2011年7月16日土曜日

こしら一之輔 ほぼ月刊ニッポンの話芸

こしら一之輔 ほぼ月刊ニッポンの話芸

この会の欠点は会場選びだと思う。
成城ホールじゃないでしょ~、このメンツは。
19:30開演でも平日はキツいし客層もどことなく志の輔・談春の香りが。

立川こしら たがや~だくだく
春風亭一之輔 らくだ
トークコーナー

おなじみのマクラで“自分sage、一之輔age”をしつつ会場を
温めるこしらさん。マクラのまま終わっちゃうかと思うところで
「たがや」に入った!そして1分くらいで終わった!
超短縮バージョンながらも、たがやの首が飛ぶ談志バージョンである
ところに立川流を感じるかも(笑)

だくだく、八五郎のウザい繰り返しをご隠居さんが後から真似して
「ムカつくだろう、これがさっきお前がやったことだよ」
「そうか、うわー気がつかなかった。確かにこれはやられると嫌ですね」
と小さな復讐をするところが逸品。

絵の中で川を書いてもらうことが仕込みになっていたり、下げが
「友達のつもり」なんて可愛いフレーズだったり。
一席の中で自分が面白いと思う所をふくらませ、他は大胆に編集しちゃう
あたり上手いなぁと思う。

対する一之輔さんはなんとらくだです。
50分あげるから好きに使って、と言われて2席にするか1席にするか
ギリギリまで悩んだのでしょうね。

このらくだがまた素晴らしい。二つ目クオリティじゃないよ。
実は私の三大苦手落語に入っている「らくだ」なのですが、
聞いていて辛くなる終盤の陰惨な部分も、壊さない程度のギリギリ
笑いを入れつつ語ってくれるので、案外すんなり聴けてしまいました。
一之輔、やはり恐ろしい子!

トークコーナーもあったのですが、そこは割愛してちょっとこしらさん話。
不動院寄席になんだかんだで5年くらい通っているので、こしらさんは
結構見ている方だと思うのですが、最初の頃は
「うーん、面白い。
でも、この“こしらくご”が落語界でブレイクすることはないだろうなー」
と思っていたんですよね。

基本的な落語知識とかよりもっと根本的な、言うならば
「本人に落語界で落語家としてやっていく意欲」みたいなものが
まるで感じられなかったので。
他の仕事をやる時に役にたつから落語家という肩書はキープしておきたいけど、
真っ当な落語家に囲まれると粗が見えちゃうから目立ちたくないなぁ、みたいな(笑)

実際かわら版に掲載されるような目立つ落語会にはほとんど出なく、
落語家という肩書でうっかり呼ばれた営業仕事の話を愉快に語っていた。
そして、一番弟子をどうにかして志ら乃さんに押しつけようと頑張っていた(笑)

でも最近、なんだかこしらさんに「落語家としてやっていこうかな」という
意識が少し見えてきたような気がするんですよ。なんとなく。
何ヶ月か前の不動院寄席で真打トライアルの話が出て、兄さんは真打に
なる気があるんですか?と聞かれた時に
「うん、あるよ」
とあっさり普通に答えていて。そのあっさりさが妙に真実味を帯びていて
へーっと驚いた。志ら乃さんとらく次さんも軽く驚いていたように見えた。

はんにゃのANNに出ても引けをとらない程のトークスキルを持っているし、
落語家の肩書を持つタレントになる可能性の方が大きいかもしれない
と考えていたけれど。
うん、落語家メインで行くのいいと思う。
それでも“江戸っ子は~”のマクラは変えないんだろうなあ(笑)