2014年1月28日火曜日

大人のカフェ「おしゃべりホットココア」

大人のカフェ第3回単独公演「おしゃべりホットココア」を観ました。
劇場はスズナリ横のシアター711。
出演は飯野智司、加賀成一、伊達さん。ゲストに女優の東塚菜美子さん。
 
大人なカフェメンバーは、お笑い養成所の同期だった3人が立ち上げた
コントユニットとのことです。ASH&Dの東京コントメンに新人コーナーで出ていた
ピン芸人・伊達さんが気になり、今回前情報がほとんどなく観にいったのですが
クオリティが高くてびっくりしました。
 
コント脚本ももちろんですが、立派なチラシ、カメラワークまで凝り、
どう考えてもプロの犯行なコント間の映像ドラマ。
(やはりプロの映像作家さんの作品でした)
若手公演にありがちな「お金はないけれど、工夫して頑張って作りました」
という、いわゆる貧乏臭さがまるでない! いい事だと思います。
 
インタビューを読んだら、三谷幸喜作品が好きだと書かれていたので
そこを意識した面もあるのかな?三谷さんも東京サンシャインボーイズを
主催していた頃から、小劇場の貧乏臭さは嫌いだと言っていましたから。
 
いぶし銀の俳優のような趣きのある飯野さん、みんなにイジられるのが似合う
憎めないキャラの加賀さん、謎めいた雰囲気の伊達さん。
三者三様のキャラが立っていて、どのコントも楽しい。コント台本は全て
伊達さんの担当なのかな。伊達さん、ラバーガールの飛永さんとライスの関町さんを
足して2で割った感じの飄々さがいい味を出しています。
 
上に書いたとおり、映像パートも5分ドラマとして深夜にテレビで流れて
いそうな質の良さだし。コントユニットというか、いい劇団を見つけた気分。
6月の次回公演も要チェック!
 
 

花組芝居 水下きよしさん

花組芝居の水下きよしさんがお亡くなりになりました。
体調不良で休演のお知らせは来ていたけれど、まさかそんなに病状が悪化
していたなんて。関係者の方々の書かれたツイートやブログを拝見したところ、
ギリギリまでお芝居の演出をしようと企画されていたようで。
 
もちろん個人的な付き合いなどない、だたの1ファンでしたが。
大柄で優しくて素敵な俳優さんだったなあ。水やん。
高校生の頃に「泉鏡花の夜叉ヶ池」で花組芝居に出会い、それから
ずっと見続けています。
この運命の出会いをした公演で主役・晃を演じていたのが
水下さんでした。あんな男性と添い遂げられたら、どんなに幸せだろうと
思ういい男だった。百合は植本潤さんで、こちらも可憐でね。
 
花組芝居の大黒柱のような人。
しばらく皆、辛い思いをすることになるね。。。
 
現在、花組芝居のホームページに「水下きよし写真館」ページが
できています。加納座長の愛溢れる解説付きです。
 

2014年1月22日水曜日

芸人狼~360°から狼が狙っています~

去年の11月に上演された「芸人狼」 in 青山円形劇場。
次回公演も発表されたので、覚書程度に残しておこうかなと。
 
MAN WITH A MISSION「hasta la vista」にのせて流れる
かっこいいオープニング映像はこちら。狼つながり?
 
出演はうしろシティ、鬼ヶ島おおかわら、オジンオズボーン、ジグザグジギー
ライス、ラバーガール。ラブレターズの溜口さんはMCでした。
役職は人狼、狂人、狩人、ハンター、占い師、騎士とベーシックなところで。
 
印象的だったのは初参加のおおかわらさん。
ルールを把握していないだけなのか、巧妙な計算をしているのか
見ていて全然わからない。
 
やたらとのけぞってカードを見たり、人をからかったり。基本的によく喋る。
人狼は喋りすると疑われる傾向にあり、また他も役職がつくと緊張してリアク
ションが固くなるのに。なんだろう、あのストレスフリーな振舞いは。
前回参加の鬼ヶ島野田さんとは、また別の混乱をまきおこしていました。
絶対頭いい人だしなー。でも、変な人でもあるしねー。
 
たくさん喋って盛り上げてくれる方が、見ている側としては楽しいので、
スパローズのいない静かめな今回の芸人狼を賑やかにしてくれた彼には、
敢闘賞を差し上げたいです。
 
本来のルールからは少々はずれるのですが、芸人狼では客席の
反応(最初の夜)から役職を探る、ということがよくおこります。
 
感心したような声があがると、かしこそうな人がそれらしい役職についた
んじゃないか?とか。
飛永さんが占い師になった時にそんな反応がありました。
ゲーム終了後のトークで
「もう~頭良さそうだから占い師っぽいとか!そういうのやめてよー」と、
かわいくフザけていました。
 
客席から爆笑がおこると、予想されるのが何パターンかあり。
・同じ人が連続で同じ役職につく
・あまりにもらしくない人が人狼になる
・コンビ2人で人狼になってしまう
 
今回はオジンオスボーンが揃って人狼になる回がありました。
ギャグでおなじみの篠宮さんは、動揺を見破られないように自分のカード
を見たらとりあえず叫ぶ!という面白い戦略をとる。
一方、高松さんかなり他人を疑う鋭い発言をして、自分に疑いを向けさせ
ないように、あえて防御のための攻撃をしていた感じ。
二人揃って見事に勝利!かっこよかったです。
 
忘れちゃいけないのはライスのお二人さん。
こちらはコンビ揃って気の毒だったなあ。関町さんに冤罪キャラがついて
いるもので、何のヒントも根拠も見つからない場合はとりあえず関町さん
を殺す、というお約束ができているものだから。
関町さんの相方というだけで、田所さんもついでに殺されるという。
 
しかし、最後のゲームでは関町さんがハンターを引いた!
あの殺されるだけでは終わらない、自分が死ぬときには誰かを道連れに
できるという、死に際に見せ場があるハンター!
・・・ああ、それなのに、あまりにも序盤で殺されたためヒントが全くない。
疑わしい人がわからないので、テキトーに選び。選んだ人は普通の村人で
まるで役にはたたなかったという。。。
 
あとは、いつも通りうしろシティ金子さんがかわいかったですよ。
あの人がフリップに字を書いている姿は、なんであんなにかわいいん
ですかね。
 
そして初MCだった溜口さん。
最初の説明からアタフタとして皆にツッコまれていましたが、ゲームが
進むにつれて慣れてきたのがよくわかりました。
ゲーム中は全く口出しをしない、あくまでも進行に徹するシンプルな
MCぶりが良かったように思います。(興奮して昼と夜を間違え、
音響と照明を戸惑わせたりもしたけれど)
 
特に夜のターン、円形劇場の真ん中に立ちゆっくりと回りながら
役職達に問いかけていく場面では、どことなく芝居がかっていて
演技力のある溜口さんの見せ場だったのではないでしょうか。
・・・あの場面、目が回るだろうな~大変だ。
 
そんな溜口さん。次回の芸人狼&スピンオフ公演の両公演で、
再びMC役に就任するそうですよ。
ごきぶりポーカーの時に「スラッシュパイルさんにハマれるかどうか
かかってるんだから!」と、欲望丸出しで叫んでいたけれど。
これはハマったんじゃないの?
 
残念なのは、次回の芸人狼も青山円形劇場だということ。
完全円形のため出演者が舞台を囲むように丸く並び、中心を
向いて立っているので、常に1/3くらいの人の顔が見えないんですよね。
背面になる方向だけでも決めて固定してくれると、ありがたいんだけどなあ

2014年1月21日火曜日

ガレシャン出演「すっぴん」

2月に開催されるライブ「思い出し笑ひ」の宣伝のため、あの濃ゆい
ガレージシャンソンショーが朝もはよからNHKラジオに出演していました。
 
・サーカスサーカス
・流浪の朝謡
・幕切れはひとり
 
 
山田さんのとぼけた口調と味わいに、からくり人形設定を
守ってみた佐藤さん。
まだけん玉お好きなんですね!当時はヨガにも凝っていたような。
 
生演奏も嬉しかった~。
去年、チャラン・ポ・ランタンのライブにガレシャンがゲストで出演した際、
私は2DAYSの2日目に行ったのですが、まさかのセットリスト2日間バラバラ
という。2月ライブのリハも兼ねていたのかな?
両方行けばよかったーと悶えたので、あの日聞けなかった曲がラジオから
流れてきて思わずニヤリ。
♪どうにかなるさ なんとでもなるさ~のコール&レスポンスが、えらく
ラジオリスナーの心を捕らえていたようです。
 
チャランポのライブで、ものすごく久しぶりに生のガレシャンを見たわけですが。
お二人共、演奏にも歌声にも豊かさが増して凄いことになっていました。
山田さんのドラマティックな歌声は、熟成された赤ワインのように芳醇で。
佐藤さんのアコーディオンは、ただテクニックが高いだけではなく、もうそれは
大前提で、1音1音をどう粒立てるかという熟練のレベルに達している。
熟成と熟練。熟れまくってるわあ。
 
2/15がたまらなく楽しみ。目を見開いてステージに心を預けようと思います。

2014年1月20日月曜日

私の愛したレストラン~ア・ラ・カルトに感謝をこめて~

青山円形劇場の師走の風物詩「ア・ラ・カルト」が、こどもの城の閉館と
併せて去年末で終了となった。なんとも言い表せないような寂しさを感じる。
何しろ、高校生の頃から通っていたもので。
 
一週間ほどだった公演期間が一ヶ月間に延び。
世間の規制を受けて、ワインサービス
が有料になり。
2度ほど公式パンフレットが作成され。
1度だけ、シアターテレビジョンで
放送もあり。
 
10年前も15年前もあったレストランが
もう今年の年末にはないのだ。
 
ア・ラ・カルトを語ろうとすると、どうしても自分語りになってしまう。
毎年欠かさず足を運ぶファンにとって、その年を思い出す道標のような芝居だったから。
 
ア・ラ・カルトは優れたコメディだった。
 
前半で上演される、サラリーマン高橋と
その彼女(後に妻)典子の
カップルによるドタバタコメディは、台詞も会話も軽やかでテンポが抜群。
二人の会話には、必ずその一年の出来事や
流行語がうまく挟みこまれる。
ここのパートだけを初年度から全て
集めてDVD化すれば、25年間の
日本のトレンドを笑いと共に追うことの
できる、演劇史に残るような作品に
なったでしょうに。
 
また、舞台のメインとなる男女の
ラブコメディ。
オシャレで、楽しくて、キュートで。
何より脚本が素晴らしい。
小劇場にハマり、それなりに沢山の
芝居を見るようになっても“ア・ラ・カルトの
ようなコメディ”にはなかなか出会えなかった。
しかし、この感覚はどこかで馴染みがある。
一体どこで見たんだろう・・・?
 
その答えは、アメリカのコメディ
ドラマにあった。
フレンズ、フレイジャー、フルハウス。
ラブコメディであっても、しっかり
「コメディ」要素の強いアメリカのドラマ。
しかも吹替え版。
これだ!ア・ラ・カルトの笑いの
入れ方とテンポの良さ!
過去に脚本の高泉さんが、おすすめの
ドラマとしてダーマ&グレッグを挙げていて
そのコメディセンスに嬉しくなったものです。
 
ア・ラ・カルトはジャズの先生だった。
 
客席に配られている、メニュー表を模した
無料のパンフレットにはシーンタイトルと
共に、必ず演奏される曲名が入っていた。
このお芝居を観にいき、「ジャズって古臭い
曲ばかりじゃないんだ!」と衝撃を受けた
高校生の小娘は、曲名を書いたメモを片手に
レンタルCDショップと図書館を駆け回ることになる。
なにしろ、インターネットで検索など
できない時代だったから。
 
狙って借りたのにボーカルが入っていない、
アレンジが気に入らないということもしょっちゅう。
でも、そうやって借りたCDの中で数多くの名曲と出会った。
白井晃さん演じる歌姫・ペギーさんのおかげで、
シャンソンを聴くきっかけにもなったしね。
また
「ジャズライブでは、ミュージシャンのソロパートの後に拍手する」
などの作法を教えてくれたのもア・ラ・カルトだった。
 
ア・ラ・カルトはお酒も教えてくれた。
 
食前酒(アペリティフ)だけではなく、コースの最後には食後酒(ディジェスティフ)
があること。シャンパンは魚料理にも肉料理にも合うこと。
そして様々な名前の綺麗なカクテル。
ダンディーな陰山ギャルソンと、オチャメな
白井オーナーによるワインの解説は、実際にとてもためになった。
 
・・・こっそり告白すると、私が初めてお酒を飲んだのもア・ラ・カルト。
試飲用のような小さなプラコップに、1杯だけ白ワインを。
また、以前は夏に上演していた「きまぐれJazz倶楽部」で
サントリーのピーチツリーフィズを1缶飲んで、ちょっと
フラフラに・・・高校生でした。
ごめんなさい。
 
ア・ラ・カルトは青山円形劇場の達人だった。
 
青山円形劇場の完全円形という特徴を、100%
使い切っていたのがア・ラ・カルト。
たぶん日本一。
ということは、世界一の青山円形劇場使い。
生演奏に乗せて、出演者がテーブルの方向を
振り付けのようにスマートに変える。
芝居の中でまるで違和感なく席を移る。
ショータイムもどの席に座っても見えづらくなく、全方向に歌と踊りを届ける。
 
あまりにもストレスなく見ることができるので、完全円形ってそんなに難しく
ないのかも?と勘違いするくらい。そして、この劇場で別の芝居を見ると
ア・ラ・カルトの演出技術の高さに唸る。
 
さらに、演出の吉澤耕一さんが照明家として活躍しているだけあり
照明による演出も素晴らしい。
 
レストランの開店と共に強さを増す明かり。
踊る出演者の影が、まるで影絵のように壁面に映る。
老夫婦を照らす、包み込むような温かい光。
ア・ラ・カルトでは、生演奏の音楽が台詞と同じくらい雄弁に物語を
語るけれど、照明もまた同じく。
 
どうしても高泉淳子さん、白井晃さん、陰山泰さんの初期メンバーに偏った
感想になってしまいましたが、個人的な思い出と言うことでご容赦下さい。
劇中で使われた曲を集めたマイ・カセットテープも、貴重なパンフレットも
キュートなちらしも。みんなみんな、私の大事な宝物です。
 
さようなら、私の愛したレストラン。
ありがとう。
 

2014年1月9日木曜日

阿佐ヶ谷姉妹ライブ「はじめてのディナー」

2013年12月1日 新宿ミノトール
 
初単独ライブがディナーショー。
この設定だけで成功したも同然の、阿佐ヶ谷姉妹ライブに足を運びました。
 
新宿ミノトールは普段から食事を提供するライブハウスで、ジャズライブハウスに
近いアダルトな雰囲気の会場です。料金にお料理1品・ワンドリンクが含まれていて
サラダ・キッシュ・パスタなど、どの料理も結構ボリュームがありそう。
昼食が遅く、あまりお腹が減っていなかったため、私は2ドリンクに変更しました。
 
この日の年齢層がまたアダルティで、平均40歳以上・・・?
普段はお笑いライブで、若い女の子達の中で肩身の狭い思いをしているのに。
やだ、今日の私は若い人かもしれない!
それはともかく、開演まで時間が余ってしまいましたよ。
1時間もどうやって時間を潰そうか悩んでいたところ、相席となった女性が話しかけて
下さり、二人で阿佐ヶ谷姉妹と変ホ長調の素晴らしさについて熱く語っていたら
あっという間に時間が過ぎていきました。ありがとうございます。
 
客席からの温かい眼差しの中、ちょっと緊張しながら様々なネタを披露してくれ阿佐ヶ谷姉妹。
ディナーショーということで、歌が多かったのが嬉しかった。カラオケ対決番組で聞くエリコさんの歌声が美しく、彼女の歌だけが詰まったipodが欲しい!と叫ぶほどなのですが。
できれば点数だの音程正確度だの、余計なストレスのないシチュエーションで
心ゆくまでエリコさんの歌を堪能したいと思っていたので。
 
1 恋のフーガ(姉妹)
~阿佐ヶ谷姉妹コンサート~
2 あの鐘を鳴らすのはあなた(エリコ)
3 時には昔の話を
(ピアノ:ミホ 歌:エリコ)
~阿佐ヶ谷二人暮らし日記~
4 Woman~Wの悲劇(歌:ミホ)
5 星に願いを~幻想即興曲(ピアノ:ミホ)
6 くちばしにチェリー(エリコ)
7 恋人達のゴム脳(斉木しげるさん&姉妹)
~コント「わんこそばや」~
8 山寺の和尚さん(斉木しげるさん&姉妹)
9 やさしさに包まれたなら(姉妹) 

セットリストは阿佐ヶ谷姉妹ブログより。
 
エリコお姉さまの「時には昔の話を」に序盤から泣かされる。
一生懸命こらえたのに、目から涙がツーッと・・・。若く輝いていた青春時代を
懐かしく振り返る、加藤登紀子さんの名曲ですね。
 
“見えない明日を むやみに探して 誰もが希望を託した
揺れていた時代の 熱い風に吹かれて 体中で時を感じた そうだね”
 
“どこにいるのか今ではわからない 友達も幾人かいるけど
あの日のすべてが空しいものだと それは誰にも言えない
今でも同じように見果てぬ夢を描いて 走り続けているよね どこかで”
 
語りかけるように歌うエリコさんは、歌詞の女性のようだけれど、
阿佐ヶ谷姉妹は今、青春の只中にいる。そう思う。
体中で時を感じることも、走ることも、若者だけの特権ではない。
 
今後の人生を考えれば、いつだって「今」が一番若い。
あの時にああしておけば・・・と、過去を嘆くことはいくらでもできるけれど、
今の自分を信じて、何をするにも遅すぎるということはない、と念じて
未来に向かって走る人は何歳でもちゃんと輝くのだ。
 
そんなキラキラ輝くエリコさんは、EGO-WRAPPINのくちばしにチェリーも
ノリノリのセクシーさであった。目を閉じると、そこに中納良恵が!という
完成度で、彼女の艶やかな中低音によく似合う曲。
 
対するミホさんのWoman~Wの悲劇は、まるで月の光。
繊細で美しい消え入りそうな高音に、お客さんがじっと耳をすませていると
エリコさんから振り付けの指示が!みんなで大きく両手を振りながら、
唄うミホさんを見守る。エリコさんの声量が大きくパンチがあるため、
どうしてもネタ中に唄うと、ミホさんの声が聞き取りにくいことが多いけれど。
とーっても綺麗な歌声なのですよ。
 
そうそう、今回はミホさんの魅力を発見するライブでもあったのです。
実は音楽系の短大を出ているミホさん。初披露の「毒舌ピアノ演奏ネタ」が
面白かった。ピアノを弾きながら文句を言うのだけれど、毒づく相手が
楽屋のお弁当とか地元のお店屋さんとか。日常の範囲内なの。わはは!
おっかしいな~。
 
大好きな「阿佐ヶ谷二人暮らし日記」は今回も秀逸。
おもしろくて、切なくて、しみじみと良いネタですよね。
今回は夜中、静かに白髪染めをするシーンがあって、そのチョイスに
思わず唸りました。
若い女性には決してわからないであろう、白髪染めという言葉の持つ切なさよ。
 
今の時代、年齢を重ねても若さを保つ方法はいくらでもあるのです。
身体を鍛えて、美容とメイクにお金をかけて、流行の話題をチェックする。
そこまで若さに執着しなくても、昔より独身女性もずっと生活しやすいし
正直、自分自身も「なんだか私、年をとった気がしない。中身はまだ20代
くらいの感覚なんだけどな~」と、おこがましくも思ったりする。
 
でもね、白髪が生えてくるのは努力じゃ止められないの。
たまに見つけたら抜くレベルを超えて、定期的に白髪染めをしようと決意した時の、
あの軽い絶望感。自分はもう若くはないのだ、という事実を突きつけられる。
それが白髪染め・・・!
 
二人暮らし日記、定期的に見たいな。お二人のキャラクターありきなので
営業や、ゲストで呼ばれるライブではやりにくいネタだと思うけれど。
動画で配信とかしてくれないかしら。音声だけでもいい気がする。
着替えでステージ上に誰もいない時、「ねえ、ミホさん」「なあに?お姉さん」
と二人の会話が音だけ流れていて、その掛け合いがとても楽しいので。
 
最後にゲストの斉木さん。
相変わらず恰幅がよろしく、ダンディで、いつの間にやら襟足の長いヘアスタイル
に変わり、持ち歌「恋人達のゴム脳」を唄ってくれました。
CD持ってるわー。あの青いサントラ。おしゃれな曲揃いでBGMにぴったり
なのだけれど、いきなりしげるの歌がテロにみたいに始まるCD。
あと、山寺の和尚さんで「ポン!と蹴りゃ~」の足の上がり方に、今年も
舞台は大丈夫だ!という確信を持ちました。

2014年1月5日日曜日

グランジ BEST NETA LIVE

半年で一万枚売らなければ解雇!という、過酷な条件が話題に
なっているグランジのベストネタDVDです。
私は神保町花月でお芝居を見た際に、メイクを大急ぎで落とした
五明さんが握手会を開催していたので、直接購入しました。
解雇公約を胸に、遠山さんがDVDを売りながら日々を
綴っている日記も、とても読み応えがあるので1度是非
覗いてみて下さい。
http://toyamadaisuke.laff.jp/.s/

★我慢できない症候群
★僧コン
★初代五明組
★漫才
★secret base
★爆弾
★昔のことですから・・・
★THE ヤクザ
★弟子にしてください
★GANKO
★隣のおばさん

このネタが入っているならば買おう、と思う人がいることを
願って、ネタ名も全部書いてみたよ!
あまりよしもとのライブに足を運ぶ機会のない私でも、半分見たことが
あったので、本当にベストばかりなのでしょうね。

印象深いのは、動画で初めてグランジを見て爆笑した僧コン。
結末は酷いのに、赤塚不二夫の不条理ギャグ漫画のように
笑いだけが突き抜けてひたすら楽しくなる爆弾。
へえ、グランジの漫才は初めて見るなあと思っていたら、
いきなりセンターマイクを抱えた大さんが袖に走り去り、
「漫才じゃなかったーーー!」と度肝を抜かれた漫才。
(今回は置いておかれたマイク)

副音声では、3人がこの一見バカバカしいコントの数々に、
いかに細かく注意を注いで作り、練り上げていったが
よくわかります。

一万枚が達成されるのか、残念ながら達成できずに解雇と
なるのか、何か救済の道があるのか。
今の時点では誰にもわかりません。
そして、もし彼らがよしもとを去ったとしても、是非にと
受け入れてくれる事務所はいくらでもあるでしょう。

ただ、グランジにはよしもとという大メジャーな場が
一番似合うと思う。
「アングラ」「マイナー」にジャンル分けされてしまうことが
あるけれど、実際に見るグランジのコントは
実に陽気でバカバカしく、その場をカラッと明るくしてくれる。
少年ジャンプに掲載されている、ギャグ漫画のような。まあ、
決して巻頭カラーではないけれど(笑)

よしもとという大きな組織の中で、先輩にも後輩にも愛されながら
自由に泳ぐ、不恰好で珍しい魚でいて欲しい。
願わくば、一万枚売れた!という最高な結末で終わりますよう。

2014年1月3日金曜日

東京尖輪2013

ジンカーズ馬場さん主催。
出演者が尖ったネタをやるライブです。
樋口さんによると、この大会の最高顧問は松竹のアスワンチ会長
らしいですよ。

ここからネタバレします。気をつけてくださいね。

ネタでとにかく1番尖っていたのは日本エレキテル連合。
金持ちの変態気味な女が、趣味でペットにしている男を首輪で
つないで束縛し、男も舌を出してハァハァいいながら服従している。
ペットの餌皿に、ドックフードみたいに入れたグリーンピース
這いつくばらせたまま食べさせたり。
イッちゃってるなあ。ラストが謎のファンタジー具合。

囲碁将棋は飄々と下ネタ漫才を。
真顔でラジオ体操をキッチリやりきり、帰っていった浜口浜村。
そもそも有りネタが十分尖っているから、そのまま持ってきた
巨匠とダブルブッキング。

政治的に尖り気味な弾丸ジャッキー、宗教的に尖り気味なジンカーズ、
漢らしくまっすぐ尖る瞬間メタルの三組は、元々同じ事務所の同期だそうです。
当時の馬場さん(大学生時代)の尖り具合が、さすが
このライブを主催するだけある、と思わせるものがある。
シアターDの事務所ライブをエスケープしてSHIBUYA-AX!!


マヂカルラブリーのコントも、なんだろうあの不気味な味わいは。
公園で楽しく遊んでいた野田さんが、カービィに吸い込まれて
カービィになるんだけど。あれ、なんて言えばいいのやら。
野田さんに感じる岡田あーみんのキャラ感ね。
キャラといえば、ダーリンハニーのコントでは、長嶋さんが
マント姿に会話が全てブルースハープというスナフキン仕様で
大層キュートだったことをご報告致します。

ラブレターズは単独ライブ以来に見た同窓会。
終盤の展開が痺れるコントですね。2人のビジュアルがどこか
かわいらしく見えるので、例えば瞬間メタルとかマシンガンズのような
アウトレイジ的な雰囲気のある芸人さんが、このコントを演じるのも
見てみたいです。

後半、尖った回答を出すとポイントが入る尖り大喜利あり。
MCは馬場さんとギース高佐さん。高佐さんが答えるところも
見たかったけれど、皆の回答をテンポ良く処理するところも
よかったですね。なぜか、タケタリーノさんに厳しいのが笑える。
オラキオさんは大喜利が苦手なので、こっそり舞台裏で隠れていたのに
スタッフに「そういうのは認められませんから!」と捕まり
無理やり舞台に引きずり出されていました。

このコーナーは、ダブルブッキング川元さんの独壇場だったなあ。
元々、普通の大喜利でもダークサイドな回答を出す人なわけです。
そんな人に、尖った回答ほどポイントが入るなんて言うものだから
まあ黒いこと黒いこと!まっっくろ!
客席も舞台上もヒーヒー笑ってました。
例えば・・・駄目だ。何一つ書けないよ。

特に「芸人にキャッチフレーズをつけよう」のお題が、答えやすくて
みんな言いたい放題で面白かったなあ。
ここでも川元さん無双。「”おもしろくない!”○○」って。
馬場さんが正の字を書いて数えていたポイントが、川元さんの分だけ
フリップの角を曲がってあり得ないところまで伸びていました。

それと、日本エレキテル連合の中野さん!
ネタだけじゃなくて大喜利も狂ってるよー怖いよー。
手数も多いし、危険で笑える回答もバンバン出すので
D関無双はとりあえず、早急に彼女をブッキングすることを
オススメします。

次回開催は四年後!なんて言わずに、毎年夏季と冬季の開催を
期待しておきますね。

2014年1月2日木曜日

夢オチ王決定戦

なーんだ夢だったのか、の一言で物語の全てを片付ける夢オチ。
切迫つまった作り手にとっては便利なことこの上ないが、
読者や観客からしてみたら、じゃあ今までの展開は
なんだったのさ!と怒られかねないこの手法。
基本的には、やるべきではない禁じ手とされている。

では、その夢オチ縛りでネタを作ってみてはどうだろう?
というコンセプトで開催されたのが『夢オチ王決定戦』。
主催者は芸人狼や共感百景でおなじみの、スラッシュパイルです。

印象に残ったネタをピックアップしてご紹介。
がっつりネタバレしますのでお気をつけて。

スパナペンチ
今年の認定漫才師に選ばれた、人力舎の若手エース。
しかも現役大学生なわけですが、今回の注目はメンバーの
中で唯一の漫才師であること。漫才で夢オチ?
「‥っていう夢をみたんだ」「もういいよ!」
とかやるのかな?
結果としては、彼らもコントをやりました。

しかし、MCのキンコメ高橋さんも笑って突っ込んでいましたが
とにかく初々しいコントで。
まず、声が小さくて話しているうちに、2人がだんだん近づいて、
まるでサンパチマイクの前で並ぶような距離になってしまう。
冒頭の台詞が「あー、俺と彼女が付き合ってもう2年かあ」
みたいなテンプレートで、会場からクスクスと笑い声が漏れる。
かわいいなあ。彼らはまだ年も芸歴も若いのだものね。

シソンヌ
「助けて‥誰か助けて‥」という声が響き渡る。
女性の声だ、ここはどこだろう?

まるで、RPGゲームやSF小説のようなオープニングで始まった
コント。おおっ、これは夢っぽい。
氷の国の女王様から助けを求められるものの、自分では
何もできない。
「何とか助けたいんだけれど。ごめんなさい」
「いいのよ、誰か人と話すだけでも‥人、よね?」
「(食い気味に)人です!」

他にも、チェロの演奏を致しましょうと女王様に誘われるも
演奏なんてしたことがないので、と困ると
「貴方、自転車の空気を入れたことある?
じゃあ大丈夫よ」
ええっ、そんな無茶な。えーー俺なんで弾けるんだよ!!
この謎の展開とチェロ演奏のカタルシスが、非常に夢っぽかった
ですね。

しずる
わけもわからず監禁されて、殺されそうになっている男(村上)
とにかく殺そうとする男(池田)
この二人の攻防が繰り広げられる。
そしてこの池田さん演じる男が、まあ狂っている。

下着姿で全力のラジオ体操。
円形劇場を絶叫しながらぐるぐる回る。
あと、縛られている村上さんを見ながらあんパンとか
食べていたような。

ラスト、村上が夢から覚めるも、なぜか現実も似たような
部屋にいる。
不安を覚えているところに、夢と同じように銃を片手に飛び込んで
くる池田。落ち着け、お前を助けるために来たんだ。
ドアを開けようと背を向ける池田の背中に、錯乱したように
叫びながら銃を放つ村上。
彼の夢はさめたが、これから現実の悪夢が始まる‥

THE GEESE
タイトルをつけるならば「尾関の夢」。
ただし、MC高橋さんが「こっちの夢でくるとは思わなかった」
と話した通り、寝ている間に見る夢であると同時に
願望としての「夢」でもある。

夢の中の尾関さんはスーパースター。
いいともの後任を任され、園遊会に呼ばれ、最終的には地球まで救う。
反対に高佐さんは、現在20人体制の超新塾に加入し(リーゼント&
革ジャン)、パチンコ屋でパチンコの玉として就職し(全身タイツ)。
最後は・・なんだっけ?

ほぼ尾関さんの1人芝居が続く。
明るく、朗らかな役を演じる尾関さんは華やかだなあ。
コメディアンとしての資質が、とてもある人だと思う。
尾関さんとは逆に、どんどん転落?していく高佐さんは
美しい顔が、なんだか幸薄さに拍車をかけていて。
良いコントラストです。

この夢オチ王は、青山円形劇場を完全円形で使用するのも、
売りの一つでした。
全体的に見ると、あまり成功しているコンビはいませんでしたね。
一応最初は気にかけるものの、ネタが進むに従ってどうしても
一歩方向だけで演じてしまって。
そんな中、ギースは円形舞台をきっちり四等分して演出を考え
全方向の客席に見えるよう、作り込んでいました。
お客さんを等分に楽しませたで賞。

ラブレターズ
ある朝、目が覚めると自分が虫になっていた‥と書いたのはカフカですが。
ラブレターズの今回のコントは
「ある日、トイレに入ったらうんこじゃなくていくらが出た。
おれ、鮭かもしれない」

自分が鮭であることを自覚した溜口さんと、相方の変貌に戸惑い
ながらも、コンビとしてやっていこうとする塚本さんの、
奇想天外な夢物語。これが非常に面白かった!

たまにシュールの括りに入れられるラブレターズですが、彼らの
コントは不気味さやホラー的な要素こそあるものの、特にシュール
ではないと思うんですよね。
でも今回は、異常な設定のまま、それを正したり否定することなく物語が展開していく不条理コメディ。

2人の抜群に高い演技力が、物語に説得力を持たせる。
特に溜口さんの終盤の切ない演技は、あり得ない素っ頓狂な状況なのに
うっかり感動しそうになりました。
また、円形劇場の使い方も上手かったです。

今回の選手権、優勝者はジューシーズでした。
最初の設定は意表を突かれたものの、そこからの展開があまりなく
少々私は退屈に感じたのですが。
夢オチの方法が単なる夢ではなく、RPGの戦闘中にモンスターに
攻撃をかけられて眠っていた!というのは斬新。

第二回の開催が待ち遠しい、とても面白いライブでした。