2013年7月25日木曜日

ペイジワンZ

飛石連休の藤井ペイジさんによる月1ライブ。
今回のゲストはロビンソンズ、鬼ヶ島、THE GEESE。
2組のはずが連絡行き違いにより3組となったが、
予告のあったシークレットゲスト(??)じゅんいちダビッドソンさんが
風邪でお休みしたためプラマイゼロに。
 
以前来た時と同様に企画もネタもトークもきっちり面白い。
初めて来るお客さんもリピーターも満足させる内容なのに値段は1,000円。
月イチで開催されている個人主催のお笑いライブで、こんなに平均して
コストパフォーマンスの高いライブはなかなかないのでは?
 
安定の藤井さんのつっこみ番長。
ピン芸人に毎回プロデュースしてもらう企画は、今回あかつさんの
スモササイズ。
お腹も出てないし綺麗な身体だなあ、と見ていたら、このスモササイズが
なかなか激しくてびっくり。
ドーンと身体を落とすところなんて腰にきそうで怖い。
(本人曰く、この動きは内臓にくる)
 
ゲストはネタを1本ずつ。
鬼ヶ島が赤い糸。THE GEESEがコールセンター。
ロビンソンズが弁当屋のクレーム。
初めて見たロビンソンズが私好みで、8月の単独に興味がわく。
 
企画は進撃の巨人対決。
この時期、背の高い芸人がこのネタ振られるのはお約束らしい。
犬の心&THE GEESEライブでも冒頭が尾関さんの巨人ネタだったし。
ロビンソンズ北澤さんは、巨人と言われるほど背が高くないのでは
という疑問を持ちつつ「でもホラ、顔がね!」と。巨人顔?
 
尾関巨人と北澤巨人でメンバーを半分に分け、この2人がゲームをして
勝った方が負けた方のメンバーをボコボコにハリセンで叩くという
バイオレンスな企画だった。
巨人以外のメンバーは応援しかできないというのが妙に面白い。
 
頭の手術をしたばかりの野田を心配してスルーする
心優しき北澤巨人。
対する尾関巨人はもの凄い勢いで味方までフルボッコ。
全員が北澤巨人を応援して、最終的に負けた尾関巨人は村を
逃げさる・・・なんだこりゃ~w
 
もう一つの目玉企画「じゅんいちダビッドソンを探せ!2」も
爆笑ものだったのに、風邪引いて本人休んじゃうんだもの。もったいない。
藤井「風邪で休むって高校生か。あいつ年齢は30代だけどゆとり世代だな」
写真のどこかに隠れているJDを探してみよう、ただし引っ掛けがあるぞ。
ダミーとして客席に座る沖縄ダビッドソン(与座)、浅草ダビッドソン(ナイツ土屋)
大輪教授(教授なのでキョンキョンと呼んで下さい)
 
写真撮影に協力してくれたお客さんが来ていたら生写真をプレゼント。
さらに毎月、企画と関連する面白い写真がついた1ヶ月分の
カレンダーを自宅のプリンターで作成して抽選でプレゼント。
もう・・・こんなに準備に手間をかけて、お客さんを楽しませてくれて
ありがとうございます!
 
この、お金じゃなくて手間をかける温かさ。
なんだか学生時代に泊まったスイスのユースホステルを思い出すなあ。
 
どこに行っても夕飯が高いし時間もない、今日の夜はどうしようかと
同行の友人と相談をしていたら、ユースホステルの経営者さんが
「うちでもディナーを出しているよ。今日は君たちだけだけれど
よかったら作ってあげようか?」
と提案をしてくれた。
 
値段が1000円くらいだし(物価の高いスイスで1000円は相当安い)
大皿のパスタでも出てくるのかな。
そう考えながら大きな食堂に座っていると、なんとコース料理の
夕飯が出てきたのだ!
ただし、サラダはレタスに市販のドレッシングをあえただけ。
スープは多分クノールを使って作っている。パンもきっとスーパーで大袋で売っている
普通のパン。メインはお肉とマッシュポテトだっただろうか。
 
それでも、おじさんがキッチンに立って2人のために調理して、ちゃんと
サラダ→スープ→メイン→デザート→コーヒーと一品ずつサーブしてくれた。
その心遣いがたまらなく嬉しかった。
最後に出された、スーパーのお徳用サイズアイスクリームをすくったのであろう
デザートを味わいながら
「こういうのって・・いいねえ」
「値段じゃないよねえ」
とニコニコしたのを思い出す。
 
新宿バイタスで見ていたライブが、いつの間にかスイスの思い出に
変わってしまった。
どちらも手間をかけ工夫をして、自分のできる限りのおもてなしをする心は
ちゃんとお客さんの心に届くのだという話。
 

2013年7月24日水曜日

阿佐ヶ谷姉妹&変ホ長調ライブ「大器晩成3」

<地味目なルックスの眼鏡おばちゃんが2人
会社勤めの長そうなベテランOLが2人
そんな4人の女性たちがライブを開催した
だって彼女達は・・・とびっきりの女芸人だったのです>
 
はぁ~幸せなライブだった。
30代、独身、都会に一人暮らし。
共感してしまう出来事ばかりだもの。
気がつくと身についているおばちゃんな思考&傾向あるある。
 
考えてみると彼女達と自分を「近い」なんて思うのはおこがましい
話なのだ。
片や、あのM-1決勝に出場した最初で最後のアマチュア漫才コンビ。
片や、歌ネタ王のファイナリストで人気急上昇の歌ネタコンビ。
平凡なOLの私から見れば遠い存在のはずなのに、彼女達の
親しみやすさと優しさは、そんな一方的な親近感を許してくれるような気がする。
 
本編は阿佐ヶ谷姉妹のネタ、変ホ長調の漫才、庭園でお散歩
ついでの大喜利大会、合同コント。
 
合同コントだけ抜き出してみると、よく台詞を噛むし、演技も
少々たどたどしい。でもそれが何だというのだ!
まるで、町内会の奥さんたちが忘年会で演じる余興のコントを、客席の
お客さん達もご近所さんになったような気分で、頑張って~と
応援しながら見る。
開始してほんの数十分程で舞台上の4人だけではなく、お客さんとも
友好的な関係を築いてしまう。
これはある意味、関係性で見せるコントの極地じゃないか。
 
そして、2組のネタがそれぞれ本当に素晴らしかった。
 
2006年当時はお笑いに興味がなかったので、この年のM1の記憶は
ほぼない。アマチュアで出た人がいたんだと初めて知ったくらい。
今回、生で見る変ホ長調の漫才の面白さに驚いた。
ゆ~ったりとしたテンポ。普段見る漫才のテンポに比べてあまりに遅いので
最初は違和感があったけれど、慣れるとぬるめの温泉に肩まで
つかっているようなホンワカとした心地よさがある。
 
30代~40代にストライクな話題(ガラスの仮面!)、OL経験からの
身近な職場あるある、今すぐハタチの子供欲しいわーなんて独身女性
で集まると言いがちな未婚トーク。
生活と地続きの漫才がここにある!もっと聞きたい、ライブがあれば
毎月でも通いたい。しかしそれは叶わない。
思わずジタバタしてしまう。
 
阿佐ヶ谷姉妹の「阿佐ヶ谷ふたり暮らし日記」
舞台に立つ2人がそれぞれの日記を手に持ち、同じ日の記録を
朗読するというネタがあった。
表情豊かに朗らかに語る姉エリコさんと、少しとまどうように
無表情にぽつりぽつりと読む妹のミホさん。
 
六畳一間に共に暮らしながら、同じ出来事もそれぞれの目線で
見ればこんなに違う。
しみじみと切なく、ちょっぴり哀しく、あたたかい。
 
せっかく作ってくれた冷やし中華だけれどコレ、ぬるいわ。
ならば言わせてもらうけれど、お姉さんの作る汁物だっていつも味が薄い。
そんな些細な言い合いの場面があった。
 
「他人なのだから、ちゃんと口に出して言ってくれなければわからないわ」
 
この後に必殺のフレーズがあり、客席はドカンと笑っていたけれど
私は切なさに胸がつまって涙がこぼれそうになった。
人は年を重ねると意固地になりやすい、と思う。
とりわけ女性が独り身で生きるためには自分を強く保つことが必要で、
それと引換えにちょっぴり我が強くなるものなのだ。
 
とびきりプライベートな空間である「家」では、自分の住みやすい
ルールを作り居心地よく暮らしたい。
六畳一間にアラフォー女性がふたりで住むと、どうしたって耐えられない
瞬間が出てくる。
でも、2人はちゃんとわかり合おうとする。
阿佐ヶ谷の2人暮らしはこれからも続いていくのだから。
 
酔っ払ってめずらしく上機嫌のミホさんが、ハーゲンダッツをごちそうして
くれたとエリコさんが嬉しそうに語る。
酔いが覚めて、ハーゲンダッツ2個はやはり高かった・・・とミホさんは後悔する。
 
<阿佐ヶ谷は、今日も雨>
 
日記の冒頭に繰り返し出てくるフレーズが情景を色濃くする。
季節が変わるごとに更新されるのであれば、毎月見たいと願う
秀逸なネタだった。
 

2013年7月19日金曜日

Simple Set Live

開場7時、開演7時半。なんて素晴らしい。
全ての会社が5時定時だと思わないでよね!と吠えながら、新宿の
ライブハウスはぎりぎりに滑り込み、下北沢より西はほぼ開演アウトで
しょんぼりしながら途中入場するOLに優しい時間設定。
K-PROは8時開始のライブも作っていますね。
このシリーズは出演者の数が少なく、その分持ち時間が
長いライブとのこと。
 
ドリーマーズ 
人生で一度も煙草吸ってない俺の健康はー!と叫ぶ
 
ラブレターズ
なんで俺だけハンサムなんだよー!と床に突っ伏して慟哭
 
グランジ
弟子は取らん帰れ!弟子は取らん帰れ!弟子は取らん帰れ!
エンドレスでもう色々狂っている
 
鬼ヶ島
野田さんに悪魔が憑いている
 
キャプテン渡辺
「この時点で狂って見えるのは僕の方だよ!」
 
マシンガンズ
西堀さんが例え話に出てきた人たちの事を深く深く考えすぎて
病んでいる
 
出てくる人たちが叫んでるか狂ってるか病んでいる。
ライブが終わって外に出るとゲリラ豪雨が暴れまわっていて
「今日の下北沢、仕上がってるな」と思った。
 
企画は出演者が2チームに分かれ、お題に沿ったエチュードをしながら
一人一人に与えられた指令も盛り込むという難易度の高いもの。
 
先輩チームはグランジ五明さんの素晴らしい機転でサクサクと
物語が進み、このままクリアなるかという所で鬼ヶ島野田さんが
盛大に足を引っ張る。
2回目の指令「うまいことを言う」札を首にさげたままエンディングまで
過ごしていた野田さんは、その光景がすでに罰ゲームのよう。
 
後輩チームは指揮を取れる人がいなくて基本グダグダ。
特に2本目は酷かったなーー。設定をグチャグチャにした挙句に
相撲で解決しようとするもどうにもならず
「タスケテ・・・タスケテ・・・」という悲惨な小声が漏れてくる。
 
なぜか罰ゲーム大会になったエンディングでは、超新塾と笑い飯
スタイルの漫才に挑戦し
「売れている漫才はフォーマットが優れている」
と感心する一同だった。

新ネタ会議

ラバーガール、ギース、ジンカーズの3組がお互いに新ネタを披露して
舞台上でアドバイスし合うというライブ。
ゲストにシソンヌ。
 
今回初めての参加なので、もっと喧々諤々と笑いを交えながら
積極的に意見を言い合うのを予想していたら、
 
「何かアドバイスのある方は?」
「いや~・・・・」
「・・・・(首をひねる)」
「うーん・・・もう完成してるっていうか・・・・」
 
みたいなトーンだったので、少々拍子抜けしてしまった。
お客さんお金払って観に来てるんだし、もっと何か言ってもらわないと!と
なぜかこちらがハラハラするという。
多分同じ焦りを持っていたシソンヌが、何とか意見を捻り出して
提示しようと頑張っていた。
 
ただ、今から思えば予想とはライブの傾向が違っただけで
「会議とは言いつつ一応客席の目線を意識して、あえて積極的に意見を出す」
「芸人同士の素の意見交換(言いにくいなぁという気持ちを隠さず)を
そのまま客席にお届けして楽しんでもらう」
新ネタ会議は多分後者のライブ。
 
その証拠にシソンヌ以外のレギュラーメンバーは、この沈黙多めの
意見交換のやりとりにまったく焦りはなかったし、リピーターがメインの
客席もこの雰囲気に十分満足していた。
自分ばかりが勘違いして焦っていたのね。
 
落ち着いてみてみると、さすがにプレイヤー側から出る意見は
見ている側からとは違うなぁと感心するものが多い。
これからあちこちでかけるネタだと思うので、内容については
書かないけれど
 
「4分ネタの割りには盛り上がりシーンが遅い」
「会場が大きい場合に細かい仕草が伝わらない」
「そもそもショートコント連作はKOC決勝には難しいというジンクスがある」
「第一声や服装を変えないと職業がわかるまでに時間がかかる」
「一度はけてから戻ると舞台に広さが出る」
などなど。
 
また、「これを見て、お笑い評論家の人だったら○○とか意見
言いそうだよね」「あ~、わかる」という会話もあり。
評論家の的外れな意見に、わかってないな~違うんだけどな~と
苦笑している芸人さんの苦労が垣間見える瞬間。
 
柔らかめのアドバイスはしても決して否定せず。
お互いにネタを作る苦労を知っていて、リスペクトしあう芸人さん達の
まったりとした良い雰囲気に浸り、私もやっとリピーターの方達と
同じ気分でこのライブが見られるようになったよ!
もうライブも後半だったけど!
 
ジンカーズのオンリーワンなネタが好き。
シソンヌの演劇的なコントもいい。
しかし賞レースがからむと「○○らしくていいね!」では済まされない、
勝つための戦略が必要となってしまう。
笑える箇所の多さであるとか、テンポであるとか。
だから多くの芸人さんは「賞レース用のネタ」を作るのね。
 
ふわふわしつつも笑いどころを沢山散りばめているラバーガールの
ネタはとても賞レース向きに見える。
ギースは・・・ギースは不思議だよねえ!
独特な設定を持つシュールなコントは一般受けしにくそうなのに、芸能人や
テレビといった大衆的なものを意外なほど盛り込んでくるから
案外ポップなイメージ。
 
私はどうこう語れるほどお笑いに詳しくはないのだけれど・・・
ふぇ~みんな違ってみんないいのにねえ。
難しいもんだなー。
 
 
 

2013年7月18日木曜日

ガレージシャンソンショー

好きなミュージシャンの復活に気がつかず終わってしまうほど
悲しいことはない。
だからかつてのファンに少しでも目に止まるように書いておく。
 
ガレージシャンソンショー、復活してるってよ!
あのポップでキッチュなガレージシャンソン歌手山田晃士と
変拍子の魔術師アコーディオン弾き佐藤芳明のユニット!
 
詳しい日程などはこちらで↓
 
山田晃士オフィシャルサイト“孤独中毒”
 
6年半ぶりの活動再会らしい。
もうそんなにたつのか・・・月日の流れが恐ろしいわあ。
かつて渋谷の7th floorを拠点として毎月ライブがあり、私も
時々足を運んでいた。
 
「見た目バンコランで伊藤ヨタロウさんみたいな歌うたう人と、ジャズ畑
なんだけど変拍子の鬼みたいなアコーディオン弾く人が組んでてね」
そんな風に親しい友人には説明していた気がする。
そう、メトロファルス好きの私にはたまらない世界観だった。
 
ではお耽美ライブなのかというと、そういうわけじゃなくて・・・お笑い?
毎回妙なコントしていたような。
山田さんのMCがピン芸人みたいに面白くて、佐藤さんは手品と
剣玉が上手だった・・・どんなライブだ。
 
とにかくもう一度会えるのが嬉しくてたまらない。
京都はザッハトルテと対バンらしい。いいな~遠征しようかしら。
 
今回調べていて、ガレージシャンソンショーに影響を受けプロに
なった姉妹ユニット「チャランポ・ランタン」を知る。
アコーディオンの調べ、情念的な歌、お笑い要素。
なるほど、ガレシャン聞いた子供がスクスク大きくなるとこう育つのか!
 
まだ若いんだよね、とプロフィールを見るとアコーディオン弾きの女の子に覚えがある。
小春さん・・・あっ、三茶の大道芸で出てた女の子じゃないか。
プロデューサーの橋本さんがニコニコして誉めていた、まだ10代だったお嬢さん。
ミュージシャンとしてプロデビューしていたのね。
意外で嬉しい再会。ガレシャンとのツーマンライブも行けるといいな。

2013年7月17日水曜日

末廣亭 7月中席

季節が変わると落語を聴きたくなる。 

7月の中席は喬太郎さんが鈴本で企画ものをやっているので、
そちらに 行こうかなと考えていたところ、友人から1度
末廣亭に入ってみたいという希望があったので行先を
上野から新宿へ変更。 

末廣亭の中席夜主任は林家たい平さん。 
彼女から「できれば怖くないのがいいなあ」というお願いがあった。 
この時期に落語を聞きにいくと、予告なく怪談話が
始まることがあるけれど たい平さんならば大丈夫だろう。 
なにしろ陽気で明るい芸の方だから。

 きく麿   北九州版金明竹 
ぺー    ギター漫談 
扇治    風呂敷 
勢朝    大使の杵
 仙三郎社中 太神楽 
たい平   青菜 

19時以降の割引で1400円。 
ほおずき市も近いから船徳かな、それともお得意のたがやかな?との 
予想ははずれ、トリのたい平さんは青菜。 
嗚呼これも季節ものだねえ。
押入れで汗だくになっているおかみさんを 
想像しながら、自分は空調の効いた入りもそこそこの寄席でのーんびり。 

仙三郎さんがお元気で土瓶を回してれると嬉しくなるし、一時期福岡に 
住んでいた友人はきく麿さんの金明竹改作にヒーヒー笑っていた。 

久しぶりに寄席の空気を吸った楽しい夏の夜。

2013年7月16日火曜日

ハイリンド「ヴェローナの二紳士」

初めて見るシェイクスピア作品。
演劇を見続けていると、なんだかんだでシェイクスピアに触れることは
多く、しかも毎年こどものためのシェイクスピアに通っていたので
メジャーどころは大体押さえているはず。
・・・上演されないものにはされないだけの理由があるよねー(苦笑)
やっぱり結末がえ~!!という展開だったけれど、最初から
「シェイクスピアの若い頃の作品でご都合主義」と説明されて覚悟は
できてましたから。はい。
 
というわけで今回は役者さん重視で観劇してみた。
抜群に良かったのがスピード役の江戸川卍丸さん。
なんて勘の良い役者さん!
シェイクスピアのような長台詞の多い芝居では
間違えずに台詞を言う→不自然にならないよう抑揚をつける→感情を乗せる、
という3段階が多分必要で、この行程を無理なくこなすのはかなり
難しいと思うのだけれど、彼はパーフェクトだったなあ。
 
しかも身体能力が高くて、演技と台詞と身体がぴったり一致しているような。
花組の谷山さんに近い感触。
以前におおのの「東京モダンガール」で見ているはずだけれど、今回の
ように広い舞台で動きの多い役の方が魅力的かも。
 
そしてはざまみゆきさんのジュリア。
男装してからのジュリアが切なくてね~。
シルヴィア姫の優しさに触れて「ジュリアは感謝いたします・・・」と伝える
場面で、彼女の心に溢れたであろう感謝の気持ちが台詞から
そのまま零れていてジーンときた。
おのれプローティアス!
 
シルヴィアは容姿端麗で品がよく、しかも心まで綺麗で
気丈なお姫様。
この役を無理なく演じていた木下さんも素敵だった。
 
 
 

博多華丸大吉の残業&アンサーメイカー

華大さんのイベント2回目。
モリエールへ会場を移しても完売という大人気ぶりで、前回の
シアターDがいかに狭くて競争率が高かったか伺える。
 
今回の新作漫才は華丸さんの高校思い出話をケラケラ笑いながら
聞いていたら・・あら、漫才終わっちゃったよ?という不思議な作品。
世間話をこっそり傍で聞いていて楽しませてもらったような。
100%盛ってない実話だそうで。
そして、博多のおじさんが登場しないネタだとのこと。あっ言われてみれば!
 
2人の漫才は華丸さんがひたすら人間味の溢れる楽しいおしゃべりとボケをして、
隣にいる大吉さんがそれを心底おかしそうに目尻を下げ、笑いながらツッこんで、
観客がその仲良さを愛でることでほぼ成立しちゃう。
大吉さんの中では緻密な計算があるのかもしれないけれど、ひまわりのように
明るい華丸さんを見つめているだけで幸せ。
彼もまた「決められた枠組みの中でとびきり自由になれる人」なのかもしれないな。
 
大吉さんの一人大喜利「アンサーメイカー」。
前回の反省点を踏まえて福岡ネタはほぼなくなり、ちゃんと2時間で
おさまるサイズのイベントになっていた。
MCは天津向さん、休憩中のゲストはヒロシさん。
 
それでも空白時間というか、大吉さんが考えている間に向さんが必死で
場つなぎする時間が結構しんどい。
もう一人いればトークが転がるような気もするけれど、トーク要員のため
だけに2人MC確保するのは難しいだろうし。
ロフトプラスワンでお酒でも飲みながら見れば客席の手持ちぶさた感は
なくなるんじゃないかと考えつつ、シラフの大吉さんがストイックに答えを
ひねり出している姿を酒のつまみにしてしまうのはしのびない。
難しいね。

2013年7月13日土曜日

トークセッション「別役実の世界」

別役実と聞いて思い浮かぶのは、かつて毎年行われていた
青山円形劇場フェスティバル。
別役実特集が組まれたその年のポスターに映っていた、ご本人の
写真がたまらなくかっこよかった。
いや、もしかしてポスターではなく演劇ぶっくの表紙だったかもしれない。
 
細身のスラリとした長身の別役さんが軽く腕を組み、くわえ煙草
をしていたかな?軽く身体を傾けてこちらを見つめている。
明るい色調とあいまって笑顔ではないのに怖さはなく、
飄々とした表情の中にまっすぐな信念が伝わる立ち姿。
 
現在新国立劇場で「象」が上演されている関連で、別役さんの
トークセッションがあった。
舞台セットの中央に作られた椅子に向かってゆっくりと歩く別役さんを
見て、ハッと息を呑む。折れそうな細い細い身体、右手には杖。
御年76歳。去年からパーキンソン病を患い、切っても切れない
関係だった煙草を辞めたと聞き、会場から驚きの声があがる。
 
失礼ながら、一時間のトーク大丈夫かしら?と不安になったけれど
そんな不安はすぐに杞憂に終わる。
ユーモアがあり、チャーミングで、自分の戯曲の特性を分解して
説明してくださるかくしゃくとしたおじいさま。
聞き逃したくない話ばかりで、気がつけば私はチラシの裏に
ペンを走らせて紙の隅々までメモを取っていた。
 
満州で過ごした幼少期から生まれた感性。
日本に引揚げて来た時に感じた「湿気」と「緑の濃さ」の
気味悪さ。
また、田舎の風景もどこか居心地の悪さを感じるという。
「田舎は自然と、人の住む人工物の境目があいまいで。
都会はここから自然、ここから人工物ときっちり分かれているでしょう」。
脈略なく続くもの、しゅん別できないものに気持ち悪さを覚える。
 
「月にぶらさがっている魚」という表現をロマンチックだとと
取られて驚く。魚はどこか死体を意味するような感覚として使ったから。
海のない満州の子供にとっての、水溜りや魚に触れることの感覚。
(覚悟という言葉を使っていたような気がする)
 
もちろん今回の「象」に関する内容も。
原爆症患者の方(ケロイド一号)をモチーフに、土門拳がわら半紙で
作っていた写真集に触発された話。
世間からの評判は当然のように悪く、しかし一部の熱心な演劇
ファンには絶賛されたが
「被害者の方からの反応は、ありませんでしたね」
という事実がなんだか胸に残る。
 
そして、別役作品の特徴に関する話題。
登場人物に名前がないのは、名前をつけるとバックグラウンドを
感じさせてしまうから。背後に風景が浮かんでしまう。
「でもこれは俳優さんには不評のようで。
経歴欄に~という芝居の“女3”を演じました、と書くのはねえ」
には笑ってしまった。確かにね~。
 
また、ベケットの影響は有名だけれどテネシー・ウィリアムスなどの
アメリカ演劇にも影響を受けているという話。
「あの頃の若い演劇人は、清水邦夫なんかも、アメリカ演劇には
興味を持っていましたよ。ヨーロッパの演劇にはない艶っぽいところに
惹かれたんでしょうね。」
 
なんだか想像してしまう。
今や大御所の彼らがまだ20代の若者で、格好つけてベケットの影響を
口にしながら、仲間内では
「ガラスの動物園は色っぽいな。ブランチとローラ、100年後にも評価が
高いのはどちらだと思う?」なんて言い交わしている姿を。
 
他にもたくさんたくさん素敵な話題があったのに書ききれない。
 
青山円形劇場フェスティバルで、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の
「病気」が、別役作品の喜劇部分だけを純化させた素晴らしい演出で
別役さん自身にとっても自作の喜劇性を確認できて、ふっきれた
良い機会になったこと。
(私も見たけれどずーっと笑ってた記憶がある!ちょっとカフカっぽいの)
 
喫茶店でずっと書いていたのは集中しすぎないため。
集中すると、脚本に感情移入をしすぎてしまうから。
 
今回のインタビュアーは扇田昭彦さん。
私が劇場に通っていた頃でも、都内の注目作のロビーには
かならず現れるので
「扇田さんは都内に3人いる」 「いや、5人だ!」
と蜷川幸雄影武者説のように語られていた方ですが。
 
膨大な上演歴、作品の分析、時には扇田さんの指摘する別役作品と
他作品の関連性から別役さん自身が思い当たる例もあり。
本当に・・・劇評家、いや評論家かくあるべし。
書評家の豊崎さんや映画評論家の町山さんの語っている
評論家とは!を私は扇田さんの演劇評で学んでいた気がする。
しかも常に穏やかで紳士的。
そんな扇田さんも72歳でいらっしゃるのですね。。。
 
芸術監督の宮田慶子さんが、若い頃から繰り返し夢中に読んだ
別役さんを招いてお話を頂けるのが夢のようだと、まるで少女の
ように嬉しそうに紹介していたのも微笑ましい。

病の影響で脚の震えが止まらないが、これが手にまでくると困るという。
握力がなくなったので使っているのは
水性ペン。
現在168本目を執筆中で、この先も依頼されている台本がある。
コツは毎日一行でもいいから必ず書くこと。

 別役作品、まだまだ現在進行形。

2013年7月10日水曜日

図書館の新世界

<豊かな声を持つシンガー・ソングライター田中亜矢
栗コーダーカルテットの活動を中心に、米アカデミー受賞「つみきのいえ」の
音楽も担当した近藤研二。
多くのユニットに参加、国内外で活動を続ける音楽家イトケン。
2枚のソロアルバムが多方面で年間ベストに選ばれたシンガー
ソングライターの宮崎貴士。
 
この4人が揃って生まれる1つのポップスの「新世界」。
新しい音楽がここにはじまります>
 
図書館というバンドがある。
名前の通り、夕暮れの図書館に佇みそっと目を閉じると聴こえて
くるような曲を作る。
4年前に名盤「図書館の新世界」をリリースし、現在はボーカル
田中さんのご出産をきっかけにお休み中。
 
タクシー怪談、空前のパンダブーム、シグレル etc
 
SF短編のような、おとぎ話のような佳作が集まる中、最高の
名曲は「図書礼賛」。
遠い昔に書かれた文章が書物となり、現在手に触れて読むことが
できる奇跡に感謝を捧げる歌。
公式ページで視聴できるので是非聴いてみて欲しい。
 
 
そして、この図書館のライブを久しぶりに東京で見ることが
できるという。
8/16MANDALA-2。
手帳にグリグリと丸をつけておこう。
 
 

2013年7月9日火曜日

ワラインプロ

毎日のように開催されているK-PROのお笑いライブ。
かもめんたる槙尾さん企画で、インプロとお笑いの要素を合わせた
新しいライブ「ワラインプロ」を始めるとのことで、第1回へ行ってきました。
メンバーは槙尾さん、ツィンテル勢登さん、さらば青春の光森田さん、
ラブレターズ溜口さん。
 
お笑いライブでもエチュード(即興演劇)はよく取り上げられていると
聞くし、それとどう違うのかが一つの興味だったのだけれど。
結果的には最後に作ったインプロコントとエチュードコントの差はわからず、
というか同じということでいいのかな。
インプロの講師を招いての公演で、前半はインプロの練習となる
ゲームを数種類。後半にそれを踏まえて即興でコントを2本。
「上手なインプロコントの作り方講座」を受講した気分になるライブだった。
 
私もずいぶん前にインプロを体験したことがあるけれど、人前に立つ
ことと目立つことが苦手な自分には辛かったな・・・。
目立つ必要はないんだけれどね。皆で作り上げていくのが目的なので
なるべく滞らないように、流れがスムーズになるようにもっていくのが肝心。
 
そんなインプロを芸人さんがやるとどうなるかというと、まず
「笑いを欲しがってしまう」。
見ている方は先に進めて欲しいのに(たぶん講師の方も)、わざと
しつこく繰り返したり混ぜっ返したりするからストーリーが止まっちゃう。
これ、一番ひどかったのが森田さんね(笑)
大阪の芸人さんっぽいなー。
ただ、機転が利いて失敗を恐れずにグイグイ進んでくれるのも森田さん。
彼がいなければ、ゲームもコントもなかなか前に進まなかったんじゃないだろうか。
 
芸人インプロ特徴その2「負けず嫌い」。
賞レースや投票ライブで常に競争を強いられているから?
とにかく失敗して負けたくない!という意識が強そう。
帽子をいいタイミングで叩き落としたら勝ち、というゲームで負けるのが
嫌なあまり、勢登さんと溜口さんがお互いの腕でお互いをがっちりホールド!
これじゃ埒があかない、と注意を受けて二人ともマイナス
ポイントがついてしまう。
 
もちろんネガティブな面ばかりではなく。
ラストのコントは講師の方も興奮するほどうまくいく場面展開が
何度も訪れた。
特に、溜口&森田コンビでやることになってしまった西岡中学校に
場内大爆笑。
 
とっさに2脚のパイプ椅子を西岡中学校仕様に前後に並べ替えて
勢登さんが校長先生の挨拶→槙尾さんが女子生徒で校歌斉唱アナウンス
→勢登さん(?)が口でリズムトラック→泣きながら校歌
という流れが素晴らしかった。
溜口さんは本気のテンション、歌詞があやふやな森田さんは微妙な
顔をしながらも「生徒の輪っ!」とか決めのフリが完璧。
 
1本目のコントがすっきりいかなかったので、ラストはいい話にして
綺麗に終わろうと作った野球コントも、終盤の流れがバシバシ
決まって場内は大興奮だった。
 
これは勢登さんのバランスの良さが際立っていた。
元が芝居好きなもので、“演技の得意な芸人”というより
“コメディが得意な役者”の香りがするツィンテルの2人は大好き。
今回は役者としての輪郭のくっきりした演技の上手さと、芸人的な
笑いどころを掴む勘の良さが発揮されていたな~と。
 
バッターボックスに立つ森田さんの後ろにスッと入ってキャッチャーに
なった所と、審判役で森田一家の状況をハハ~ンと察してデッドボール
にしてあげた演技!ブラボー
 
みんなが気持ちを共有できる流れ=王道展開なわけで、
とてもベタなストーリーなのだけれど、ベタって見ていて気持ちがいいもんだ。
多分そのベタさに照れた芸人さんたちは、最後の最後でヒネって感動
ではなく笑いにしてしまったけれど、そこが「ワラインプロ」らしい良いラスト
だったと思う。

2013年7月8日月曜日

ウィーンミュージカルコンサート2

<ウィーン・ミュージカル・コンサート2>
出演者:マヤ・ハクフォート、マーク・ザイベルト、アンネミーケ・ファン・ダム
イングヴェ・ガーゾイ・ロムダール、ルカス・ベルマン、ケヴィン・タート、オク・ジュヒョン

先日、オーケストラリハーサルを体験したウィーンミュージカルコンサート2。
さあ、本番だ。Bunkamuraへいざ参る!とチケットを握り締めて劇場へ行ってきました。
オケリハではTanz der Vampireにウルウルきたのに、今回はMOZART!で涙が
止まらないよ。

Yngve~!!YngveのWolfgangを再び見ることができるなんて!!(叫)

私がウィーンでTanz der Vampireにメロメロになっている頃、ちょうどウィーンで
MOZART!が始まったのだった。
全てのキャストが完璧な中、まさに星から降る黄金のように舞台上でキラキラ
輝いていたのが主役のYngve。内側に無邪気な子供を宿す天才青年。

その後日本で上演されたモーツァルトは、主役のウォルフガングが線の細い、
どちらかというと少年に近いあどけなさの残る外見&キャラクターだったのに比べ、
ウィーン版はガタイの良い「見た目は大人」だったんだよね。
だからこそ中身のわがままで子供っぽいところが際立っていた。
(韓国版もこのパターン)

彼ももう40歳を過ぎているということで、第一声を聞いた時は「ああ、声が太く
低くなったなあ」と思ったけれど、その後のヤンチャな表情・歌い方・はしゃぎっぷり
を見て、意識があの頃のウィーンに引き戻されてしまった。
小さなアマデをぶん回し、姉のナンネールlとキャッキャとはしゃぎながら歌う姿
絶望の歌声、慟哭・・・それはそれは凄かった。
アン・デア・ウィーン劇場での彼のパフォーマンスを見て、心惹かれない人なんて
いるのかしらと呟くほどに。

悔しいのはウィーンオリジナル版MOZART!はベストの状態の音源が残っていないこと。
現在発売されているスタジオ版は、舞台が始まる前に収録されたものなので
まだ出演者も歌いこなしていないし曲も揃っていない。
YngveのIch bin Musikは舞台をこなすごとに絶品になっていき、CDでは硬く感じる
ナンネール役のCarolineもとーってもチャーミングなのに。
レオポルト役のThomasとコロレド司教のUweはスタートから完璧だった。
さすがな2人。

あっ、そうだ。最初はウォルフガング役のセカンドキャストで、その後Wキャストに
昇格したRob Pelzer!彼もYngveとはまた違う魅力的なウォルフガングを演じていた。
少し若くて繊細でね。
今からでも2枚組ライブ版を出して欲しいなあ。

モーツァルトの話題しか書いてないけれど、パフォーマンスは当たり前のように
素晴らしかったですとも。正直エリザベートはもう聞き飽きたから他のミュージカル曲を
増やして欲しいと考えていたのに、始まった途端うっとりしてしまう。主にMaya様に。
シシィと息子の関係はなんて切ないのだろう。
「僕達は似たもの同士 もし僕が鏡だったなら 僕の中にご自分を見るでしょうに 
だから、僕が貴女を見つめると 僕の中の自分を感じて 思わず目を背けるのでしょう?」

そして今回は韓国からオク・ジュヒョンさんが参加。
なんとなく参加には色々な背景や思惑がありそうな気がするけれど、それは彼女には
関係のないこと。自分も含めて「せっかくウィーンミュージカルなのだから
ドイツ語で聴きたいのになぁ」と思っている観客の前で歌うのは重荷だと思う。
それを有無を言わせない歌唱力で押し切るのは立派。

賛否両論あるけれど、韓国ミュージカル界の「外貨で稼ぐための環境整備」は
素直に感心する。というより、日本が旧態依然としすぎ。
私は過去にHedwigとMOZART!を見るために2度ソウルへ行ったことがある。
その時には事前にチケットを買いたくても、韓国のサイトは国民保証番号を入力
しなければ使えない仕様になっていたため、カード会社に頼るか当日券を狙うしかなかった。

しかし、どうやら日本からミュージカルを目当てに韓国へ来る観光客が多いと
気づくと、日本からは保証番号入力をしなくても購入できるようサイトが変更されていた。
また、日本の下北沢にあたる劇場街・テハンノには演劇センターがあり、様々な
舞台情報が1カ所で手に入る。
外国からの旅行者が歌舞伎以外の芝居を急に東京で見ようと思いたっても、情報を
探して自分でチケットを買うのは難しいだろう。

いや、チケットより帝国劇場・日生劇場クラスで上演しているミュージカルの
「平日昼公演の多さ」が謎。しかも夜公演の開演時間も早かったりする。
新国立劇場の芝居も国立演芸場の落語も同じじゃー!
平日の夜公演があるのは金曜だけで、他の日は昼席だけですって誰のための
落語だ国立演芸場ーー!(怒)

ウィーン版エリザベートが新宿コマ劇場で来日上演されるという素晴らしい機会が
あったのに、子役の労働法(?)か何かの関係で平日の開演時間が夕方で、
空席だらけの会場にウィーンミュージカルファンは悔しくて泣いたよ・・・
キャストに申し訳ない・・・。

他にも上が詰まってて若い伸び盛りがもったいないとか(あっ!)、色々言いたいこと
いっぱいあるけどさー。
頑張っておくれよ日本のミュージカル界。
海外に輸出できるような日本発ミュージカルの誕生も夢見ているよ。

2013年7月3日水曜日

ウィーン・ミュージカル・コンサート オーケストラリハーサル

今月末から始まるウィーン・ミュージカル・コンサート2。
ぐずぐずとチケットを取らずにいたらおけぴさんでパンフレット付きの
チケットが発売、しかも購入者は抽選でオーケストラリハーサルの見学が
できる、というので購入したところ当選!
会社を早退していそいそと渋谷Bunkamuraへと急ぐ。

今回はあくまでもオーケストラの音あわせで、キャストの参加はなし。
いえいえ、がっかりなどしませんよ。
芝居好きとしては、普段入れない劇場の裏側に潜入するだけでも
嬉しいもの。
「5月 パリオペラ座行き」なんて書かれている巨大な箱を見るだけで
テンションが上がる。

地下のリハーサル室後方にパイプ椅子を二列並べてもらい座る見学者。
部屋の中央にはオケの皆さん。そして全体を見渡す位置で指示を飛ばすのは
もちろん踊る指揮者・塩田さん。
緊張する私達に「リラックスして下さいね。NYフィルもウィーンフィルも、稽古を
一般に公開しているものなんですよ」なんてトークをして下さり。
1時間程のリハーサル風景を見せて頂いた。

いや~、あんなに細かく変更を入れるものなんだなあ。
楽器を変えてみる、テンポの上下を試す。全体の流れを考えて塩田さんが
各パートにコメントを入れ、ミュージシャンはそれに答える。
ミュージシャンの方から「その変更だとココが・・・」と指摘する場合もあり
前日に決めた変更がまた戻るパターンもあるようで、その都度譜面に
書き込みをしているけれど、グジャグジャにならないの?消えるボールペンとか
使っているの?と余計なことを気にする私。

当日演奏される曲目までもう発表されているので、あまりネタバレは気にしなくても
いいと思うけれど一応ざっくりと。
1時間ほどのリハーサルの中でモーツァルト!とレベッカの曲を少々。
他はほぼダンス・オブ・ヴァンパイアの曲だった。

もうね、自分の中のダンス・オブ・ヴァンパイア、いや、Tanz der Vampire好きの血が
騒いでたまらなかったーーーー!!!
12年ほど前にこのミュージカルの追っかけしてたんだもの。
狭いリハーサル室で聴く生のオーケストラの迫力は想像以上で、まるで自分が
オケピの中にいるよう。そして目を閉じると、あの懐かしいライムント劇場にいる
気分だった。

オリジナルキャストArisのアルフレートは天使の羽のように軽やかな歌声。
ザーラ役のConnyはどこか切ない色気とハスキーな声を持つ、その後のザーラでは
あまりお目にかかれないタイプの女優だった。
私が出合った頃にはもうSteveは出ていなく、いつか彼の歌声を生で聴いてみたいと
夢見ていたのに、残念ながらこの世を去ってしまう。
そしてなぜかウィーンのTdVは歌と演奏のテンポがめちゃくちゃ速くて、後からCD
を聴いたらその速度の違いに驚いた程だった。

まだ20代の新人で、なよなよとしたオカマ演技が絶品だったハンガリー俳優
Mate Kamaras。約10年後、彼のステージを日本で頻繁に見ることができるなんて
ウィーンのチケットBOXで必死に学生券を取っていた私に教えてあげても
決して信じてはくれないだろう。

ドイツ語とミュージカルと一人旅。
私の青春の日々。

<ウィーン・ミュージカル・コンサート2>
出演者:マヤ・ハクフォート、マーク・ザイベルト、アンネミーケ・ファン・ダム
イングヴェ・ガーゾイ・ロムダール、ルカス・ベルマン、ケヴィン・タート


2013年7月2日火曜日

Join vol.4

出演:ムートン、ジグザグジギー、ラブレターズ

前回、北海道出身芸人を集めた企画「私たちはどさんこ芸人です!」が
面白かったお笑いライブ「Join」に今回も参加。
ゲストとレギュラーメンバーが定まっていない不思議なメンバーブッキングらしい。

レギュラーメンバーはこの3組だよね!と確認した後で、最初のOPトークは
最近好きな食べ物について一人ずつ紹介。これで30分くらい。
次に各コンビでネタを1本ずつ。

最後に企画「食べ合わせクイズ」。
ステージに長机が用意され、その上にかなりの数の食材が載っている。
いわゆる<プリン+醤油=うに>のようなもので、食べてみて何に似ている味か
答えるパターン。逆もやってみようということで「いくら=?+?」のように答える
パターンもあり。
結果的にこのコーナーで1時間使っていたらしい。

見ていても半分過ぎたあたりでさすがに長すぎると思ったし、実力派のコント師
3組を集めて短いネタ1本ずつはもったいない。
そこでアンケートに
「せっかくなのでせめて皆さんのネタを2本ずつ見たいです」
と書いたのだけれど・・・帰宅してからちょっと反省した。
きっと、Joinは企画メインのライブなのだろう。
それを、こちらが勝手にネタを期待してしまっただけ。

ネタを沢山見たいならば、東京では他にいくらでもお笑いライブがある。
他との差異を明らかにするために、このライブは芸人さんのネタ以外の魅力が
味わえる企画をメインにしているのかもしれない。
他と違うといえばHPがシンプルながらとても細やかなのも特徴で、ライブレポートは
写真も沢山、しかもスタッフによる各芸人さんの裏話も載っていて楽しい。
作り手の女性ながらの細やかさを感じる(・・・女性スタッフメイン、だよね?)

Joinホームページ
http://56.xmbs.jp/join/

何よりお値段1000円という安さなので、本来ならば申し訳なくて文句言える
立場ではないのです。
さらに、今回のカーテンコールでは抽選でオリジナルQUOカードまでプレゼント
していた!えええ~大丈夫?その潤沢な資金はどこから~?!
思わずこちらが心配してしまう。

次回は秋に2ヶ月連続で予定されているようなので、企画を見るぞ!という気分で
参加するつもりです。

2013年7月1日月曜日

バチバチエレキテる 入替えスペシャル

以前にも書いた深夜の若手芸人番組「バチバチエレキテる」SPが終了。
出演芸人はうしろシティ、プリマ旦那、カーニバル、ラブレターズ、デニス、ニューヨーク。
生放送のバタバタ(びっくりするようなスタッフのミスも込み)の結果、入替え
になったのは女性コンビカーニバルだった。

結果的に番組HPで行った視聴者投票、MCの濱口さんが番組中に入れたマイナス
ポイント、生放送の相撲で決まるというまさかの展開。
視聴者投票はほぼ人気投票になっていたので、女性が多い若手お笑いファンの中では
カーニバルは不利だ!という意見を多く目にした。

私もそう考えていたのだけれど、後日「相撲でカーニバルがラブレターズに勝てば
順序が入れ替わっていた」という事実を知る。
なるほど、カーニバルにとって“勝てない戦い”ではなかったのね。
それを含めて考えてみると、言われるほど無茶な方法ではなかったのかもしれない。
人気のある芸人を取り上げることはテレビバラエティならば当たり前だから
人気投票で上位のコンビが残ることにも問題はない。
しかも中身のない人気ではなく、うしろシティはコントの実力があるし、プリマ旦那は
スタジオのトークで抜群の能力を発揮している。

ただ、神経をすり減らす程この番組のレギュラーにかけている出演者の心境を思うと
努力の仕方もわからないような、あやふやなポイントの付け方はあまりにも気の毒。
ぐっだぐだなスタッフのミスと併せて!次回には改善されていて欲しい。
あれはもう・・・ねえ?
文句も言えないような若手芸人を実験材料にして、バラエティの若手スタッフに生放送の
お勉強をさせるのが目的だったのだろうか?と勘ぐってしまうよ。

入替えにならないで欲しいと願っていたラブレターズは首の皮一枚で繋がり。
番組が進むごとに、溜口さんにヒール役のイメージがついていく…。
内に隠れていた心のブスがイベントで発覚して以来各所でイジられていたけれど、
ついに自らのキャラにしだしたわけですね。
単独ライブが評価される劇場型のコント師を目指しているのかしら?と予想していたので
そのキャラがマイナスイメージにならないかな~と心配をしつつ。
でも、今は全てを武器にしてがむしゃらに前へ進むしかないのだろうな。

そんな溜口さんのめったに更新しない個人ブログに、バチバチエレキテるに関する
想いをしたためた文章がアップされていてちょっとニヤニヤしたり。
番組ブログの対談を読んで・・・やっぱりちょっとトガり方が妙かもと思ったり。
変わった人だなあ。そこが魅力なのだろうね。