2015年6月11日木曜日

ラブレターズ「COSMO」

・オープニング
・フォークシンガーのお見舞い
・たった一人の卒業生
・女、抱けます
AAA
・ボーリングでプロポーズ
・引き籠り
・エンディング

単独ライブでは次のコント用の着替えをするために時間が必要なので、コントとコントの間を映像で繋ぐことが一般的。
しかし、今回のCOSMOではコントとコントの間をコントで繋いでいました!
前のコントの終わりに溜口さんの役だけが残って一人芝居でその場をつなぎ、ハケたら次のコントが塚本さんから始まって、後から急いで着替えた溜口さんが登場したり。
もちろんその逆もあり。

これは二人とも裏で休む暇がほとんど無いでしょうね。
登場人物がストーリーの中で違和感なく退場するために、脚本を考えるのも大変だったと思います。
一人芝居で数分間をもたせることができる演技力を二人とも持っているわけで、やはりラブレターズは演技派コンビだなあ。

初の試みとして、溜口さんの女装も話題でした。
「フォークシンガーのお見舞い」と「ボーリングでプロポーズ」ですね。
前者はギャグっぽく、後者は本格的に女性を演じる感じ。
ボーリング~では、彼氏に合わせることをやめた途端態度が豹変する部分が上手い!
このコントは,どこかでまた観てみたいです。

2015年6月3日水曜日

THE GEESE「ロイヤルストレートフラッシュバック」

◆オープニング
二面舞台の左右にドアがひとつずつある舞台セット。
両側のドアから登場した二人が手元のスマホを操作すると壁にスクリーンが投射され、オープニング映像が流れる。
 
公演名にかけてトランプのモチーフが使われている、お洒落な映像でした。
高佐さんのスクリーンから尾関さんのスクリーンに映像が移動するなど、ちょっとした仕掛けもあり目にも楽しい。
 
◆合格だよ
仲間と共に立ち上げたベンチャー事業への融資を依頼するため、大企業へやってきた男。
決意を試すためにわざとうまい話をもちかけ、答えを聞いては「合格だよ!」と繰り返し叫ぶ相手に当惑する。
 
試すようなことをされれば人は嫌なものだし、しかも勝手に拍手して「合格だよ!」とか言うおじさん超ウザイよね。
そんな嫌な奴が楽しいコントになりました!
今後こういうおじさんにあったら、「きっとポケットの中に『合鴨』と書かれた紙が入っているんだ」と妄想してやり過ごすことにしよう。
 
◆大改造!コントビフォーアフター
シュールさを突き詰め過ぎて、様々な問題を抱えている2015年現在のザ・ギースのコント。
このコントが、一流の匠のリフォーム術によって劇的に大変身!
 
匠のリフォーム術によって「頭のおかしくなったさ○なクンが突然銀行を襲い、銃を乱射したら撃たれた行員が右翼的な台詞を叫んで絶命」が、「スマートな銀行強盗がすっきり爽やかに銀行を襲い、銃を突きつけられた行員が突然ご飯をしっかり食べることの重要性を説き、感化された強盗と一緒に歌って大団円」になりました。
 
ギースの<シュールなネタをするコント師>というイメージを使ったメタなコント。
うん、同じわけのわからないコントならば、確かにすっきりとして見やすい方がいいかもしれない。
照明も明るくなったことだし。
このコントは銀行員高佐さんの細やかなマイムも見どころです。
「ここが銀行か。入ってみよう」
→“分かりやすい説明台詞でコントの入口もスッキリ!”が、やたらと面白い。
匠の一押しリフォームポイントが、なぜ郷ひろみモノマネのリサイクルだったのかは謎である。
 
◆ニュース「7時の悪口」
政治、スポーツ、ほほえましい日常風景。
様々なものに悪口を言い続けてきたニュース番組「7時の悪口」が、本日最終回を迎える。
 
高佐さんのぼさぼさ女装ウィッグが気になるパート1。
今回は舞台上で着替えるから鏡を見ることができないのだろうけれど、いや、それにしても…。
ちなみに、女装コントがあるけれどタイツを履く暇がないので、お二人とも足のむだ毛はツルッツルに処理してありました。
 
コントの内容はあらすじ通り。純粋な悪口。
うーん、これはDVDに出来ないよー。
 
◆精神と時のカラオケルーム
ここは“逆”精神と時のカラオケルーム。
カラオケルーム内の1分は、外の世界の1年に相当する。
冗長な前奏や、ただただ長い曲に割く時間は1秒たりとも無い。
この部屋においてどの曲を歌うのがベストなのか、二人はアイディアを出し始める。
 
このコントのために「前奏+長い」で検索をして、みんなで曲を探したのでしょうか。
B’zに疎いため、ラブファントムの前奏があんなに壮大なのを初めて知る。
転調が多すぎる。魔王かと思ったよ。
人形の久月テーマソングは、ニルヴァーナの次に載っているらしい。
最後は超高速「硝子の少年」を二人でデュエット。
初日からしばらくして見に行くと、歌う時のフリが増えていたり、尾関さんがマイクを堂本剛持ちにしていたりという差が生まれて楽しかったです。
 
◆上司の本性
エンジントラブルによりNY行きの機内が大パニック。
ダンディで落ち着きを払った上司が、精神的に追い詰められてとった行動とは。
人は窮地に陥った時にその本性を現わす・・・。
 
高佐さんのぼさぼさ女装ウィッグが気になるパート2。
「完璧な女装をすると、美しすぎてコントに観客が集中できないからでは?」と提案してみたところ、友人からは「ボサボサの方が集中できない!」と言われてしまった。
それはさておき、このコントはなんと言っても「ローリングブリーフインザスカイ~」に尽きるかと。
本性を現した上司(下ネタの質が酷い)の、空中で弧を描く白いブリーフ。
初日はブリーフの上に履いていた黒いパンツを下げ忘れて、尾関さんが「しまったブリーフじゃない!後ろ向いているからわかんないだろうけど!」と慌てていました。
 
◆遡りカルチャースクール
<どんな習い事でも、瞬時に身に着けることができる!>が売りのカルチャースクール。
なぜそんなことが可能なのか?秘密は、講師のタイムスリップ能力にあった。
講師がタイムスリップで過去に戻り、過去の人物に接触して趣味を習わせることにより、現在の人物にその技能が身に着くのだ。
しかし何度も過去に戻って同じ人物に接触したことにより、バタフライエフェクトが起こってしまう。
 
コントの最初と最後が繋がってループ!
SFだ。かっこいい。
パントマイム・オカリナ・ダンスと高佐さんの特技の見本市です。
尾関さん演じる講師は、ものすごくエロいことを考えるとタイムスリップできる。
このエロいことワードもちょこちょこ変わっていましたね。
バタフライエフェクトにより、ソニー社員だった高佐さんはソニー芸人になるわけですが、濃いお笑いファン以外の前でやった時に、果たしてソニー芸人という言葉の持つ意味合いが伝わるのか?!
 
FISH or BEEF
FISH or BEEF?」「BEEF
BEEF or CHICKEN?」「BEEF
BEEF or カニタベホウダイ?」「・・・カニ食べ放題」
 
2択の質問を繰り返すことのみで構成されているコント。
なかなかの長さのコントを質問のやりとりだけで作るのは、思いつくことはできても成立させるのが難しいと思いますよ。
どちらも捨てがたい!と悩むくらい魅力的なフレーズで揃えなければならないし、ラストに向かって盛り上がるように順番も考え抜かれているのでしょうね。
ABBCでもACとは限らない。いや~匠の技だわ。
それにしても、布団に入ってくる猫の魅力には抗えない・・・!
 
◆早稲田大学への道
とにかく早稲田大学に行きたい学生。
家はお金持ちだし、何年かかっても早稲田がいいと言い張る彼に、教師は早稲田大学へ至る長く・回りくどく・ひたすら遠い道のりを説明する。
 
インド経由、早稲田大学行き。
尾関さんの台詞が超多いぞ。学生はやはり松戸に行かされる。
尾関さんのおかげで松戸には山崎パンの工場があるということを学びました。
 
◆爆笑行きという名のバス
単独ライブでおなじみ、滑る一発ギャグコーナー。
運転手(尾関)のアナウンスする一発ギャグ停留所で降りたい学生(高佐)が、降車ボタンを押す。
「次、滑ります」
 
やたら降りたがる学生と、自信のない停留所では絶対に止まりたくない運転手の攻防が。
滑るとバスが事故りそうになる。
学生なのにやたらノリノリでバスの運転(&ギャグ)をしたがる高佐さん。
 
◆帰ってきた童貞
やっと捨てたはずの童貞が、実体となり元気に部屋に帰ってきた。
25歳まで未経験の奴は一生童貞」「いや、そんなはずは無い!」
二人(?)の間に芽生えた奇妙な友情をめぐるハートフル童貞コメディ。
 
考えてみたら<童貞を捨てる>という言葉はなかなか奇妙なもので。
捨てた物ならば拾う神がいたり、うっかり戻ってくるということもあるだろう。
そんな発想からか、童貞が人間の形をして現れる不思議なコントが誕生。
舞台と客席の形を活かし、長身の尾関さんが突然舞台上に大ジャンプしながら飛び込んでくるシーンは迫力があったなぁ。
2度見ても新鮮に驚いたもの。
 
◆エンディング
 
今回もコントの多彩さに驚きました。
さらに最近のギースのコントは持ち前のシュールさに大衆性が加わり、初めて見る観客にもわかりやすく、不思議な魅力に溢れていてワクワクします。
これが彼らの言う草シュールかしら。
 
設定やルールに工夫のあるシュールなコントを地道に長く続けたことによって、観客の中で「ギース=不思議なコント」という認識が出来ているために、見る時に良い意味でハードルが下がるのもあるかもしれませんね。
他のコンビがいきなり妙な設定でコントを始めたら、一瞬身構えるし理解するまで頭に内容が入りづらい。
でもギースならば「あぁ、ギースだからね」と最初からストンと納得できる。
 
以前、ライブのトークであったジンカーズとギースの会話で
尾関「最近は分かりやすい笑いが本流で、シュールな笑いはもう古いという風潮がない?」
馬場「そうかもしれない。でも流行は繰り返すものだから、またこういう笑いの時期がくるはずだよ」
というような内容のやり取りがありまして。
(細かい部分はうろ覚えですが。しかも前にも書いた気がする)
 
お笑いに限らず、ブームが巻き起これば類似品が山のように発生して、陰りが見えるとあれだけあった物が一体どこに?と呆れるほど一気に消えてしまう。
流行、まさに河の流れの如し。
渦に揉まれつつ流れが去った後にも留まり、そして残った人々が本物なのだろうと思います。

スタイリッシュでお洒落で都会派。
それを前時代的に感じて「お笑いなのにかっこいいですね」と、からかう人もいるかもしれない。
でも、ファンはギースが胸を張ってスタイリッシュでいてくれることがとても嬉しい。
本物は力強く、しぶとく、しなやかで美しいのだ。