2011年9月16日金曜日

シティボーイズ「動かない蟻」

作・演出=天久聖一
キャスト:大竹まこと きたろう 斉木しげる(シティボーイズ) 
     中村有志 荒川良々 辺見えみり

まずは還暦を過ぎて尚、前進を続けるシティボーイズに拍手
ごめん、私はジイさん達を侮ってたよ!

去年の「10月突然、大豆のごとく」がとても良いフォーマットだったから
それを踏襲するのかと思っていたんだ
センスの良い若手芸人2組を入れることによって、舞台が新鮮になるし
シティボーイズの出番を減らして体力を保つこともできる
この方式で毎年若手を入れ替えればいい舞台を作ることができるわ、
しばらくはシティボーイズライブも安泰だな~って

しかしジジイ達は安泰も安定も望んでいなかった
前と同じことをやったって意味がない、と中身をガラリと変えてきた
かっこいいとはこういう事だねえ


さて、舞台の中身は原発事故と下ネタの融合がメイン?
原発の事故による放射能汚染が色濃く出た1本の大きなストーリーがあり
いくつかのコントが最後に収束するのは懐かしいですね
私としては下ネタ大爆発の例のコントは正直苦手かな
もちろんバカバカしさのオブラートに包んでいて、感動すら与える
場面なのですが、もう少しうまいやり方があるんじゃないかなーと思うので

それより、全体に漂う不気味で歪んだ世界観がたまらなかった!
大竹さんのツッコミで笑いに変えていたけれど、ピカソに憧れて
切り落とした片耳の処理法で

きたろう「俺ならオルゴールにしまっておくな。
中に入っている俺の耳だけがオルゴールの音色を聴くんだ。
ロマンチックだろ?」

という台詞はなんとも悪趣味でとても甘美だし、舞台のラストで
未亡人がオルゴールを開く所で思わずドキッとさせるのも巧い

放射能の降り注ぐ雨の街を1本脚のこたつを傘にしてゆっくりと歩く男
オラウータンに育てられた少年と、人間に育てられたオラウータンの悲しい邂逅
自分の中身を全て詰めた冷蔵庫の傍らに立つ穏やかな男
物悲しいオルゴールの音色

汚染された未来世界を舞台にしたSF漫画みたい、と思ったところで
天久さんが漫画を描く人であったことを思い出す
なるほどなあ、うん・・・


キャストの感想としては良々サイコー超サイコー
網戸を持つ少年で1週間は笑える自信がある
えみりちゃんも上手だったよ!

そして、今回はきたろうさんが役者でした
大竹さんはどの役をやっても比較的大竹さん自身だし、斉木さんはアレだし(笑)
きたろうさんはキャラごとにちゃんと演技を変えていて、芝居の巧さが
際だっておりました

今年の音楽担当はシティボーイズファンには懐かしい坂口修さんですよ~
暗転中に凝った映像がなくても全く気になることがない、素敵な音楽
ばかりでした