2019年2月22日金曜日

TBC(東京ブサイクコレクション)in阿佐ヶ谷part4〜ファイナルブス

阿佐ヶ谷ロフトで行われるブサイク芸人の、ブサイク芸人による、
ブサイク芸人のためのイベント。
今夜も完売御礼の大人気。


出演者はロビンソンズ北澤、わらふぢなるお口笛なるお、インデペンデンスデイ久保田、
牧野ステテコ、ザ・パーフェクトピンボケたろう、ゆにばーすはら、
やさしい雨松崎、モダンタイムスとしみつ、ロングロング長尾(敬称略)

私は第一回以来の参加。理由はいつもオールナイトの公演だから。
もう…年齢的にオールナイトは厳しい…。
同じ事を嘆いていた“溶けているブサイク”ことモダンタイムスとしみつさんの
気持ちがよくわかる。
こんなに楽しいTBCも、あんなに楽しいロックンロールカラオケ
オールナイトももう辛いんだ…。

そんなわけで途中の「撮影した写真から似ている芸能人を探すアプリで遊ぼう」
コーナーだけ完全に気絶して記憶がないが、その他は抱腹絶倒の時間だった。

イベントの冒頭で主催者のロビンソンズ北澤さんから
「今回が一応ラストということで、この方を呼ばないことには終われない、
この人がいないなんてTBCとして『逃げ』なのではないかと思い、
大阪からお呼びしました!」
と紹介があり、スペシャルゲスト アインシュタイン稲田さんが楽屋から登場する。
客席もステージ上も大興奮&大歓喜で、その様子はさながら王の凱旋。
今夜これからブサイクトークをしなければならない出演者達は
「稲田さんに勝てるネタがある気がしない」と震えあがる。

まずは司会のゆにばーす川瀬名人も大好きな「今までつけられたあだ名
山手線ゲーム」。
何度かやっているのでもうインパクトが薄れていると出演者が騒ぐも、
まだまだ輝きを放つあだ名のオンパレードだ。

ピンボケたろうさんの「大型ルーキー」は、ホームレス時代に先輩ホームレスが
命名したというエピソード込みで完璧だし、
としみつさんが昔つけられた「水子地蔵」「戦争孤児」は他の追随を許さない。
しかし西の御大将・稲田さんの「ラージヒル」がK点越えの跳躍を見せつける。

稲「他に『火鍋の半分』というのもありましたね。あと、勾玉」

なぜこんな力作が生まれるのか。
それはきっとあだ名をつける方も、ブサイクという素材の良さに肩を
ぶん回すからだろうという結論になる。

続いてエピソードジャンプアップコーナー。
決められた人数でエピソードを順番に披露するが、話のインパクトが
どんどん強くならなければならない。
3人くらいならばなんとかなるが、5人、7人となると調整が難しい。
強いや弱いならともかく「4番目くらいのブサイクエピソード」って何だ?
皆が1番手を取りあい、おそるおそる出すトークに「それは強すぎる!
後のことを考えろ!」と非難の声があがる。

判定員は目の保養ゲストであるザ・ギース高佐さん。
目の保養ゲストは、ブサイク芸人たちを見続けて眼精疲労をおこしたお客様方が
眺めて瞳に潤いを取り戻す、目薬のような存在である。
今夜もシンプルな白いニットがお似合いで、まさに掃きだめの鶴。
そして隣の席に座る稲田さんとのコントラストが凄い。

・短編映像の撮影で女子高生役としてキャスティングされたら役名が「ブス」だった(はら)

・オンバト地方大会で自分と稲田さんだけホテルの同じフロアに振り分けられ、
駆除されるのかな?と思った(北澤)

・ゆうたろうに似ていると言われるので、似たイケメンを探すアプリを使えば石原裕次郎が
出るのではと思ったら石原良純だった(なるお)

次々と出る秀逸なブストーーク!に客席も大盛り上がり。
小学生の時、好きな男の子の机に放課後こっそりチョコを入れて翌日
ウキウキしながら登校したらねずみに食べられ大騒動、というステテコさん
のエピソードに

「でもステテコさんのチョコレートがねずみのハートを射止めたわけですね」

と、イケメンとして100点の回答をする高佐さんも素晴らしい。

7人チャレンジでは、もうこれ以上無理だろうという所までハードルの上がった状態で、
ラストのとしみつさんが放った会心の一撃で奇跡のクリア。
この日一番の大喝采が捧げられた。

気絶していたコーナーは省くとして、イベントの最後は王者稲田さん&
目の保養ゲスト高佐さんによる「なりたくないブサイクランキング」。
ここで北澤さんによる重要な発表が。
今夜はここに出演している第一期メンバーの卒業公演であり、これからは
次世代のブサイク芸人を探してTBCが行われる。
ただし、二人の選ぶなりたくないブサイクランキング上位メンバーは
第二期も残留することになる。

まさかの居残りブサイク。
絶対に残りたくないので必死に祈りを捧げるメンバー達。

ランキングコーナーでは稲田さんによる丁寧なブサイク講和が光る。
顔はブスでも心や性格までブスになってはいけない。
柔和な声で穏やかにそう語る姿はまるで教祖様のようだ。
いつでも元気で明るいはらちゃん、笑顔が素敵なステテコさん、
心のイケメン北澤さんなどは高評価。

以前同居していた長尾さんはヤバいところを色々知りつつも
「僕の辛い時に側にいてくれたから」とトップ。
(その家は住んでいると顎がしゃくれてくるの?と囁かれる)

 一方、ブサイクと言われるのを心のどこかで受け入れていない、暗い、
なんだかキモい、不健康な人たちなどは悪いブス。
特に一番評価の低かったなるおさんは、性格の他にも企画とはいえ無茶な
断食としたり、顔色の悪さから肝臓の心配をされたりと健康面に指摘が入り
「臓器ブス」という言葉が誕生した。

稲「キングオブコント決勝の時よりもあきらかに顔色が悪くなっています」
な「なんか俺、医者に罵られている気分なんですけど…」

稲田ランキングはなんとか逃れたとしみつさんだが、高佐ランキングで
1位になると残留が決定してしまう。
第3位まで発表した時点で残っているのが、こちらもまさかのなるお&としみつ。

と「絶対にいやだー!付き合い長いだろ!」
高「ギースを結成した頃から一緒に舞台に出てます、付き合い長いです。
としみつさん恨まないで下さいね。
第1位は・・・・・なるおさんです!」

と「やったー!みんなありがとうーーー!」

そして『不満』という文字を張り付けたような顔で二冠を獲得した
なるおさんであった。

コンプライアンス関連で表現に規制がかかりやすい昨今。
私も事前に「このライブ、本当に面白いからお勧めなんですよ!」と
友人に伝えるのがなかなか難しかった。
もちろん説明力不足もあるけれど、概要だけ話すと『人の美醜をネタに笑う
酷いイベント』のように思われてしまう可能性があるので。

でも、TBCは軽やかでポップなエンターテイメント。
出演している芸人さん達は決して人の見た目をイジることはせず、自分を
いじって笑いを取る。
それが可能なのは、皆さんが確かな話術と芸人としての魅力を持っているからこそ。

そういった大事なことはロビンソンズ北澤さんのブログに書かれているので、
気になった方はチェックした上でセカンドシーズンの幕開けを心待ちにしよう。