかして志ら乃さんに押しつけようと頑張っていた(笑)

でも最近、なんだかこしらさんに「落語家としてやっていこうかな」という
意識が少し見えてきたような気がするんですよ。なんとなく。
何ヶ月か前の不動院寄席で真打トライアルの話が出て、兄さんは真打に
なる気があるんですか?と聞かれた時に
「うん、あるよ」
とあっさり普通に答えていて。そのあっさりさが妙に真実味を帯びていて
へーっと驚いた。志ら乃さんとらく次さんも軽く驚いていたように見えた。

はんにゃのANNに出ても引けをとらない程のトークスキルを持っているし、
落語家の肩書を持つタレントになる可能性の方が大きいかもしれない
と考えていたけれど。
うん、落語家メインで行くのいいと思う。
それでも“江戸っ子は~”のマクラは変えないんだろうなあ(笑)

rakugoオルタナティブvol.3「キョンちば」

rakugoオルタナティブvol.3「キョンちば」

「反対俥」柳家喬太郎
「転宅」千葉雅子
「マイノリ」柳家喬太郎/千葉雅子作
トークショー 柳家喬太郎、千葉雅子、ゲスト・河原雅彦

rakugoオルタナティブって何ぞや。ぴあの仕切りなのかな?
すごく久しぶりのキョンキョンでした。
いきなり反対俥で飛ばしちゃって大丈夫なのか!舌がもつれて
わけわかんないことになっていたよ(笑)

千葉さんの転宅はなるほど演劇的。
演じ分けは上手なんですよ。三味線のお師匠さんを演じる時は
小円歌さんのように艶っぽいし、泥棒はこみちさんに近い感じ。
じっくり演じてしまうのでなかなか笑いまでいかないのですが、
かなりうまかったです。

マイノリは、学生時代からの腐れ縁な男女の話。
男は落研、女は演劇サークル。
パンフレットの経歴からもわかる通り、喬太郎さんと千葉さんが
モチーフになっておりまして。
だから、なんとなくラブい展開になると聞いていてこそばゆかった(照)

爆笑ポイントは
「国士舘な、お前絶対いい神主になれよ!」
「国士舘卒が全員神主になるわけじゃないわよ!!!」
あと、ボートハウスで作った「OCHIKEN Tシャツ」

河原雅彦さんはどうにもハイレグジーザスの印象が抜けないなあ。
まちゃピコ、チャラい兄ちゃんからチャラいおっさんになったね~
でも、喬太郎さんが“俳優さんが落語を演じる時の悪い例”をやった時に

「でも喬太郎さん、舞台でそういう演技をしますよね」

というツッこみは鋭かったよw

2011年7月11日月曜日

春風亭昇太「オレスタイル」

春風亭昇太「オレスタイル」
 
生志 ちはやふる
昇太 二十四孝
昇太 二階ぞめき
昇太 船徳
昇太 マサコ

「四万六千日様、御暑い盛りでございます」

今年最初に高座にかけてくれたのは昇太さんでしたーパチパチ☆
力を入れるポイントを決めて他は短く刈り込んでいた印象
あと、船徳だけどハカマじゃなかった!

他は二十四孝も笑ったなあ~。
繰り返すたびにかかる笑いのドライヴ感が半端ない
これは昇太さんだけのものだよね