2017年1月27日金曜日

英国ロイヤルバレエ「アナスタシア」

去年から引き続き鑑賞している映画館でバレエシリーズ。
ボリショイバレエと英国ロイヤルが定期的に上映してくれるが、
お金と時間の関係で、さすがに全て見るわけにはいかない。

今回選んだのは英国ロイヤルバレエ「アナスタシア」。
舞台好きとしては未見の演目に興味があるので。
20世紀FOXの作ったアニメ映画で見たことがあったかな?
バレエ版では、死んだはずの皇女アナスタシアと、自分を
アナスタシアだと主張する女性アナ・アンダーソンを描く。

1幕はアナスタシアのおてんば娘らしさ、2幕は美しく成長した姿で
デビュー舞踏会に暗い影が刺しやがて革命に。
そして3幕は精神病院のアナ・アンダーソン・・・と思いきや、
よく見てみると1幕と2幕の舞台美術にも病室を思わせる部分があると
舞台美術スタッフのインタビューで語られていた。
つまり全てはアナの妄想として描かれている。
この作品が作られた当時はまだアナ・アンダーソンが本当に
アナスタシアなのかは判明しておらず、3幕の精神病院部分だけの
短編バレエだったという。

アナスタシア/アナ・アンダーソンを演じるのは、現在イギリスで
活躍中のロシア人バレエダンサー ナタリア・オシポワ。
1幕~2幕のチャーミングさと難しいダンス(出ずっぱり!)
何より3幕の狂気の表現が鳥肌がたつほど素晴らしかった。

かねがねバレエダンサーはどのように演技力を磨いているのか
不思議だったが、インタビューによると彼らは特別な演技の
レッスンは受けていないらしい。
音楽に身を委ねて踊ると演技は自然とついてくるのだ、と。
なんて美しい・・・。

それにしても、海外の舞台作品がどれにしようかな?と迷うくらい
映画館で上映されるのだから幸せな時代だ。
この上映のためにかなりのカメラとスタッフを用意して撮影を
するので費用はかかるだろうが、その映像で世界中の
映画館で観客を動員できるし、プロモーションにもなる。
団員・スタッフを率いて(場合によってはオーケストラも)世界ツアーを
する莫大な費用と労力を考えれば、この方式はメリットだらけだろう。

しかも舞台を見に行く観客を奪わず、むしろ新しいファンを掘り起こしている。
実際、私の母は若い頃からバレエファンで、来日公演を喜んで観に行って
いたが、最近は億劫がって劇場に足を運ばなくなっていた。
それがこの映画館で上演されるバレエシリーズを知り、今度は
映画館でバレエを楽しむようになったのだ。

 「劇場では咳をひとつするのも憚られるけれど、劇場ならば気軽に
飴を口に入れたりお茶を飲んだりできるし。
トイレにも行きやすいでしょう?
それに、劇場であんなに表情や足の動きがよく見える席を取ろうと
思ったらとっても高いんだから!
いい時代になったわねえ。」