東京グローブ座でラブレターズが単独ライブ・・・グローブ座!
かつてここでシティボーイズ観た事を懐かしく思い出す場所であり、
まだ若手なのにこんな大きなチャンスを手にしたラブレターズは幸せ者ね、と
ご祝儀の意味も込めて発売日にチケットを購入しました。
当日、会社を定時に飛び出した私がみたものは・・・シャレにならない程のゲリラ豪雨~~!!
新大久保駅で老若男女が出口に固まり呆然と空を仰ぐ。
お天道様もこの良き日にそんなに暴れることないじゃないか。
長い傘を買った途端に雨が小ぶりになるというあるあるの洗礼を浴びつつグローブ座へ。
おお、お客さん・関係者・芸人仲間がロビーにぎっしり。ワイワイと賑やかに談笑している。
(以下、ネタバレします)
ムーンライダーズ「あの娘のラブレター」が流れて暗転をすると、胴着姿の塚本さんが
舞台にあがり空手の演舞を披露。次に溜口さんが現れてアカペラで歌を披露。
次になぜかこの2つをコラボ。溜口さんの妙な雰囲気の歌に合わせて塚本さんが「エイ!」
とか型を決めていて、なんだか無性にバカバカしい。
「YOU SPIN ME ROUND!」by溜口
わはははは!スタートがこれか~!
なんだかね、オープニングでお客さんの肩の力がフッと抜けた気がする。
注目を浴びはじめている若手が、あの大きな会場を使ってどんなライブをやるつもり
なんだろう?と、開演前は客席も固唾を飲んでいる空気があったから。
あ~こういうふざけた感じね!うんうん、広い劇場で精一杯遊びなさい。
見守るつもりで椅子の背に体重をあずけ、ニコニコしながら次のコントを待っていると再び
劇場に緊張が走る
・・・まだ最初のコントなのに溜口さんの声が飛んでるーーー!!!
ヤバイよーこれはヤバイよー。
落ち着いてよーく聞くと、普通に喋ったり歌ったりする分には声に問題はない。
ただし溜口さん特有のキレ演技をする時の絶叫、絶叫すると声が飛んじゃって
何を言っているかちょっと聞き取りづらい。
DVDの収録もしているらしいのに不運な・・・。
そんな天候やら体調やらのハプニングを乗り越えての90分。
観ていてひたすら楽しかったなあ。
実はASH&Dカラーというか、もっと構成や仕掛けに凝った作り方をするのでは?と予想
していたのだけれど。シンプルに「ちっちゃな2人がでっかい小屋で走り回っちゃうよ!」という
お祭りテンションでしたね。
最初のカラオケ空手、学校でのフリースタイルラップバトル、ステージの裏まで使って
縦横無尽に駆け回った閻魔事務局。
幕間映像では、台本書きに忙しい塚本さんの傍らで溜口さんが(余計な)アイディアを
考えては披露するという爆笑ネタが何本も。
好きだったのは、オレオクッキーをオセロに見立てて、白い石が必要になるたびに
溜口さんが黒いクッキー部分をモリモリ食べ続けなければいけない「オレオでオセロ」
素敵な歌が出来たからミュージシャンが出るネタを作ってくれ、と妙に哀愁のある
クレイジーケンバンドみたいな歌を披露するも、どうも歌詞が変な「WASHMAN」。
また、ラブレターズならではの学生コントも満載。
決してクラスの中心人物ではない、思考がもう痛いを通りこして怖い男の子がいっぱい出てくる。
ラストのどうしても女子のパンツが見たい「パンツ大作戦」を考える男の子が
一番爽やかだったかも。
溜口少年が量産するサイコ短歌怖かったなー。でもアレ作ってるのは塚本さんなんだよなー。
“どうしてみんな顔がないんだ!” “首から下が見つかりません!”
しかし猟奇的なのにギリギリポップさを保つ絶妙のバランス感覚もまた、塚本さんの特性なわけで。
いいフレーズいっぱいあった。
「ここからマドンナの伝説始まんだぞ!」
不思議だなあ、ラブレターズ。
若手なのに成熟して緻密なネタに感心させられる一方、貴方達にはまだ早いんじゃない?と
心配になるくらい、大きくて無謀な目標を掲げて突っ込んでいく危うさを感じることもある。
私はいわゆる“青田買い”をすることがあまりない。
多分、“未熟な存在が育っていく過程を楽しむ”という感覚があまりないのだと思う。
こちらはお金を出しているのだから、その対価としてある程度のレベルは提示して
貰いたい。
(そういえば落語にハマっていた頃も、達者な二つ目の落語会には通ったけれど、
前座の会までは行こうとは思わなかった)
もちろんその考えを突き詰めるとベテランしか見られなくなるので、さすがにそこまでは
いかないけれど。
ラブレターズに興味を持ったのは、演劇的なコントの造りと演技の達者さからだったと思う。
できる子たちだ!と意識的に追いかけ始めてから、彼らも年齢・芸歴なりの未熟さ(?)を持っている
ことに気がついたけれど、それが原因で気持ちが離れるということは今のところない。
いや・・ないどころか、どうやら私はその危うさや未熟さをとても可愛く感じるようになってきたらしい。
まいったなあ。これは困ったぞ。
この感覚を紐解いてゆくと、あらゆる欠点に目をつぶっても可能性に賭けて応援したい
超若手の子を支える、キラキラしたあの気持ちにたどり着くんだろう。
そこは憧れに手が届きそうに近く、意思の弱い私は時間とお金と気持ちをガッツリと持っていかれて
それでもなお甘美な世界なんだろう。
・・・・・・ダメよーダメダメ!
うっかり覗き込んだ世界に身を投げそうになり、慌てて自分を引き戻す。
他にもたくさん趣味があるのにこれ以上深入りしちゃ危険でしょ!
お金も時間も限られているのだから。普段の生活をもっと大事にすると決めたのだから。
自分の全てを投げ打って好きなものを追いかける、身が震えるような幸せも懐かしいけれど・・・ね。