2014年9月4日木曜日

パルコ劇場プレゼンツ「海をゆく者」

2009年にパルコ劇場で上演された「海をゆく者」が
再演されます。
 
2014年12月8日 (月) ~2014年12月28日 (日)
PARCO presents「海をゆく者」
作   コナー・マクファーソン
翻訳  小田島恒志
演出 栗山民也
出演  小日向文世 吉田鋼太郎 浅野和之 大谷亮介 平田満
 
初演時に観劇して、これはきっと今後クリスマスの時期ごとに
上演されるレパートリーになるに違いない、と思った名作です。
5年も空いてしまったのは、当時と同じキャスティングを揃える
ためでしょうか?
 
 
僭越ながら2009年当時、別の場所に書いた感想を転載させて
頂きます。
どうか多くの人々にこの舞台の情報が届きますように。
 
(2009年12月記)

素晴らしい芝居に出会ってしまった。
こっ、これは今年見た中でナンバー1かもしれない!
猛烈にお勧めしたいけれど、明後日が楽日なのね。

「素晴らしい脚本の作品があって、2009年に日本でも上演される。
キャストも良い顔ぶれが揃っているし、間違いなく面白い芝居になるはず
なので見るべし!」
そんな前情報を手に入れていて、楽しみに待っていたのです。

とは言え、実は休憩時間までの1幕は役者の演技は上手いけれど、
そこまで絶賛される舞台かな?と疑問でした。
吉田さんの傍若無人なキャラクターが見ていて辛くてね。
3時間弱これが続くと辛いな、と。

ところが。
2幕が進むにつれて、ストーリーに惹きつけられるのなんのって!
アイルランド特有の薄暗い街の香りとアルコール中毒の影。
登場人物 の誰もが抱える日常生活の厳しい側面。
いつ爆発するかわからない、溜め込まれた感情。
 
しかし、クリスマスイブという祝福の日に訪れる、招かざる客と
信じられない出来事が・・・。

最後の最後に、この舞台がいわゆる1つの「幸せなクリスマス寓話」で
あることがわかる。ラストシーンを静かに見つめる、観客の心に満ち溢れる
幸せな感情ったら!

劇場に通う回数が減っても、私が演劇を観続けるのは
今までに何度か出あった
「舞台上に現れるこの上なく美しい、他の何かでは味わえない
奇跡の一瞬」
が忘れられないから。

そしてこの「海をゆく者」のラストも、名シーンを集めて保存しておく
“私の「奇跡の一瞬箱」”に収納することに決定。

はぁ~「いい芝居」だったなあ。1500円以上のパンフレットを買わない !と決めた
誓いを破って買っちゃったもの。
同じように客席から飛び出して、物販に並ぶお客さんが列になったもの。

このパンフレットも、最近よくある「大判の写真集ですか・・・?」みたいな
写真ばかり掲載されたものではなく、原文の引用、コリン・マクファーソンから
の文章(原語と日本語訳の両方をちゃんと見開き2ページで。素晴らしい)。
アイルランドの文化と特徴、脚本の背景、役者対談。
あと、長塚圭史さんの記すアイルランド演劇についてのコラムもあり。
完璧な舞台美術は松井るみさんの仕事でした。

東京はもう終わってしまうけれど、大阪・新潟・名古屋はこれからだから
是非たくさんの人に見て欲しいな。
これは予想だけれど、東京でもいつかまた再演されると思う。
同じ時期に、ね。