2015年12月10日木曜日

ザ・ギース「正しいピクニックのやり方」

ピクニックの告白
尾関に誘われてピクニックにやってきた高佐。
今年を振り返り、誕生日プレゼントまで用意してくれる尾関の様子に疑問を感じて問い詰めると
「すまん!ずっと黙っていたけれど。高佐、お前は実の相方じゃないんだ」

10年前にピン芸人だった尾関さんが、シアターDの前に段ボールに入ってプルプル震えながら捨てられている高佐さんを見て、
可哀そうだからと拾ってついコンビ組んじゃった。
尾「お前はまだ物心ついていない頃だったから…」
高「俺もうその時25歳だよね?」
実の相方でも実の芸人でもなかった高佐さんは、正真正銘本物のマジシャン。
新聞紙を使ったマジックを華麗に成功させ、OP映像がスタート。

◆OP映像

一瞬夜空に散らばる星が映ってから、青色背景の今回のチラシ写真へ。
青空だと思っていたけれど、実は夜中のピクニックだったのかな。

神々の死闘~スリーエフ編~

一ヶ月近くバイトの面接に落ち続けた男(高佐)が、突然天より啓示を受ける。
全ての面接を司る神カンパニオン。彼はその加護を受けることになったらしい。
どんな事をしても必ず受かると聞き、ふざけた態度でコンビニ「スリーエフ」の面接に臨むも
本当に合格しそうとその時、店長(尾関)に面接破壊神ソバスタードが降臨。
スリーエフを舞台に、神々の戦いが今幕を開ける。

 何をやっても受かると言われた高佐さんが、パンダのようにゴロゴロしたり、でんぐりがえしをしながら部屋に入ってきたり、
セクシーポーズをとったりとやりたい放題で楽しい
(楽日はトシちゃんのモノマネのまま面接を受けていた)
このまま続くのかと思ったのに、まさか後半がバトル物になるとは。
「秘儀セクハラ面接!“女の人はどうせ結婚したらやめちゃうんでしょ?
君のその巨乳は評価したいけれどね!」
「男女雇用均等法バリアーー!!」
技の名前は毎回ちょこちょこ変わるが、店長のセクハラ台詞は基本巨乳がらみだ


小手指俳句の会
山登り途中で休憩中の老人たち。
俳句仲間である二人は何気ない会話を交わしつつ、胸の中では本音を句で詠みあっている。
ひょんなことから崖に生えているキノコを見つけ、足を踏み外して危機一髪の事態に…!

二人揃って老人役は珍しいような。
尾関さんの腰痛が豪快。
私は水筒にきなこ餅のインパクトにやられたよ。
好きな俳句は「エスパーだ 〜さんは こわいひと」
「こわいひと」がひらがななのが堪らなくいい。


それでも僕はやっていない
痴漢冤罪の弁護を依頼するためにやってきた男(高佐)
現れた弁護士(尾関)は頭の回転が速すぎるため、普通の速度で話されると内容が頭に入ってこないらしい。
当時の状況をなるべく難解に話すよう要求された男は、語り、歌い、そして前衛舞踏でわかりづらく表現をする。

 ギースらしい言葉遊びのコント。
公共の場所で相手に羞恥心を抱かせ不安にさせる行為をする者、
もしくはその行為
→世界で一番小さい国の名前の最初の字をとったやつ
→東京ラブストーリーの主人公のあだ名を業界人風に呼んだやつ
→キングオブコメディ高橋健一

 みんなパーケンさんで笑いすぎだよ!(笑)

Rouge-Noir
(高佐)が曰くありげな地下カジノへやってきた。

このカジノで遊ぶのはありきたりなゲームではない。ギャーグである。
ディーラー(尾関)のギャーグが受けると思えば赤、滑ると思えば黒にチップを置く。
さあ、貴方はどちらに幾らを賭ける?

ギース単独恒例の滑る1発ギャグコーナー。
高佐さんが全てのチップを黒に賭け続ける演出だったが、楽日は途中で赤に賭けた!
尾「それはそれで緊張するな・・・」
このギャグが受けて大喜びする尾関さん。
他の回では二人とも基本ギャグは滑っていて、そのうちお互いに
慰めあいだすのが面白い。


納期、それは命より尊く
取引先からデザイン案を白紙に戻すよう指示が来た男(高佐)が頭を抱える。
納期はギリギリ。時間がない。
やってきたデザイナー(尾関)と打合せをすぐに始めるも、何やら様子がおかしい。
血のにじんだボロボロの服、土気色の顔、奇声を発しながら…襲いかかってくる?!
なんとデザイナーはゾンビになっていたのだ。
襲われてゾンビ化した男とデザイナーゾンビは、オフィス徘徊しながら呟く。
納期・・・納期・・・。

 
幕間は映像は使わずにブルーライトの中で生着替え。
最近のライブでは恒例になりました。
着替えた後にお互いにチェックしたり、着替えを手伝ってあげる様子は仲が良さそうで、見ていてホッコリとする。
このコントの前は舞台上には高佐さん一人が残り、妙にスタイリッシュにジャケットを羽織り、セクシーにシャツを着てウォーキング。
なぜ時間を稼いでいるんだろうと思っていたら、尾関さんのゾンビメイクのためだった。
初日は噛まれてその場に倒れていた高佐さんが、途中からはセットの陰に隠れるように倒れてソンビメイクをする仕様に。

ここは自由度が高くて楽しかったな~。
階段を降りるパントマイムを見て「ふ~し~ぎ~」と言う尾関ゾンビが可愛い。
尾関ゾンビはすいているのに相席のヨネスケを彷彿とさせる。
楽日はやりたい放題で、先ほど滑ったお互いのギャグをイジったり、2人で突然倒れた後「幽体離脱」をやったり。
客席ギリギリまで尾関ゾンビがやってきて、今にも襲いかかりそうな様子に客席も盛り上がる。
観客にどの程度絡むかを悩んでいたらしく、お客さんからもっと積極的でいいですよ、とアンケートを貰った尾関さんが「客席がそんな痴女ばかりだとは!」。
いや、そういうことじゃないです(笑)

大いに笑いつつも、死んでまで納期を気にする社畜ソンビ達はどこか物悲しい。
交通事故にあった人がパニックを起こしながらとにかく会社に行こうとして、周りが必死に病院へ行くように説得したというのもよくきく話で。
無意識下にもあらわれる「何をおいても仕事をしなければ」という謎の使命感。


キングオブ鬼ヶ島2015
桃太郎が鬼を倒してから1年。
今年も鬼ヶ島での鬼討伐開催が発表され、そのお伴の座を争う総選挙が行われる。
4000匹を超えるエントリー数の中、猿(尾関)と犬(高佐)は2年連続2回目の進出なるか。

幕間着替えで全身タイツ姿になる2人。
この設定なので、もちろん元ネタはキングオブコントなのだ。
初日で犬の名前が呼ばれた時に、尾関さんが高佐さんに抱きつき「おっ、セルフパロディ!」と思ったのに、次に見た時にはなくなっちゃった。

象やライオンが選ばれて「今年は固いなー。置きに行ってるよな」
聞いたこともない動物の名前に「新人?どこの事務所?」
ゴリラが呼ばれて猿が「終わったーオレキャラ被ってるー」
などなど。言葉とキャラの置き換えが絶妙。
そして、最後には彼らが呼ばれて現実と虚構がクロスする。

多重人格多重債務
借金の取り立て(高佐)と返済を迫られる男(尾関)。
今月分の返済金を受け取ると、再び同じ部屋のチャイムを押しだす。
部屋から出てきた男は外見は全く同じだが、名前も性格も変わっている。
どうやら彼は多重人格者であり、それぞれの人格が借金をしている多重債務者でもあるらしい。

人格は違うのに身体は一つだから、お金をめぐって大混乱が起こる。
部屋に隠したお金を探しだして借金返済に充てるけれど、結局盗ったのも盗られたのも本人だから
お金がグルグル回るだけ。
最終的に全員の借金を一本化することで、人格達も一つにまとまりめでたしめでたし。
(統合される人格の中に五郎丸選手、永野さん、面接神が!)
チンピラ風でちょっとお人よしな高佐さんのキャラクターが珍しいかな。
なんと言っても尾関さんの多彩な演じ分けを堪能できるのが楽しい。


二人でオーロラを
フィンランドに二人でオーロラを見に来たギース(尾関、高佐)。
しかしオーロラがなかなか現れないまま、旅行最終日になってしまった。
尾関がトイレに行くとついに空にオーロラが出現するが、戻るとすぐに消えてしまう。
尾関が消える、オーロラ現れる。尾関が現れる、オーロラ消える。
どうやら法則が見えてきた。

ドリフのようにベタなこのコント、実は設定がまるっと変更されている。
初日に見た時は2人は全く別の名前の人物だったはず。
それが、2度目に見た時にはギース本人になっていた。
最初のコントでプレゼントしたニット帽を高佐さんが被っているし、ギースのイベントには雨がつきものだから雨男の会話も自然なので、変えて大正解だと思う。

前の設定が残っているため、尾関さんのキャラが少しだけ不自然にガラが悪く、それが「これはギースだけれど100%本人ではない」
というニュアンスをうまく観客に伝えている。
本来は独立した2つのコントだけれど、実の相方かどうかで言い争いをしていた二人が、仲直りしてフィンランド旅行をしているように見えて微笑ましい。
それと、ニット帽を深めに被った高佐さんのお顔立ちが少年のように愛らしい。
最後が思いっきりくだらないのもいい。

 
「キングオブコントで落ち込んだりもしたけれど、僕達は元気です」
最初のコントを通じて、そう言ってもらえたような気がした。
そして「解散しないから大丈夫だよ」とも。
あまり心配しているつもりはなかったのに、このコントを見終わってフッと心が軽くなった自分に驚く。
思っていたよりキングオブコントの結果にまつわるあれこれは、心にこびりついていたらしい。
お互いを思いやる台詞も多かった。
その気持ちをトークではなく、コントに乗せて客席に伝えてくれる
ギースが優しく頼もしい。

今回は会場に足を運んだ観客を心ゆくまで楽しませてくれる臨場感に溢れたライブで、終演後に「面白かったー!」という声が沢山あがっていた。
「シティボーイズさんのように、ライブで全国をまわれるようになりたいね」とカーテンコールで話した2人の願いも
早々に叶いますように。
賞レースで優勝して一気に跳ねるという結果では決してなかったけれど、ライブという一番大事な足場をしっかり固めながら「来年も頑張ろう!」と誓いあう2人の後ろには、明るい未来が見える。