今まで変ホ長調やタブレット純との合同ライブ、なぜか単独ディナーショウ(!)を
経験していた阿佐ヶ谷姉妹。10周年で初の単独ライブが開催されることになった。
会場は都内の小さな会場を飛び越えて座・高円寺、しかも大阪公演ありと
彼女たちの現在の活躍ぶりが伺える。
客席にはいかにも業界人・関係者らしい人も点在するが、地元阿佐ヶ谷で
応援するご町内の方々も多く、平均年齢高めのゆったりのんびりとした雰囲気に
包まれていた。
<リアリーおばさんのクッキー>
バスの乗り遅れてパートを休むおばさん(江里子)が、クッキーを配り歩く
ふりふりのコスプレおばさん(美穂)に出会う。
「あなたもしかして・・・ステラおばさん?!」
彼女はステラおばさんではなく、Really?しか喋らないリアリーおばさん。
<おばさんあるあるオーディション>
なかなか物を受取らないおばさん、お金を紙に包んで渡してくるおばさん、
電話で声のトーンが変わるおばさんetc。
彼女たちの飛躍のきっかけとなった「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」に
で見ることができる、秀逸なおばさんあるあるのショートコント集。
<喧嘩漫才>
漫才の途中で喧嘩になる江里子と美穂。
「カエルの声が出る動画見るのやめてよ気持ち悪い!」
「なによ、妖怪肩パッドばばあ!」
「寝る前にポテトチップス1袋食べるのやめて。幾つよ?!」
「私はおじゃがが好きなの。おじゃがでお腹いっぱいにして
寝るのが幸せなの!」
<二人の前世は本当に姉妹だった?>
第二次世界対戦へと突入したことを嘆く二人の姉妹。
姉(江里子)は音楽の先生であり、空腹のこまっしゃくれた妹(美穂)を
なだめるために、絵本を読んだりお歌を歌ったり。
「わたし、生まれ変わったらお腹いっぱいおじゃがを食べたい」
<どこにもいる こんな人>
♪いるいる どこにもいる どこにもいるこんな人~
というフレーズに乗せて、絵付きのフリップに顔をハメるネタ。
振り返るタイミングを取るために、小さな声でせぇ~のと言ってるのが
会場に聞こえてしまい微笑ましい。
<スタンド・ババア・ミー>
昼下がりの公園で鳩に餌を撒く二人のおばさん。
美穂に好意を寄せている江里子は・・・。
<リアリーおばさんのクッキー おかわり>
<ソングコーナー>
ドリームガール
You’d be so nice to come home to
みずいろの雨
魂のルフラン
産声
365日の紙飛行機
花束を君に
月がとっても青いから
さよならの向こう側
トルコ行進曲
ピンクの衣装とは違うドレスに身を包み、歌詞を阿佐ヶ谷・高円寺に寄せた
「ドリームガール」から始まり、盟友タブレット純が二人のために作った
オリジナルソング「おしぼりをまるめたら」はしっとりと歌う。
「産声」はこの日のために作られたオリジナルソングで、
作詞は演出の坪田塁さんだ。
劇中で何度となく流れた美穂さんの
「誰に頼まれたわけでもない。自分で選んだ道だもの。
自分で良いようにしなくては」
そのような台詞に、年齢や性別に関係なく自分の人生を
選びその責任を自分で引取る、柔らかくも芯のある覚悟を感じる。
特筆すべきは舞台上から客席の隅々にまで行き渡る幸せいっぱいの空気!
カーテンコールでは予想通り江里子さんが涙・涙で、お客さんも
貰い泣きをしていた。
お二人からとびきりの贈り物を頂いた気分で劇場を後にした。