2018年12月17日月曜日

LOVE LETTERZ MATE⑨

いつもボリュームたっぷりで楽しいラブレターズのトークライブ。

2018年12月3日月曜日

バ吾Aねーしょん

ロフトプラスワンで開催される歌の祭典「バ吾Aねーしょん」。
今回は「ありがとう平成、歌、そして日本」という副題がつき、
平成どころか昭和の笑いが詰め込まれた狂気の一夜となった。

2018年11月20日火曜日

溜口スーパービッグショー

伝説のラブレターズ溜口ソロライブが、再びLOFT9で開催された。
去年はスーパーディナーショー。
今年はスーパービッグショー。

2018年11月15日木曜日

山脇唯単独公演「放課後なんかいらん」

演劇とコントの境界を軽やかに行き来する女優・山脇唯さんの単独ライブ。
演劇ならば主催公演、ユニットライブなんて呼ぶところを「単独ライブ」と
銘打つところにコントやるぞー!という決意が現れている。

2018年11月8日木曜日

立川かしめ前座総決算 二つ目イクアリテ

入門した途端に前座名を師匠にオークションにかけられ、それをアイドル
がお買い上げ、立川仮面女子という名前で落語家人生をスタートするという
波乱万丈な前座かしめさん。
彼の二つ目トライアルが横浜にぎわい座で行われ、私も蔵前の勉強会に
通っていたため、応援のために足を運んだ。

2018年11月7日水曜日

コントメンAward1-2

所属4組で大乱闘スマッシュブラザーズだ!と書いた途端、
みさわ大福さんの退所&引退が発表された。
寂しいね。単独ライブに行ってみたかったな。

2018年11月2日金曜日

ラブレターズライブ「秋が終われば私もいない」

暴徒のごときハロウィン騒動に怯え、この時期に行きたくないわと人々が
渋谷を避ける時期に、ラブレターズのライブがユーロライブで開催された。
ClubAsiaはパリピでぎっしり。LOFT9では「女流棋士ハロウィンナイト」と
それぞれの趣を感じる円山町である。

2018年10月31日水曜日

ナショナルシアターライブ「フォリーズ」

なかなか上演されないソンドハイムのミュージカルが
あのナショナルシアターライブで見ることができる!
ラインナップが発表されてからとても楽しみにしていた1本だった。

2018年10月22日月曜日

チャリティ原画展『少女漫画家の描く猫たち』

浅草のGallery efで開催されているチャリティ原画展「少女漫画家の描く猫たち」を見に行ってきた。

参加の展覧会は波津彬子先生、篠原烏童先生、TONO先生の三人展。
何を隠そうネムキっ子の私である。
この御三方の原画なんて、もう宝石じゃないか!

波津作品は「猫は秘密の場所にいる」、篠原作品はクォート&ハーフシリーズ、
TONOさんのものはイラストが多かったかな。
どれも繊細な色遣いにため息が出る。
波津さんの描く人物の輪郭はたおやかで美しい。
篠原さんの淡いインクのグラデーション。
ひたすらポップでキュートなのはTONOさんのおキャット様たち。
しましまえぶりでぃは私の愛読書で、いつかゴロンタみたいな猫に出会いたいなと
思っているのだ。

ギャラリーエフはカフェの奥に重要指定文化財の蔵があり、そちらが
展示会場となっている。
ミシミシと音がする階段や床は少々怖い・・・。
でも、雰囲気のある素敵な場所だ。

チャリティーグッズ販売もあり、豆皿や缶バッチ、お煎餅も用意されている!
私は波津先生のミニイラスト集「The cat did it」を購入した。
カラー刷りで超美麗な永久保存版。

Gallery ef
http://www.gallery-ef.com/

猫馬鹿作家之会/お知らせブログ
https://ameblo.jp/nekobakasakkanokai/



2018年10月19日金曜日

2018年9月に観たもの

★カーネーションライブ@虎丸座
毎年江の島のすぐそばにあるライブハウス・虎丸座でやるカーネーションのライブ。
複数日程でも売切れ続出だったのは、8月に日比谷野音で行われた35周年記念
ライブの熱をまだ帯びていたからなのか。
あれは思いだすだけでも幸せなライブだった。

野音で買いそびれた35周年記念パンフレットを購入して熟読する。
直枝さんから見たカーネーション、大田さんから見たカーネーション。
青春がからまわってしまうから、夜じゃないと読めないよ。
虎丸座ライブのゲストはポカスカジャンンで、いつもの営業ネタでも全力で楽しい。
ポカスカ曰く
「野音のライブはほぼ定刻通りに終わった。つまりカーネーションは寄席芸人に向いている」

雀斑frecklesライブ(ゲスト:高田漣)
台湾のミュージシャンSKIP SKIP BEN BEN率いる雀斑frecklesのライブ。
彼女を始めて知ったのはいつのことだろう。
もう随分昔になる気がする。きっかけがヒゲの未亡人こと岸野雄一さんであることは
覚えている。

はっぴいえんどなど70年代邦楽ロックに影響を受けている彼女の作る音楽は、
日本の私が聞いても耳馴染みがいい。そしてとびきりキュートだ。
ゲストの漣さんが「同じ福岡のイベントで共演していたのだけれど、彼女は急いで翌日に
台北に戻って。その理由が台北で開かれる細野(晴臣)さんのコンサートを見に行く
ためだったんだよ(笑)」という愉しい話が聞けた。
雑誌「STUDIO VOICE」に寄稿した彼女の文章も素晴らしい。

★ろびんとーく
毎月開催されているロビンソンズのトークライブ。
月末の金曜日という鬼のように忙しい日なので、いつも可能であれば駆けつけている。
最初はフリップに書かれた今月起った出来事を、山﨑さんと北澤さんで順番に話す。

今月は何といっても山﨑さんの新居が、ビフォアアフターに取り上げられたこと。
バイトと仕事とリフォームでへとへとだった山﨑さん。
しかし、TV放送後はとにかく奥様の美しさでネットは盛り上がっていた…。
その他にも衝撃的な話があったけれど、これは内緒ということで。
いやー怖いわー。恐ろしいわー。

後半は北澤さんによるお笑いクイズ。
ただのお笑いクイズではなく、お笑いファンの気持ちになって回答
しなければならないクイズだった。
お笑いでおなじみの劇場クイズや、戦慄のお客さんツイッターアカウントクイズなど。
これはめちゃめちゃ面白かったな。
いつかまた企画でやって欲しい。

2018年10月16日火曜日

ザ・トーク2(溜口×街裏、溜口×長谷川)

恵比寿の生演奏可能なカラオケバーが会場。
トークもそこそこに歌いまくるのかな?と想像して行ってみると、
二人でトークたっぷり&おまけでカラオケを1曲ずつという構成だった。

2018年10月15日月曜日

阿佐ヶ谷姉妹単独ライブ「ドアーを開けて」

なんと東京キネマ倶楽部で開催された阿佐ヶ谷姉妹のライブ。
名古屋・大阪・神戸公演もあり、会場は全てキャバレーなのだ。
ASH&Dはハコ選びのセンスがいい。

2018年10月7日日曜日

言葉と笑い2〜キングオブコント終了編

キングオブコントの終了後、もともと企画されていたこのイベントに「キングオブコント終了編」という
サブタイトルがつき、出演者にギースの二人が揃った。
これは大会の話を聞く絶好の機会だ!と勢い込んで予約をした・・・ところ。
そのすぐ後に、ギースのオールナイトトークライブも開催されることに。

あれ、今話聞いちゃっていいのかな?
ちょっと戸惑いながら見に行ってみたところ、さすがプロの皆さんなので、きちんとその辺りを
考慮しつつ語ってくれましたよ。
出演者はせきしろさん、ザ・ギース、や団本間さん。

2018年9月28日金曜日

キングオブコント2018

今年のキングオブコントが終わった。
初めて友人達と集まって鑑賞したが、点数や順位の事さえ考えなければ夢の様な
コント番組だと思う。
多種多様なコントが、ゴールデンタイムのテレビに咲き誇る。

2018年9月20日木曜日

すっぴん(ゲスト:ガレージシャンソンショー)

奇抜な見た目と技巧派な演奏。
そこにお笑いを混ぜたごった煮感覚が楽しいガレージシャンソンショー。
この二人をゲストでたびたび呼んでくれるのがNHKラジオというのが面白い。
今回はダイヤモンド☆ユカイさんがMCのすっぴん水曜日(9/19)にお呼ばれ。
作詞家 安井かずみ特集で、ユカイさんと山田さんが70年代の歌謡曲に
ついて語っていた。

番組内でも話していたが、最近は南青山曼荼羅で開催されるライブ「外苑前の客人」で
ガレシャンは毎回カバー曲を披露している。
布施明「積木の部屋」、レオン・ラッセル「A Song For You」、荒井由美「翳りゆく部屋」、
西城秀樹「ブルースカイ・ブルース」、ボブ・ディラン「雨の中の女」etc

カバーばかりのライブを一度開いてみてくれないかと思うほど毎回素晴らしい。
オリジナルを横に置いてカバーを褒めるのも申し訳ないが、ガレシャンの
オリジナルが良いのはもう当たり前のことで、ライブの中に挿しこまれる色の違う
カバー曲はまた別の魅力があるのだ。

安井かずみからの流れで加藤和彦の話になり、ひまわり時代の山田さんが
加藤氏の曲でレコーディングまでしたけれどお蔵入りになったという、
なかなかレアなエピソードを聴くこともできた。
ガレシャンはこの秋、ザッハトルテとの2マンツアーも控えている。

山田さん曰く「経費節約のため」、いつもツアーの日程がぎちぎちで大変そうでは
あるが、全国にあの楽しいライブを届けてくれるのはありがたいことだなあ。


2018年9月19日水曜日

ドラマ版「FARGO/ファーゴ」

お好きな方には堪らないコーエン兄弟の傑作映画「FARGO/ファーゴ」。
私も大好きな映画の一本だ。
なんとこのドラマ版が制作されるということで、HULUに新シーズンが
追加されるたびに観ている。

シーズン1を観始めた時は正直頭の中で?マークが踊っていた。
映画と違いすぎない?
とりあえず「無能な上司は凶悪な犯罪者より厄介だ」と思いながら見続け、
最終的にはすっかり感動してしまった。
ドラマ版はシーズンを通して映画「ファーゴ」になってゆく。
雪に閉ざされた町、女性署長、妊婦。

シーズン2は1の過去話。
1の主人公モリーの父親が現役警察官の頃の物語。
私はこういう一筋縄ではいかない老人のカッコいい過去が大好きなのだ。
1はサスペンスであり、2はギャングドラマでもある。
身の丈に合わない欲望を抱いたために、悲しい結末を迎える肉屋の夫婦
(特に夫)が情けなくも哀れで、どこか愛おしくも感じる。

シーズン3は1・2とは全く別の「ファーゴ」。
前シーズンで出てきたUFOと関連するかと思われたSF小説も、結局
あまり物語の核心とは関係なく。
ユアン・マクレガーの一人二役にしばらく気がつかない程にぶい私には
ちょっとピンとこなかった。
だがしかし!保釈中の美女ニッキー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が
超いい女!彼女の復讐劇が始まるところから物語が面白くなってくる。
(コントラクト・ブリッジの名手という設定も素敵だ)
敵役であるV・M・ヴァーガの掴みどころの無さと不気味さも良い味をだしている。
メフィストフェレスなわけだね、彼は。

シーズン3で終了という噂が流れたものの、どうやら4の制作も決定したようで。
今度はどんな物語なのだろう。


2018年8月17日金曜日

THE GEESE単独ライブ「その他の人々」

「果てしなきガム」に引き続き、宝石箱のように多彩なコントが詰まっていた今回の公演。
観に来てくれたお客さんを時間いっぱい楽しませようとする彼らの心遣いがとびきり嬉しい。
何より舞台上で演じている二人がとても楽しそう。


2018年8月10日金曜日

2018年7月に見たもの

★ロビンソンズ単独ライブ「すぺしゃる」
 
アンケートに面白かったコントを3本書く時、いつも不思議とすんなり3本決まるのに今回はかなり悩んでしまった。
妙にお人よしな北澤さんの悪魔とおとぼけ山﨑さんが楽しい「復讐」。
ライブ客と芸人をいじり倒す「張り込み」
(単独予約ギリギリのわたし、撃たれる・・・!)
DV夫に怯える妻かと思いきや。お金は大事だよね「へそくり」
亡き妻との思い出がユーロビートの小料理屋も笑った。
そして最後、恋の予感に嬉しそうなヒトミちゃんと一緒に叫びたくなる。
夏~~!

 
★ガレージシャンソンショー「外苑前の客人」
 
ゲストを招いて南青山MANDALAで定期的に開催されているライブ。
今回のゲストはボードビリアンのBARONさん。
山田さんの「リラの切符切り」にBARONさんが演技をつけていたのが迫力だった。
素敵だったのは「Wraps your troubles in dream」のカバー。
♪雨の後には 虹がたつもの、という訳詩が素晴らしい。
このライブはガレシャンのよるカバーも見どころ。
布施明「積木の部屋」、西城秀樹「ブルースカイブルー」など絶妙な選曲の中、
今回はボブ・ディラン「雨の中の女」!

 
★桂夏丸 真打披露興行

国立演芸場での真打披露興行へ。
仕事帰りに駆けつけ、なんとか中入り前の小遊三師匠に間に合う。
この日は桂歌丸師匠が逝去された翌日だったが、高座の人々が
「前から死んだようなものでしたが」
「笑点は出演者が退かなくちゃ次が入れないんですよ。
歌丸さんは勇退してから死んじゃったので、後輩からすると無駄死にです!」
といじるいじる(笑)
 
トリの夏丸さんは夏らしく怪談「もう半分」だが、彼らしくあっさりとした味わい。
その後、自慢の喉を披露ということで「憧れのハワイ航路」を歌ってお開き。
二つ目の頃から珍しい話を積極的に高座にかける姿勢と、どこか飄々とした
雰囲気が魅力的な落語家さんだ。

 
★阿佐ヶ谷姉妹 出版記念トークショー
 
阿佐ヶ谷姉妹のエッセイ本が出版された記念のトークショー&サイン会。
場所はもちろん阿佐ヶ谷ロフトAだった。
ほのぼのとした文体に癒され、こんなことあるわ~と同じおばさんとして首がもげるほど頷く内容の詰まった1冊。
六畳一間に二人で同居なんて、ここにも書いていない苦労があったに違いないけれど、本の中の二人はひたすら穏やか。
佐々木倫子の漫画から抜け出したよう。

今年はキャバレーでの単独ライブツアーが控えている。
東京キネマ倶楽部で、美穂さんが2リットルパックのミルクティーで作ったゼリーをブルンと出すコーナーが見たい。


すいているのに相席’18 決断

今年も開催されたすいているのに相席。

2018年6月10日日曜日

コントメンAward1-1

今回から大幅リニューアルされた東京コントメン。
なんとバトルライブになりました。

通常、事務所主催のバトルライブというのは何層かに分かれていて、
勝ちあがりながら一番上のランクのライブを目指すものだが、
ASH&Dは所属芸人が4組しかいない。
つまり、いきなりこの4組で大乱闘スマッシュブラザーズだ!


2018年5月23日水曜日

立川左談次師匠のこと

左談次師匠のことを今更書くのもどうかと思うが、加藤健一事務所「ドレッサー」で
老座長が「死んだ後も私の事を皆に伝えておくれ。役者は記憶の中でしか生きられない」
と訴えるシーンを思い出し、書き残しておくことにした。
もちろん左談次師匠は、こんな野暮な台詞は死んでも吐かないだろうけれど。

志ら乃さんが二つ目後半の頃に、立川流の落語会へ足繁く通っていた。
(ちなみにその頃、こしらさんはほぼ不動院寄席でしか遭遇できないレアポケモンだった)
上野広小路亭と日暮里サニーホールが多かったかな。
平日夜席ならば、いわゆる「つばなれ」ギリギリの人数であることも少なくない。

どんな時でも左談次師匠、通称さだやんは雲のように軽やかに
あの笑顔で高座に上がっていた。
では穏やかな人なのかと思いきや、毒舌は滅法鋭い。
しかし毒を吐いた直後にニカッと笑って冗談を言う素敵なおじさんで、
自他共に認める面倒くさがりであり、働くのが嫌い。
お酒にまつわるエピソードに事欠かない。
ネタは浮世床、町内の若い衆、読書日記(高座で人の本につっこみを入れる)に
当たる事が多かったように思う。
何度同じネタを聞いてもあの軽い調子がくせになる楽しさで、出演者の中に
名前があると「あっ、さだやんも出る!」と嬉しかった。
さだやんの大ネタを聞いてみたいからとトリの日に行ってみたけれど、マクラが
長くネタはいつものやつで降りちゃった。

じゃあ独演会に行けばいいじゃないか、と思うかもしれない。
しかしそうは問屋が卸さない。
独演会なんて準備も稽古も必要な代物を、面倒くさがりのさだやんが
やるわけがないのだ。
周りのファンや仲間がたきつけて、何年かに一度「はたらく!左談次の会」
という落語会が強制的に開催され(笑)、そこでは比較的大きな噺を聞く
ことができたらしい。

その後、ブラック門下から移籍されたお弟子さんを取り(現:佐平次さん)
お弟子さんの会に呼ばれるなどで高座も増え、観客から見ても
柔らかくなられた印象があったのだけれど、その頃には私が少し落語から
遠のいていたのでお見かけすることもなくなってしまった。

それから随分と経ち、若手中心で組まれている「渋谷らくご」の番組に
左談次師匠が出演するのを知った時には驚いた。
どういう経緯があったのかは知らない。しかし、こんなチャーミングな
おじいちゃんと若い人たちの出会いは素晴らしいものだ。
しかも驚くことに、私がかつてお目にかかれなかったネタを毎月のようにかけている。
その後、喉頭がんを公表しつつも、毎月のように渋谷らくごに出演されていた。
ユーロライブのさだやんは、客席の若いエネルギーと素直な反応に
呼応するように、充実したものだったように見えた。

渋谷らくごに積極的に出演されていた喜多八師匠も鬼籍に入られたが、
左談次師匠とは少し事情が違う。
喜多八師匠は、落語界という狭い世界の中ではあるが、落語協会という
メジャー団体の中ですでに注目されていた。
対して、左談次師匠は渋谷らくごという媒介がなければ、落語初心者が
出会うのは難しい存在だった。

なので、落語家生活五十周年記念の興行は、シブラクの中でも
一二を争ういい仕事だったと思っている。
照れ屋だから決して自分から企画はしなかっただろう。
周りから祝われるのは幸せなことだし、師匠である立川談志も「芸人は
囃されたら踊れ」というタイプの方だったので、ご本人にもきっと喜んでいたはず。

何もかも過去形で書かねばならないのが本当に残念だ。
うなじに扇子を挿し、「あの町この町」の出囃子にのってふわりふわりと
高座にあがる姿が粋だったなぁ。

2018年2月8日木曜日

マンスリープロジェクト「トークセッション 宮田慶子×小川絵梨子」

20166月に発表された新国立劇場 新芸術監督予定者ニュース。
芸術性も大衆性も兼ね備えたラインナップ、マンスリープロジェクトと
いう素晴らしい企画を立ち上げた演劇部門の芸術監督 宮田慶子さんの退任
は残念だが、次はどんな方になるのだろうと記事を確認して、
思わず目を見開いた。

「演劇部門 小川絵梨子」

演出を手掛けた舞台を何作か観ているはず。
でもこの方若手じゃなかったかしら・・・?
慌てて経歴を確認するとなんと1978年生まれ!30代!
これは・・・これは凄いことだ。
30代の女性演出家が芸術監督に、しかも国立の劇場の芸術監督に
就任するのだ。

小川さんの就任はもう今年の秋。
そして1月のマンスリープロジェクトは、宮田さん&小川さんの新旧芸術監督
トークセッションだというので、これは必見だと小躍りしながら劇場に
足を運んだ。

上演時間は約90分間だったかな。かなり密度の濃い話を聞く事ができた。
自分の防備録として、特に印象に残った部分を書いておこうと思う。

・まず話題に上がったのはやはり年齢の若さ。
小川さん曰く「ギリギリ30代ですが」。

宮田さんが芸術監督に就任したのが52歳の時。
それでさえ歴代最年少で、周りから「芸術監督がそんなに若くて大丈夫なのか」
と言われていたらしい。

小川さんはオファーが来て率直に驚いたとのこと。そりゃそうだ。
芸術監督に誰がなるかというのはフリーの演出家にとって死活問題なので、
仲間と「お仕事をくれる人になるといいね~」と話しあっていたのに、
まさか自分に話がくるとは。
宮田さんは初めて仕事をした時から素晴らしい才能だと感じ、すぐに
新国立の若手企画(だったかな?)のオファーを出した。

・とりあえず小川さんの経歴をということで。
中学生くらいからずっと演劇ぶっくを読み劇場に通う演劇ファンであった
けれど、本格的な活動を考え始めたのは高校を卒業してから。
日本でプロの演出家になるのはどうすればいいかわからなかった、という
話が何度か出てきました。

小劇場ブームの先輩方は自分のヒーローだけれど、彼らは強烈な個性と
自分の作りたい演劇観を持ち、脚本・演出さらに劇団の主宰者でもある。
自分にはあんな圧倒的な才能がないことはわかっているし、演出だけをや
りたい。
となると他に思いつくのは老舗の新劇劇団だが、新劇は厳しくて怖い
イメージがあった(笑)
新劇出身の宮田さんも
「新劇の演出はデビューまでにとても時間がかかるしね。苦節十何年という世界。
しかも徒弟制度なので、体系的に学ぶのは難しい。
他の人の演出方法を観ながら学んで、足りない部分は独学しかない」

そんなこんなで、大学後はニューヨークのアクターズスタジオで学ぶ
ことにした小川さん。
ニューヨークに来た日本の演劇関係者にプロの演出家になる方法を相談しても
「わからない」「脚本は書かないの?そうなると、うーん、東宝かなぁ?」
という曖昧な答えしか返ってこない。
しかし帰国すると日本の演劇界もかなり状況が変わっていて、フリーの
演出家も比較的活動しやすい環境になっていた。

・印象的だったお金の話。
新国立劇場は国の税金で全てを賄っていると考えている人が多いが、
それでは全く足りない。
企業・スポンサー・個人からの賛助金にも支えられている。
アメリカには国立劇場がない。(確か)州立劇場も少なく、ほとんどは
非営利団体として劇場を運営している。
なぜこれが可能かというと、企業から劇場への寄付金がとても多いから。
寄付による税額控除があるので、企業は積極的に利用する。
だから、実はアメリカの文化予算はとても低いのだそう(韓国の文化予算は高いらしい)。

企業に限らず個人の寄付も多い。
小川さんがアメリカで仲間と小規模の芝居を作る時にファンドレイジングで
資金を募った。
大口はなかなか難しく、友達に声をかけると
「いいよ。どうせ国に税金を払うくらいならその活動に出すわ」
と数万円の寄付を気軽に受けてくれる人が結構いる。
日本も寄付に対する税額控除があるのになかなか広まらないですね、もちろん
若い人たちは自分の生活で精いっぱいだからしょうがないとは思うけれどと語るお二人。

・小川さんが任期中の大きな指針として提案した「三つの柱」。
この三つの柱をわかりやすく説明してくれた。

1つ目は幅広い観客に観客層に演劇をお届けする。
エッヂの効いた難解な作品も必要だと思うけれど、老若男女に親しみやすい演劇を届けたい。
でも、少し背伸びをしたいこともある。
そのバランスを上手に汲んだラインナップを試みたい。

2つ目はフルオーディションとディベロップメント。
本来、演劇は上演するべき良い脚本があり、その脚本を上演のために役者を集める。
しかしなかなかそうはいかない。それは「集客」の問題があるから。
確かに集客は大事だ。ガラガラの客席は舞台上の役者のテンションも下がる。
また、フリーのプロデューサーや演出家は、毎回次の作品が興行的に
失敗したら自分のキャリアが終わるかもしれない、もう仕事は来ないか
もしれないという覚悟で臨んでいる。

しかし、集客ありきで演劇を作るとスケジュール調整難(なかなか稽古の
時間が取れない)が発生したり。他にも色々と
オーディションは健全な作り方であるし、何よりその芝居に出たい人が来てくれる。

「『向こうからやりたい!』と来てくれる人と芝居を作るのと、
本人以外の意思でキャスティングされたであろう人に『あのやりたいですか?』と
伺いながら芝居を作るのでは全然違いますよね!」と語り合うお二人を
観て、ご苦労が垣間見えるなあと。

もちろん国立の劇場だからといって、集客を無視できるわけではない。
「ずっと赤字続きだったら、多分私は任期途中でいなくなると思います(笑)」と小川さん。
しかし、新国立劇場だからこそできること。
可能であれば、毎年1本はフルオーディションの作品を上演したい。
今回の「かもめ」は演出が鈴木裕美さん。彼女もずっとフルオーディション
の舞台を作りたいと話していた。
脚本はトム・ストッパードの英語台本を小川さんが翻訳する。

ディベロップメントはまだ正式に固まっていない印象だったけれど、
劇場が開いているから作品を作るのではなく、作品が良いから劇場に
あげる状況を作りたい。
そのために長期間かけてじっくり幾つかの作品を作っていき、場合によっては
途中で演出や役者も変え、仕上がったら協議の上で劇場で上演するという
試みになる予定。

イギリスのナショナルシアターにはディベロップメントの部署があり、
常に200ぐらい待機状態の作品があるらしい(200って・・・)。
作品の出来不出来だけではなく、トランプ政権だからこれをかけてみよう、
など世界情勢や流行によって候補の中からピックアップする場合もある。

3つ目の横の繋がり。
これについては残念ながらあまり覚えていない。
宮田さんも地方の公共劇場と連携をとって何かしたかったけれど、叶わなかった
と話していた気がする。

・注目のラインアップ
小川さんが気にしていたのは
「ナショナルシアターライブ(NT Live)と被ってしまった演目がいくつかあって
偶然なんです~パクリじゃないの~」

確かにスカイライトはNT Liveで知ったけれど、誰もいない国(No Man’s Land
はずっとやりたかった作品だった。
宮田さんも、全く別の国の演出家が上演したい演目がかぶるということは、
これが今の世界の流れなのかもしれないですね、と。

そんな中、ひと際目立つのが少年王者舘「1001(イチゼロゼロイチ)」。
小川「これはもう、私が少年王者舘のただただファンだからです!」
ラインアップの中で、作と演出が分かれていない唯一の作品。招聘枠とのこと。
(そういえば、維新派を招聘して上演してくれたのも新国立劇場だっけ)

・新国立まつり?
宮田さんが自分は叶えられなかったので、小川さんに是非新国立まつりを
やって欲しい!とお願いしていた。
新国立劇場にはせっかくバレエ、演劇、音楽の3ジャンルあるのだから、
その全てを観る事ができるフェスのようなイベントが欲しい。
開催中は短編作品やミニコンサートなどをたくさん上演して、通し券を
購入したお客さんはどれでも見ることができる。

・震災の話
宮田さんが新国立劇場の芸術監督を就任した半年後に大震災がおこった。
あの時の事は一生忘れない、と語る。あの時期、東京中の劇場から
観客が消えてしまった。とりわけ夜公演は。
電力不足で交通機関が麻痺していた東京では、帰宅難民になる人が多かった。
とにかくいち早く家まで辿り着きたい。皆そう思うのが当然だ。

当時、新国立劇場では橋爪功さんと石倉三郎さん出演の「ゴドーを待ちながら」
を上演していた。
その舞台美術がまるで津波の去った後の様な風景で、奇妙な符合にぞわりとした。
足を運んでくれた数少ないお客さんと共に、「来るかもしれないゴドー(何か)を
ひたすら待つ」という経験をしたことは、きっと一生覚えていると言う。

90分でも足りない程の聴きごたえのある対談だった。
国立の劇場なので比較的チケット代も安く、とりわけ学生には大きな割引も
あるので、老若男女がもっと気軽に通ってくれるといいなと思う。 

  新国立劇場 2018/2019シーズン 演劇ラインアップの発表
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_011682.html

  2018/2019シーズン 演劇ラインアップ説明会資料
http://www.nntt.jac.go.jp/release/press/upload_files/lineup_drama_2018-2019.pdf