2019年9月5日木曜日

すいているのに相席傑作選

2013年から続くユニットコントライブ「すいているのに相席」の初期傑作選が上演された。
今回のメンバーはバッファロー吾郎さん、ザ・ギース、アイアム野田さん、山脇唯さんの5人。
コントは順不同です。  
・椅子取りゲーム
清原の引退試合で長渕剛の熱唱するトンボをBGMに椅子取りゲームをする人々。

相席1ではこの映像をフル尺(結構な長さ)で眺める、客席がどういう気持ちで見ていればいいのだろう?と戸惑う謎のコーナー「相席ハーフタイムショー」があった。
それがまさかコントに取り入れられるとは。

また、見事にピタッと歌が止まるから椅子取りゲームにぴったりで笑ってしまう。
映像の二人は真剣そのもの、スクリーンの前では椅子取りゲーム。

・カリオストロの城
追手から逃れるクラリス(山脇)と銭形警部(高佐)。
こんな時にルパンがいてくれたらと呟くクラリスに憤る銭形、果たしてその正体は三択の女王竹下景子だった。
愛用の銃を片手に追手と交戦する竹下は、クラリスの意外な勇気に感心し「いつか日本へ来たらキョセン・オオハシを紹介するわ」と言葉を残し去ってゆく。
その竹下の背中を追いかける人物(尾関)がまた一人。
「八千草薫さん・・・!」

あらすじだけ読んでもわからないし、書いている自分でさえわけがわからないでおなじみカリオストロコント。
高佐さんは女性らしい演技だが、終盤で出てくる尾関さんはまるで八千草薫感がなくほぼ銭形警部。
いや、むしろ銭形になりきっている八千草薫の演技力が完璧なのかもしれない。
以前の反省会で台本を見せてくれた際に、小道具の銃はなるべくワルサーP38に近い物を用意すると書かれていてその細やかさに感心した。
そういう細部にきちんとこだわるところが素敵だ。
クラリス役の山脇さんがピーチ姫のようなピンクのドレス姿でプリティ。

・スズメ
いたずら小僧(野田)がスズメを罠にかけようと餌を置いている。
選ぶ餌がリッツ、野草と独特で、それを見たスズメの兄弟(バ吾A、高佐)は
「人間はバカだなあ。リッツなんかで引っかかるのは沢口靖子、野草でひっかかるのは岡本信人くらいだ!」
「お兄ちゃんはカシラがいいなあ。さすがチュンバード大学卒業だ」
とチュンチュン盛り上がる。
幼稚な餌には引っかからないと豪語していた兄スズメはなぜかさくら餅の葉っぱに惹かれてしまい・・・。

ドリフのようなシチュエーションが楽しいコント。
弟に対して常に自慢気なお兄ちゃんも、弟スズメの「ハツがどきどきしたよー」も可愛い。
エンディング映像に映る、スズメの被りものが2個並んでいる写真だけでもメタメタ可愛い。
時が流れリッツがルヴァンに変わったので、餌もルヴァンに変えるべきか稽古場で真剣に話し合ったそうな。
あのリッツでさえ永遠ではないのだ。

・女スパイとの哀しき恋
追われるスパイ(山脇)と追う男(高佐)の哀しい恋物語。
銃口を向けられない男を嘲笑い、撃てないならば私が代わりにと銃の標準を合わせる女。
そこに飛び込んできた後輩(尾関)の姿と共に銃声が鳴り響く。
・・・彼女の拳銃に弾は入っていなかった。
誰か教えて下さい。一体だれが悪かったというのですか?

初めてみた時、実際の事件現場に亜空間から突然生活笑百科メンバーが現れ、即効で事件を解決するという超展開のコントだと勘違いしていた。
そうじゃなくて、生活笑百科の「暮らしの中のトラブルを演芸で再現して相談員が解決する」の演芸が、今回はザ・ギース&山脇唯さん出演のコントだったということだよね。
もう長い事この番組を見ていなかったので番組の構成を忘れていた。
スパイは歩いて国境を渡ろうとしていたから、旧ソ連あたりの生活トラブルかもしれない。
いつかすいているのに相席の関西公演が実現したら、このコントと新婚さんいらっしゃい!は是非入れて欲しい。

・こどものタヌキ
こどものタヌキはすいているのに相席の通過儀礼。

今回のタヌキ枠は野田さん。

・すいているのに相席VTR傑作選

(昼)野田 vs 尾関 ウルトラソウル対決
ヘッドホンを付け音が聞こえない様にしてB’zのウルトラソウルを流し、ここがサビだ!と思う瞬間にウルトラソウル!と叫ぶ。
より近い方が勝利。今回は野田さんの勝ち。

(夜)モノボケ部のアニメ次回予告、エンディングテーマ
次回予告の存在をすっかり忘れていた!そういえばこんなのあったね。
エンディングテーマはアニメの画風もキャスティングされている声優もいかにも90年代で、その頃のオタクは見悶える出来になっている。
作詞・作曲・歌がヨーロッパ企画の上田さんというのも衝撃的。ジャミロクワイ。

・J-WALK
J-WALK(尾関)のコンサートにやってきたカップル(バ吾A、山脇)。
ヒット曲「何も言えなくて…夏」を楽しんでいるうちにおかしな事に気づく。
何度も何度も繰り返す同じメロディ。歌がループしている。
「俺達はJ-WALKに囚われてしまったのかもしれない」
このままでは夏が終わらない。会場で見つけたJ-WALKリーパー達と共にJ-WALKから脱出する方法はあるのだろうか。

サラリーマン役がフルポン亘さん→高佐さんへ変更。
そしてカップルは「J」「W」の独特な振り付けでコールを繰り出しとっても楽しそう。
しかし二人とも大ファンのわりにはJ-WALKへの言葉がなかなか辛辣。
「彼らはこの曲が終わって次の曲に移るのが怖いんだわ」という無意識ディスに、J-WALKになりきって唄っていた尾関さんはおかんむりだ。
相席反省会で野田さん演じる老人はJ-WALKの世界に入った時にはすでに老人だったのか、それともその世界の中で歳を取ったのか話題になる。
お腹もすかないし喉もかわかないのだから歳も取らないのでは?という結論になり、あの渋い姿で当時J-WALKのコンサートに来ていただいぶ趣味の若いおじいちゃんだったんだね、と。

・魔王
東京フレンドパークのスタジオ観覧に当選した親子。
楽しみにしている父親(尾関)の横で、息子(高佐)は具合が悪そうだ。
熱にうなされて幻想を見る息子とそれをなだめる父親。
シューベルト「魔王」と東京フレンドパークの奇跡の融合コント。

何度も再演を繰り返している人気コント。
尾関さんの朗々とした豊かな歌声は変わらず、今回は高佐さんの唄い上げが素晴らしかった。
今まで上演した中で今回がベストアクトなのでは?
歌詞はそのままで二人の演技が毎回マイナーチェンジしているのも見どころだ。

・一言コント
オチだけを披露する一言コント集が久しぶりの復活

一言コントのトップバッターは毎回「動物探偵」。今回はヤギだけにメ~エ宮入り。
私は将軍様とイルカ、バッターアウト!、ブラジルが好き。
ブラジルは名作だなあ。八木さんの声はこのコントを作った時にわざわざ録音してもらったものとのこと。

・毒蝮三太夫のミュージックプレゼント最終回
本日が大沢悠里のゆうゆうワイド 毒蝮三太夫コーナー最終回ということで相変わらず毒舌の冴えわたる毒蝮(バ吾A)。
応援に来てくれた老人達(野田、山脇)を追い払うと、物陰に鋭い目線を投げつける。
そこに現れたのは、巣鴨に完成させた魔界に人間界を繋ぐ道から魔族を送りこみ、世界を滅ぼそうと企む魔物(尾関)だった。
かつての親友・立川談志の仇でもある魔物と激しい戦いを繰り広げる毒蝮。
しかしあまりにも強大な敵の力に、もはやこれまでと諦めた彼の耳に音楽が届く。
♪大沢悠里の~ゆうゆうワイド~
老人達の愛と歌の力が、魔物を追い詰める!

いつもの毒舌で老人と地球を守り、ニヒルな態度に反して中身は煮え立つマグマのように熱いまむちゃんが真のヒーロー。ひたすらかっこいい。
Aさん曰く前回はドラゴンボールで今回はワンピース。だからワンピースらしい技の名前をつけてみた。
Aさんの全身全霊の演技に目を奪われがちだが、彼と相対するブラックデビルっぽい魔物を演じる尾関さんも押され負けることなく演じている。
「二人の演技のセッションが素晴らしかった」by野田さん

・美輪さんとかくれんぼ
美輪さんとかくれんぼをして遊ぶ学生服姿の青年(高佐)。
姿を消してしまった美輪さんの代わりに見つけた綺麗な花は、彼女の髪と同じ美しい黄色の水仙だった。

・美輪さんとかくれんぼ(野田ver
美輪さんとかくれんぼをして遊ぶ学生服姿の青年(野田)。
姿を消してしまった美輪さんの代わりに見つけた綺麗な花は、彼女の髪と同じ美しい黄色の水仙だった。

ゆうゆうワイドで老人役を野田さんが演じ、次のコントが美輪さんのかくれんぼだったため、ということは今回の青年役は高佐さんだなとマニアならではの予想をしてニヤニヤしていたところ、予想を遥かに超えたまさかの二本立てだった。
野田→高佐→野田→ダブルキャスト(NEW)という移り変わりをしているコント。
高佐さんがやたら演じている印象があるのは、美しい青年シリーズが他に2本あるから。
野田さんとの比較がわかりやすいように、高佐さんは丁寧に細やかにパントマイムをこなす。
まるで触れる樹木の木目まで見えるよう。
そのおかげか野田さんが同じシーンを演じると「野田君の触ってるのはぐにゃぐにゃして大きい、樹齢何千年もある神木だよね(せきしろさん)」。
己の技術を磨きあげて完璧を目指す努力の才人姫川亜弓(高佐)。
天から授かった抜群の愛嬌と人々の笑いを誘う人間力を持つ北島マヤ(野田)。
二人のライバル関係はこれからも続く…のかもしれない。

・未来予想図
ケント・デリカット(バ吾A)の眼鏡で5回あの仕草。ア・イ・シ・テ・ルのサイン

ユタ州を馬鹿にされると怒るのがケント・デリカット。
世界まるごとHow muchに出ていたのがケント・ギルバート。
バラエティ番組で相撲を取るのがチャック・ウィルソン。
TVに出ている外国人タレントの向こう側に海外を感じていた子供の頃。
ケントの恋愛模様を描かれると妙に照れるのはなぜだろう。

・ホーム
大きなトランクと共に駅のベンチで待つ女(山脇)。
衣装であるたぬきの耳の鼻をつけたままホームに駆け込む男(野田)。
彼女は今日、故郷へ帰るのだ。
共に暮らした日々を振り返り、別れを惜しむ二人。
お金はなくても色んな所に遊びにいったね。
あなたは出会った時からずっとたぬきのネタをやっていたね。これからも、ずっと続けてね。
涙をこぼす彼女に泣いちゃ駄目ポコ、とたぬきの葉っぱを渡す。
電車が発車する。でも、まだ乗ることはできない。
背中あわせに立ったまま、後ろを振り返らずに立ち去る彼女。
発車のベルが鳴る。思わず男は電車に向かって駈け出してゆく。
そして・・・

・エピローグ:まむちゃんの帰還
魔王との死闘の末、無事に巣鴨へもどってきた毒蝮三太夫。
喜んで駆け寄る老人達(野田、山脇)を照れ隠しのためか邪険に追い払う。
すると二人が何かを落としていった。
毒蝮「なんだこれ・・・葉っぱか?」

ホーム初演では、数年後「嗚呼!バラ色の珍生!」に出演した彼女が男を探すがスタジオに現れず、預かった手紙には一枚の葉っぱが入っていたという切ない別れの結末だった。
今回はあの列車に飛び乗ったのか、はたまた後年よりを戻したのか、老人となった二人は一緒にいるのだという幸せな結末になった。
だからこどものタヌキが野田さんだったんだね。
初演からの間に哀しい別れがいくつかあったから、今回はハッピーエンドにしようと話したんだとせきしろさんが語る。
エンディングの映像は「すいているのに相席3.5」のものだった。
皆が手を振る向こう側にいるであろう人も、元気でいてくれるといいな。