2018年11月15日木曜日

山脇唯単独公演「放課後なんかいらん」

演劇とコントの境界を軽やかに行き来する女優・山脇唯さんの単独ライブ。
演劇ならば主催公演、ユニットライブなんて呼ぶところを「単独ライブ」と
銘打つところにコントやるぞー!という決意が現れている。


ギリギリまでこのライブを見る事が出来るかわからなかったので、
内容をあまり確認せずに行ってしまったが、学校縛りのコントというコンセプトだった。
なるほど、それで開演前の曲も学校に絡めたものが多かったのね。

ゲストはザ・ギース、しずる村上さん、サルゴリラ児玉さん。
脚本提供はせきしろさん、バッファロー吾郎Aさん、しずる池田さん、浮世
企画の今城文恵さん、西垣匡基さん。

幕開き1本目とラストを山脇さんの1人コントにしていたところも、座長と
して公演を脊負う気概を感じた。
どちらもそれぞれにせきしろさんらしい味わいで、1本は新婚さんいらっ
しゃいを留学生に説明するコント。
もう1本は国語の教科書の貸借りをする同級生との間に芽生える、たぶん
恋とも違う、大喜利やラジオのハガキ職人仲間を見つけたような同士との
出会いと別れ。

しずる池田さんの作品は不条理な暴れん坊・児玉さんの後ろに池田さんが
透けて見えるしずる印のコントだ。
村上さんのコントをリードする姿が力強く頼もしく、コンビって素敵だなと思う。

すいているのに相席の「告白」が役を変えて再登場。
女性教師役がGAG宮戸さん→しずる村上さん。男子生徒がや団本間さん→山脇さん。
山脇さんの男子高校生かわいい!子猿っぽくてかわいい!
スポーツが得意で足が速そう(イメージ)。

バ吾Aさんの「踊る理科実験室」には主演の織田裕二が出てこない。
やる気がありすぎて現場をかきまわし、その結果撮影が押してしまうことに
嘆く控室の風景を描く。
山脇さんが女優役で、お相手のベテラン俳優は尾関さん。
往年のベテラン俳優は長身の人が多いから、というのもキャスティング
理由の1つだったらしい。
声に厚みがあるのでベテランらしい落ち着きのある老け役が似合っていた。
頻繁に出てくる理科実験道具(プレパラートやらフラスコやら)が懐かしく、
今後ももう触れる機会はないだろうなと考えるとちょっとノスタルジー。

獅子舞の中に入ってひとしきり踊り、頭を獅子頭でカプッと噛んで告白する
男の子は、高橋留美子の漫画に出てくる高校にいそう。
うる星やつらとからんまとか。
獅子舞の中の人は高佐さん。私は声だけ高佐さんだと思っていたので、
後から中身もご本人と知り驚いた。

そんな高佐さんはコントではなく短編演劇「さよなら鴬谷」で山脇さんの
相手役を務める。
しかも「人の感情をあまり理解せず、感情が表に出ず、美しいものを
愛する女子高勤めの美形眼鏡白衣物理教師(鴬谷在住)」という漫画でしか
あり得ないキャラで、なんかもうここだけ2.5次元舞台だった。
しかもその漫画みたいなキャラがこの上なく似合う。

山脇さん演じる女性教師は女子高育ちで恋愛に疎く、それゆえに納得のいか
ないまま不倫の沼にずるずると引きずり込まれてしまった。
物理教師の真正面からの正論が、彼女の心の奥から本音を引きずり出す。
この先二人の恋愛ルートに進むかもしれないし、不倫男への復讐ルートと
いう選択肢もあるかもしれない。
問題がすっきりと解決はせず、余韻を残した終わり方もいい。
人生はゲームのようにグッドエンド100%もバッドエンド100%もないだろう。

私が見た昼の回ではトークゲストとしてバ吾Aさんが登場した。
山脇さんを「コントも演劇も素晴らしいが、とりわけ演劇の時の演技が
客席にいる観客の心にすっと届く」と褒めたたえる。
言われてみれば一人コントの時は客席で見ながらなんとなく「外から眺める」
という意識で、芝居の時は「気がつくと世界に取りこまれて見つめている」
という気持ちになっていたかもしれない。
演劇とコントの差なのかな。

嘘か本当か、提出した剛力彩芽&ZOZO前澤破局コントがボツになったと
ぷりぷり怒る。

「剛力彩芽がランチパックを全種類投げつけんねん」

それは・・・かなり見てみたかったな。