<ウィーン・ミュージカル・コンサート2>
出演者:マヤ・ハクフォート、マーク・ザイベルト、アンネミーケ・ファン・ダム
イングヴェ・ガーゾイ・ロムダール、ルカス・ベルマン、ケヴィン・タート、オク・ジュヒョン
先日、オーケストラリハーサルを体験したウィーンミュージカルコンサート2。
さあ、本番だ。Bunkamuraへいざ参る!とチケットを握り締めて劇場へ行ってきました。
オケリハではTanz der Vampireにウルウルきたのに、今回はMOZART!で涙が
止まらないよ。
Yngve~!!YngveのWolfgangを再び見ることができるなんて!!(叫)
私がウィーンでTanz der Vampireにメロメロになっている頃、ちょうどウィーンで
MOZART!が始まったのだった。
全てのキャストが完璧な中、まさに星から降る黄金のように舞台上でキラキラ
輝いていたのが主役のYngve。内側に無邪気な子供を宿す天才青年。
その後日本で上演されたモーツァルトは、主役のウォルフガングが線の細い、
どちらかというと少年に近いあどけなさの残る外見&キャラクターだったのに比べ、
ウィーン版はガタイの良い「見た目は大人」だったんだよね。
だからこそ中身のわがままで子供っぽいところが際立っていた。
(韓国版もこのパターン)
彼ももう40歳を過ぎているということで、第一声を聞いた時は「ああ、声が太く
低くなったなあ」と思ったけれど、その後のヤンチャな表情・歌い方・はしゃぎっぷり
を見て、意識があの頃のウィーンに引き戻されてしまった。
小さなアマデをぶん回し、姉のナンネールlとキャッキャとはしゃぎながら歌う姿
絶望の歌声、慟哭・・・それはそれは凄かった。
アン・デア・ウィーン劇場での彼のパフォーマンスを見て、心惹かれない人なんて
いるのかしらと呟くほどに。
悔しいのはウィーンオリジナル版MOZART!はベストの状態の音源が残っていないこと。
現在発売されているスタジオ版は、舞台が始まる前に収録されたものなので
まだ出演者も歌いこなしていないし曲も揃っていない。
YngveのIch bin Musikは舞台をこなすごとに絶品になっていき、CDでは硬く感じる
ナンネール役のCarolineもとーってもチャーミングなのに。
レオポルト役のThomasとコロレド司教のUweはスタートから完璧だった。
さすがな2人。
あっ、そうだ。最初はウォルフガング役のセカンドキャストで、その後Wキャストに
昇格したRob Pelzer!彼もYngveとはまた違う魅力的なウォルフガングを演じていた。
少し若くて繊細でね。
今からでも2枚組ライブ版を出して欲しいなあ。
モーツァルトの話題しか書いてないけれど、パフォーマンスは当たり前のように
素晴らしかったですとも。正直エリザベートはもう聞き飽きたから他のミュージカル曲を
増やして欲しいと考えていたのに、始まった途端うっとりしてしまう。主にMaya様に。
シシィと息子の関係はなんて切ないのだろう。
「僕達は似たもの同士 もし僕が鏡だったなら 僕の中にご自分を見るでしょうに
だから、僕が貴女を見つめると 僕の中の自分を感じて 思わず目を背けるのでしょう?」
そして今回は韓国からオク・ジュヒョンさんが参加。
なんとなく参加には色々な背景や思惑がありそうな気がするけれど、それは彼女には
関係のないこと。自分も含めて「せっかくウィーンミュージカルなのだから
ドイツ語で聴きたいのになぁ」と思っている観客の前で歌うのは重荷だと思う。
それを有無を言わせない歌唱力で押し切るのは立派。
賛否両論あるけれど、韓国ミュージカル界の「外貨で稼ぐための環境整備」は
素直に感心する。というより、日本が旧態依然としすぎ。
私は過去にHedwigとMOZART!を見るために2度ソウルへ行ったことがある。
その時には事前にチケットを買いたくても、韓国のサイトは国民保証番号を入力
しなければ使えない仕様になっていたため、カード会社に頼るか当日券を狙うしかなかった。
しかし、どうやら日本からミュージカルを目当てに韓国へ来る観光客が多いと
気づくと、日本からは保証番号入力をしなくても購入できるようサイトが変更されていた。
また、日本の下北沢にあたる劇場街・テハンノには演劇センターがあり、様々な
舞台情報が1カ所で手に入る。
外国からの旅行者が歌舞伎以外の芝居を急に東京で見ようと思いたっても、情報を
探して自分でチケットを買うのは難しいだろう。
いや、チケットより帝国劇場・日生劇場クラスで上演しているミュージカルの
「平日昼公演の多さ」が謎。しかも夜公演の開演時間も早かったりする。
新国立劇場の芝居も国立演芸場の落語も同じじゃー!
平日の夜公演があるのは金曜だけで、他の日は昼席だけですって誰のための
落語だ国立演芸場ーー!(怒)
ウィーン版エリザベートが新宿コマ劇場で来日上演されるという素晴らしい機会が
あったのに、子役の労働法(?)か何かの関係で平日の開演時間が夕方で、
空席だらけの会場にウィーンミュージカルファンは悔しくて泣いたよ・・・
キャストに申し訳ない・・・。
他にも上が詰まってて若い伸び盛りがもったいないとか(あっ!)、色々言いたいこと
いっぱいあるけどさー。
頑張っておくれよ日本のミュージカル界。
海外に輸出できるような日本発ミュージカルの誕生も夢見ているよ。