出演:バッファロー吾郎A、キングオブコメディ高橋、THE GEESE、
山脇唯
コントユニット「空いているのに相席」が帰ってきた。
前回公演では、面白いコントがたくさんあったはずなのに、一番
記憶に残っているのが
「清原の引退試合でただただ長渕がとんぼを歌う8分間映像」という
摩訶不思議な舞台です。
今回のOPで同じ映像が流れたので、またか!と思ったら長渕が
歌い終わった瞬間で座る椅子取りゲームでしたよ。
全般的に元ネタ、パロディされている有名人が前回よりはっきり
くっきりと提示されていたかな。
以下、印象に残ったコントの感想を。
<流しの兄弟>
流しの兄弟・味噌汁一郎(バッファロー吾郎A)と二郎(高佐)。
A先生のアドリブ炸裂のコントを最初に持ってくるとは。
ボケを全部処理する、高橋さんの高い能力があればこそ。
半ズボン姿がかわいい高佐さんは、ピアニカ演奏がお上手です。
太田胃酸ソングの後、お兄ちゃんが「しかも分包の方じゃねえか!」と
ツッこむのが好き。
<晩ごはん>
とにかくでっかいヨネスケ(尾関)が、でっかいしゃもじを持って
無理やり“突撃!となりの晩ご飯” しようとする恐怖感ね。
鍵のかかった家に、理由もわからず侵入しようとする男=ヨネスケが
不条理感満載で怖い。
まぁ、理由は晩ご飯見せて欲しいからなんだけど。多分。
そこで、家の中にいる兄弟(高橋&高佐)が
「朝になるまで鍵は絶対に開けちゃいけないって。和尚さまが」
ヨ 「(狂ったように)バンゴハーーーン!バンゴハーーンン!」
人間じゃなかったー!
「くそっ。なんて落語家だ・・・」
人間じゃないけど落語家ではあった!
夜なのに昼に見せかける妖術まで操る桂一門、恐るべし。
元ネタは昔話なのかな。
いや~尾関さんがハンパない。舞台の空気を支配する、
あのどっしりとした存在感。身体の大きさだけじゃないよ。
<ボッシュート>
見ながらなんとなく覚えのあるストーリーだなあ、と思い。
高橋さんが説明台詞に入ったあたりで
「あっ、ゴミが空から降ってくるぞ!」といきなり閃いた。
帰ってから調べたら星新一のショートショートだったそうで。
いつか読んだのでしょうね。
山脇さんがとてもナチュラルに黒柳徹子を演じているのが
妙に笑える。高橋さんの野々村真も。
コントのなかで有名人を演じるけれど、みんなモノマネも
顔マネもしないんですよね。だから、パロディだけれど似ていない
ことにひっかかることなく見ることができる。
似せるつもりが元々無いのだから。
<タンポポの種と清水アキラ>
清水アキラ(尾関)&タンポポの種(高佐)。
高佐さんは全身タイツ率高いよね。THE GEESE2人のコントを作って
くれてありがとう。早く単独ライブも開催してくださ~い。
作家陣と比較的年齢が近いので、どの元ネタも大体わかるのが
嬉しい。年を重ねるのも悪くないかも。
そして、幼いころからTV見放題にさせてくれた両親に感謝を。
もうモノマネ王座で評価の辛かった、淡谷のり子先生を知らない
世代もいるだろうな。
<ジャガー「ファイト!ファイト!ちば」>
前回の長渕流しっぱなしに続く、ちっとも観客の気が休まらない
ハーフタイムショーは、千葉のローカルタレント・ジャガーさんに
よる曲です。
心身ともに元気なタイミングでご覧下さい↓
場面がぐるぐる回る、眩暈がしそうな粗い編集。
ビジュアル・・・系・・・?と首を捻るバンドの皆さん。
特徴がありすぎる、なんか舌ったらずな歌い方と、ペラ1枚の観光マップを
眺めただけで適当に作詞したのではないかと思われる、浅い千葉情報。
あと、取り上げている街の名前が全体的に西寄りです。
ジャガーさん、市川あたりにお住まいだったのではないかしらと
推理してみる。
(小学校~高校まで千葉の学校に通っていた私の見解)
1番までは半笑いで見ていられますが、4番くらいになると
「こんな適当な歌で応援される千葉県超かわいそう!
がんばれ千葉!」と、千葉への高感度がグングン上がるよ。
<カリオストロの城>
銭形警部に扮したルパンに扮した竹下恵子(高佐)が
クラリス(山脇)の心を盗み、かけつけたのは本物の銭形、かと
思いきや八千草薫(尾関)だった。
説明を書いてもわけがわからないけれど、本当だったのだから
しょうがない。
この辺がユーモアライブにおけるゲームの説明に似ています。
はぁ、高佐さんが素敵だったわ~。パントマイムとダンスが
得意だからでしょうか、銃を撃つ動作や正体をあかすシーンの
身体の動きがすごく綺麗なんですよね。
中性的な顔立ちなので、女性っぽい口調で話すのも違和感なく。
それと、尾関さんの銭形がとっても銭形だった。
帽子とトレンチがお似合い。阿部寛感。
<カーディアンエンジェルズ>
「それではオレが目になろう」
スイミーーー!!
<ヒロト>
ブルーハーツを通ってこなかった私にもわかる、高橋さんの
ヒロトぶり。
<大喜利部>
冒頭で、主人公のオオギ君(A先生)がフリップを前に突き出す
千本ノック練習をしていることに気がついた時点で、もうこのネタの
とりこ。
大喜利部を乗っ取りにくる他校の生徒(炎属性)が炎を繰り出して
戦うわ、マネージャーはかわいいわ、知恵と勇気で敵に勝つわ。
大喜利部はキルラキルにそのまま出せる。
もしくは、島本和彦か高橋留美子に漫画化してもらおう。
<魔王>
シューベルトと東京フレンドパークが奇跡の融合。
もう・・・大好き!ギースが貰って持ちネタにしちゃえばいいのに!
あーでもライブでかけると、なすなかにしの魔王ネタのパクリだと
思われちゃうかなあ。
魔王→関口宏支配人
笛の音→支配人のホイッスル
化け物→ホンジャマカの着ぐるみ
神経質そうな高佐さん扮する子供と、胡散臭さの溢れる尾関さんの
お父さんがいいわあ。しかも2人とも歌が上手。
<ゆうゆうワイド最終回>
マムちゃんが自分の身を犠牲にして(涙)
盟友・立川談志の死の真相を知り、怒りでパワーアップする場面など
落語ファンは目に涙を浮かべずして見られませんね。
ネットの感想で、老人たちが♪大沢悠里の~ゆうゆうワイド~と
歌うと敵のボスが苦しむ場面は、ゲームMOTHERが元ネタでは?
という考察を見て衝撃を受ける。
ギースがギーグ・・・!
(ビジュアルはブラックデビルだったけど)
ここでも尾関さんの怪演が光る。魔王のお父さんといい、尾関さんの
演技は演劇好きとして、なんだかウズウズするものがありますよ。
ASH&Dさん、ちょっと役者として推してみてくれませんか?
<ホーム>
ラストは切ない1本で。
売れないながらも夢を追いかける芸人(高橋)と、彼の元を
去る恋人(山脇)。
ライブの後、着替える間もなくたぬきの格好のまま駅のホームに
駆け込んだ男と彼女の思い出話。
「あの頃も、たぬきのネタやってたね。」
これ、餞別だよと渡された1枚の葉っぱ。
笑い合う2人。電車に乗り込む彼女のバックにかかるなごり雪。
数年後、「嗚呼、バラ色の珍生」に出演した彼女は、彼を探して
もらうが、カーテンの向こうに男の姿は無かった。
夢を諦め故郷に戻ったという彼はスタジオには現れなかったが、
番組に一通の手紙を託す。
封を開き、中から出てきたのは1枚の葉っぱ・・・。
・・・書いていたら思い出して泣けてきた(涙)
この後、ベンチで一人俯いて泣いている高橋さんの場面で
終わるんですよ。
終始、演じていることを感じさせない嘘のないお芝居で、感情が
そのまま心に流れ込んでくるよう。素晴らしい。
私が見た回のトークゲストはせきしろさんだったのですが、
この人はこんなことができるんだよ、と作品を通して伝えるのが
好きで、今回は高橋さんの演技力を見せたかったと。
エンディングは皆でお寿司を食べている映像。
ん?A先生がふざけてなごり雪を歌っているのを流している?と
思ったら、嘉門達夫の「なごり寿司」でした。
ああ、小さいころに「鼻から牛乳」流行ったな。
クラスでもCD買った子がいて、教室内でぐるぐる回っていたっけ。
あの頃の絵本、テレビ番組、お笑い、芸能人、ヒット曲。
1週間は今よりずっと長くて、人気のテレビ番組はクラスの
誰もが見ていて、自分が大人になる姿なんて想像も
できなかった頃の思い出。
楽しくて、切なくて、なんだかとても懐かしい。
そんな「空いているのに相席」なのです。