2017年3月17日金曜日

シティボーイズ報告官S(後編)

SはしげるのS!

シティボーイズに課金したくて堪らないのに、公式が全く燃料を投下してくれない。
そのため有志のファン主導でイベントが定期的に企画され、
スペシャル版が今回カルチャーカルチャーで開催された。

斉木さんをお招きして、シティボーイズライブの歴史を
演出家ごとにわけ、関連したトークを聴くというマニアックな内容である。
会場にはヒグラシのSEを聞いた瞬間に「五人姉妹の物語だ・・・」と
ザワつくようなマニアが集っているので、補足がなくとも全く問題はない。
もちろんASH&Dに許可はとっているが、基本的にノータッチ。

お喋りしたくてたまらない斉木さんをMCの方が上手に捌きつつ、
演出家やコントに関する裏話をしてくれたのが前半。
前半部分もめちゃくちゃ面白かったのだが、今回特に興味深かった
後半部分を記しておきたい。

後半はイベント主催&MCで、地図関係のお仕事をされている
小林政能さんによる独自の考察プレゼンからスタート。
取り上げたコントは「丈夫な足場」の「もしかして、あなただけかもしれません」。
当然だと思っていた世間の常識が多数決によって否定され、
自分の中の正解と不正解、常識と非常識が揺らいでゆく。
それでいて内容はあくまでもバカバカしくスピーディーという
全お笑いファンに見て欲しい傑作コントだが、それはひとまず置いておいて。

小林さんが注目したのは、このコントだけが丈夫な足場の中で
浮いている点について。

フランスにある日本の会社
ムヒを貰った話
暗闇坂のオルガン教室
森村さん
白い廊下の出来事
アヤムラのおばさんチャーシュー泥棒を捕まえる
森村さんの夢
布団祭り vs 岩祭り
兄弟たちと森村さん
もしかして、あなただけかもしれません
7月7日の蒸発者達

丈夫な足場は各コントに巧妙な伏線が張りめぐらされ、
ストーリーが進むにつれ繋がりがだんだん判明してくる、伏線回収型の
お手本のように美しい造りのライブとなっている。
それなのに「もしかして、あなただけかもしれません」だけ、他のコントとの
繋がりが全く描かれていないのだ。
なぜだろう?

このコントの中には「小説歩き」というものが出てくる。
小説のト書き部分のように、目に見える風景を口に出して説明しながら歩く
奇妙な歩き方のこと。落語を知っている人ならば、黄金餅の道中づけのような
ものと言えばわかりやすいかもしれない。
この小説歩きには実際の地名が使われている。
そこで、小林さんは使われている地名、道順を台詞の通りグーグルアースに
落としこんで辿ってみた。

麻布長坂、豆源の本店etc。
すると辿っていく先にひとつの坂道が現れる。グーグルアースでズームすると
そこの書かれていた坂の名前は「暗闇坂」。

そう、丈夫な足場の中のコント「暗闇坂のオルガン教室」の暗闇坂なのだ!
彼らはこのコントの中で、オルガン教室のある暗闇坂を通っていた、もしくは
オルガン教室に向かう途中だったのではないか、という結論だった。

これが判明した瞬間、会場中からどよめきと感嘆があがる。
そしてこの考察を聞いた途端、斉木さんから
「今のと似たような話を稽古場で聞いた気がする。確か三木くんと、
なんで暗闇坂なの?という話をしたよ」という証言が!
言われてみれば「暗闇坂のオルガン教室」のコント内に、暗闇坂という
単語は出てこない。モモンガも出ない。
しかし、暗闇坂である必要があったのだ。

「これを発表しておおーっ!と言ってもらえる場所はここだけです(笑)」と小林さん。

二人目の発表は今回のゲストである首都大学東京 准教授の渡邉英徳さん。
専門分野は情報デザイン・芸術工学・webアートなど。
御自身の手がけているプロジェクトの説明として1つ紹介してくれたのは、
広島原爆の実相を世界に伝える多元的アーカイブ「ヒロシマ・アーカイブ」。

「ヒロシマ・アーカイブ」

こんなに堅い研究をしている方とシティボーイズにどういった関係が?と
思いながら聞いていると、なんと大学の講義にシティボーイズライブを
取り入れているらしい。
「丈夫な足場」を鑑賞しながら「伏線」「要素どうしの想定外のつながり」を
見出してツイートせよというのが講義の内容で、学生のツイートは渡邉さんが
togetterにまとめて公開している。

デザインマネジメント概論(5/8)
「シティボーイズ「丈夫な足場」から伏線と想定外な繋がりを見いだす」
 https://togetter.com/li/300764

これをふまえて学生に課題を出している、とのことだったのだが、その課題が
どういうものか忘れてしてしまい・・・。
キーワードを2つ選んでストーリーを作る?いや、違うな。申し訳ない。

この「伏線と繋がりを見いだす」という授業において、丈夫な足場がいかに
優れたテキストかを語ってくれた。
他の作品も色々授業で試してみたが、丈夫な足場ほど上手くいかない。
それは、学生から返ってくる課題レポートの質に如実にあらわれる。

学生達には瞬間的な笑いだけを面白いと感じて欲しくない。
もちろんそういう面白さもある。しかし、デザインとアートを学ぶのであれば
様々な角度から見て、繋がりを感じて、見終わった後に全てを総合して
「ああ、いい作品だ」と思われるような、そんな作品を作る感性を育てて欲しい。

出演者である斉木さんに「丈夫な足場」を使わせて頂いている御礼を
直接伝える絶好のチャンスということで、広島出張の予定を急遽
キャンセルして今回のイベントに参加したとのこと。

 シャーロック・ホームズファンが原作を「聖典」と呼び、考察したり
パロディ(パスティーシュ)を作ったりと隅から隅まで味わうように、
ファンならではの楽しみ方というものがある。
今回はシティボーイズ「丈夫な足場」という最高の素材をもとに
謎を解いてゆく楽しさ、学問とリンクさせる驚くべき使い方を
紹介してくれた。

公式ももっと動いてくれてもいいんだよ・・・と、と文句の一つも
言いたくなったところで大ニュース。
今年の6/12,13.14の3日間、シティボーイズのイベントをよみうりホールで
開催するらしい。
今のところわかっているのは、三木聡脚本の新作コントが1本あるということ。
(演出は別の人)
それだけでもう大興奮のカルチャーカルチャー。だってマニアしかいないから。

しかしたった3公演とは。これはチケット争奪戦だろうなあ。
WOWOWさん、収録お願いします!

2017年3月4日土曜日

ラバーガール大喜利

ライブの冒頭で二人が
「僕らは今までフワッと大喜利をやってきたし、終わっても
特に反省をするとか苦手な部分をなくすような努力を
全然してこなかった」語っていたのが本当だとしたら、
ラバーガールは天才が過ぎる。
そんな天才が大喜利の努力をしようとする恐ろしいライブ。

しかも、ただむやみやたらに問題をこなすのではなく
「前の人の回答としりとりにしてみたら、自分でも意外な答えが
思い浮かぶかもしれない」とか「D関で回答中の解説席トークから
話題を拾って答えを作るとハマるのではないか」など、新しい視点をもったコーナーを作る。

新ネタ会議といい、ラバーガールは今まであるものに一味加えたり切り口を変えたりして、
客席にいる私たちを楽しませてくれる。
しかも突飛なものではなく、実に観客に近い視点で。
 
今回は特に自分の苦手なタイプの大喜利をみんなで練習してみようというコーナーが面白かった。
普段大喜利をみながら自分で答えを考えると言う事はしていないので、
苦手なタイプとは?と不思議に思う。

ラバーガール飛永「ランキングに関するお題」
→○位という数字に意味をもたせるのか、どこに重点をおけばいいのかわからない

ラバーガール大水「腹が立つ系のお題」
→あまり喜怒哀楽の感情がないから腹が立つことにピンとこない


 ザ・ギース高佐「チャラいことに関するお題」
→自分にチャラい要素がまるでないので、チャラさを表現する用語等が出てこない

ポテンシャル聡「言い換えるお題」
→正解があるのに、なんでわざわざ言い換えるんだよ!と思ってしまう



ラブレターズ溜口「写真で一言」
→そのままにしか見えない。他に何も浮かばない


言い換えるお題と言うのは例えば
「猿も木から落ちる、みたいなことを言って下さい」
なるほど、そんなお題あるね。
他の人の答えを参考にしながら、苦手科目を克服していく皆さん。

今後ダイナマイト関西に今日のメンバーが出たら、この日のライブを
思い出しながら見ることになるだろうなと思う。