2013年8月8日木曜日

ICC「オープン・スペース2013」

新国立劇場へ「OPUS」のチケットを取りにいくついでに、
オペラシティ内のICCを覗いてみた。
ICCはNTTの持つギャラリーとでも言えばいいだろうか?
 
現在はメディアアート関連の「オープン・スペース2013」が開催中。
この展示会で印象的な作品に出会った。
 
八谷和彦「見ることは信じること」
 
“展示室の中に設置された電光掲示板は,赤外線LEDで大部分が
構成されているため文字には見えず,一部の可視光LEDの明滅だけが
肉眼で見られるようになっています・
 
ただし専用のヴューワー「ヒツジ」を通して見ると,発表当時開催されていた
《メガ日記》というプロジェクトで集められたテキストを読むことができます。
 
1995年に始まった《メガ日記》は,パソコン通信やインターネットを通じて,
さまざまな人たちに日記を書いてもらう試みでした.
作者は,プロジェクト開始のきっかけとして,世界中の人が書いた日記を収めた
図書館が夢に出てきたことを挙げています.
ブログやTwitterをはじめとするウェブ・サーヴィスが浸透した現在では,
作者の夢に出てきた図書館は,ある意味で実現したといえます.
 
もちろん,知ろうとする意志がないかぎり,他人の生活が私たちの目に
触れることはありません.
たとえ見たとしても,その人のことを完全に理解することはできないでしょう.
「ヒツジ」を覗き,誰かがいつかどこかで書いた日記を読んでいると,断片的な
情報から他者の存在を想像し,知ろうとする努力によって,コミュニケーションが
まがりなりにも成立しているのだということが感じられるのではないでしょうか.”
 
<ICC ONLINEより抜粋>
 
この「ヒツジ」、見た目はまるで夏休みの工作のように単純な形の箱なのだ。
その無骨な箱を通して掲示板を覗くと現れる、1995年に書かれた誰かの日記。
しかも、このプロジェクトの最後の日に書かれた文章を集めたものだという。
 
1995年といえばまだ生活にネットが浸透せず、詳しい一部の人たちだけが
「世界の人たちとこんな風に繋がっているなんて、なんだか夢のようだ」と感じながら
キーボードを叩いていた頃だろう・・・ほんの20年前のことなんだよね。
 
調べてみるとこの「ヒツジ」、星の王子さまで飛行士が
「君のヒツジ、この箱の中にいるよ」
と渡した箱がモチーフになっているとわかった。
ああ、それで作品のタイトルが「見ることは信じること」なのかな。
大事なことは目に見えない、と王子は言っていたけれど。
電光掲示板に流れる文字はそのままでは「目に見えないもの大事なもの」
その大事なものを「ヒツジ」を通して見る。
 
なんだか他人の昔の夢に取りこまれたような、不思議な感覚を味わえた
作品だった。
 

他にも面白かった作品が色々↓
 
ノヴァ・ジャン 「イデオジェネティックマシン」
 
キーボードのEnterキーを押すと前方のスクリーンに、モノクロで
淡い線のコマ割りされた漫画が現れる。
しばらくそれを眺めているとスクリーンに「3,2,1」とカウントが
始まり、0でちょうど自分の目の前に設置されているカメラで
私の顔を撮影。
 
撮影された私の表情がスクリーンのコマの中に取り込まれる。
つまり、私が漫画の一部になる。
写真がそのまま使われるのではなく、淡い線でなぞり描いたような
絵になり、漫画の中に使われても違和感がない。
 
希望者はこの映像をメールで送ってもらえると書いてあったので
嬉んでEメールアドレスを登録してきたのに、なぜかまだ届かないんだ。。。
 
 
 
鈴木康広 「自針と分身」「まばたき証明写真」
 
これは簡単。
指定された床の位置に立つと、時計の針が自分の全身写真になる。
私が時計の中をぐるぐる回る。
 
まばたき証明写真は街角にあるインスタント写真撮影と同じようなブース。
料金を支払って(有料)撮影するのだけれど、まばたきをした瞬間
シャッターを切る設定になっているのだ!
絶対に目をつぶった写真が撮れるという逆の発想?