2013年5月17日金曜日

花組芝居朗読劇「婦系図」

 花組芝居の泉鏡花レパートリーの中でも1,2を争う程好きな婦系図です。
初演で各務さんの演じたと主税と森川さんの演じた妙子がそれは
それは素晴らしく。自分の中で引きずらないかちょっと心配だったのですが、今回の若手
中心版もまた違う魅力がありとても楽しかった。
 
初演に感動してその後原作を読んだり映画を見たりしたからか、
想像以上に台詞を覚えていてビックリしたよ。
(ちゃんと脳内に漢字で出てくる!)
鏡花作品の日本語は極上に美しく、声に出して読むと
自分が品の良い淑女になったような錯覚を覚えるのでお奨めです(笑)
 
あと、この5年くらい落語会に通っていたので聞き覚えのある
言い回しにニヤリ。もちろん歌舞伎→落語経由のものだったりしますが。
故障が入る(棒鱈)とか、磯のアワビの片思い(鮑のし)とかね。
 
二瓶くんのお蔦は声や台詞の言い方が初演の植本さんとよく似ていますね。
相当研究したんだろうなあ。
模倣できるのはそれだけの地力があるということ!
花組若手は優秀な子ばかり。
 
似ているといえば堀越くんの女形発声は加納座長にそっくり。
これはなんというか、珍しい?ちょっと年より老けて聞こえるような
歌舞伎風の言い回し。
 
あっ、でもね!一番初演よりぴったりだわと一番思ったのが堀越くんが
演じた菅子なの!
前回は加納さんだったので、その、菅子にしてはトウがたち過ぎているな・・・と
思っていて(主税のお母さんくらいに見えた)
堀越くんくらい若い菅子だと、キーキー怒っても拗ねても
「蝶よ花よと甘やかされて育てられたわがまま娘なんだね」とストンと納得できちゃう。
昭和の少女マンガならばあの子は金髪縦ロールだ。
 
谷山くんの妙子も頑張ってた。
彼は黙って首をかしげて座っていると線の綺麗なイケメンくんだよね。
口を開くと面白いけれど(笑)
文句ないのだけれど、森川さんの妙子・・・もう一度見たい。
叶わぬ夢なんだけれどね(ため息)
 
主税の美斉津くんは見た目が華奢だけれど、その見た目を裏切るくらい
厚い良い声が出せるので、フレッシュないい主税だったな~。
母性本能くすぐるタイプでもあるし。

観劇後につい考えてしまったのは、なぜ朗読劇にこだわるのか?ということ。これはもはや朗読劇ではない!という評価の裏返しとして。

衣装もある程度用意していて動きもある。多分皆さん台詞はほぼ暗記している・・のであれば台本は離して素芝居とかアトリエ公演でいいんじゃないかな?
台本を持つことによって手の動きや顔が制限されちゃうから。ここまで仕上っているのなら台本持つのがもったいないと思った次第です